健康や美容のためにお腹の調子を整えようと「腸活」を取り入れている方も多いのではないでしょうか。
腸内環境を整えることで、身体全体の健康や美容、睡眠の質にまで良い影響を与えられることが注目されています。そして今、雑誌やメディアでも取材が殺到しているのが「腸律」という日本発のメソッドです。
前編では、腸の研究を重ねて「腸律」を生み出した小澤かおりさんに、メソッドの誕生秘話や腸脳相関について教えていただきました。そして今回は、「腸律」の具体的なメソッドや実践方法について掘り下げていきます。
腸が心や体、そして睡眠に与える影響とはどのようなものなのか。さらに、日常生活で活かせるセルフケア方法もお届けします。
健康づくりに役立つヒントが詰まった内容を、ぜひ最後までお楽しみください!
この記事でわかること
- 腸脳相関をもとに考案された「腸律式腸の表情」とその具体的な解説
- 腸が睡眠に与える影響と「腸律」が睡眠改善につながる仕組み
- 腸の健康を保つセルフ腸律の重要性と改善事例
腸脳相関から考案した「腸律式腸の表情」
腸律メソッド提唱者の小澤さんは、脳が喜びを感じると顔に笑顔が表れるように、腸にもその状態が反映される「腸の表情」があると考えて研究を続けてきました。これが腸律のセルフケア方法のメソッドの重要なポイントになります。
実際、私たちの腸にどのような「表情」がみられるのでしょうか?
顔の表情と同じように、腸にも表情がある!
腸脳相関とは、腸と脳が自律神経系やホルモン、サイトカインなどを通じてお互いに影響を与え合う関係を指します。
前編で解説をした腸の歴史から考えても、「脳」は腸のサポート役として進化してきたと考えられるのですから、相関関係にあるのは当然のことです。
実際に小澤さんは、顔の表情に感情が現れるのと同様に「腸の表情」があるのか7000人ものお腹に触れながら研究をしてきました。
結果、腸にはその人の心と体の状態を映し出す「腸の表情」があることが分かったのです。この発見を基に、「腸律式腸の表情」という新しい概念を提唱しています。

時計に見立てて読み解く「腸律式腸の表情」
腸律式腸の表情を分かりやすく説明するために、腸と時計を重ねて考えてみましょう。
イメージとして、大腸を大きな時計、小腸を小さな時計と考えてみてください。その中心はおへその位置にあたります。
自身の体を基準にすると、大きな時計の12時がみぞおち、3時が左脇腹、6時が丹田(へその下の辺)、9時が右脇腹の位置に対応します。小さな時計はその内側にあり、同じく3時が左側、6時が右側に位置しています。

たとえば、女性の生理前や更年期でホルモンバランスが乱れると、大きな時計の9時~11時にあたる右わき腹があたりが硬くなることがあります。
また、脳疲労が続くと左側の肋骨の下、大きな時計の1時~3時の位置がガチガチに硬くなるケースも見られます。大きな時計の7時~8時にあたる部分が硬い人は、こだわりが強く、頑固な性格を持つ場合が多いと考えられます。
一方で、小さな時計の12時の位置が硬い人は、せっかちな性格や時間に追われやすい傾向があるようです。このように、腸律式腸の表情によって、心身の状態や性格の特徴を読み取れるのです。

<簡単セルフチェック>
まずは記事で解説を読む前に、あなたも写真とお腹の不調や硬い部位をセルフチェックしてみましょう。
腸律でみえてくる表情とは?
●イライラ・ホルモンバランス
●睡眠不足
●心配性・考えすぎ
●せっかち
●水分不足・恐怖心
●緊張
●頑固・こだわりをもっている
詳しくは、下記で解説します。
睡眠の質が悪いときは「みぞおち」のあたりがガチガチに
睡眠に深く関係するのが、大きな時計の12時にあたるみぞおちの部分です。
大きな時計の11時から1時のエリアは、腸の自律神経が集中している重要な場所です。この自律神経は、睡眠にも大きな影響を与えると考えられています。
特に、11時の「イライラ」と1時の「考えすぎ」に挟まれることで、12時の部分が動かなくなり、内容物が溜まって流れにくくなってしまうのです。この状態が続くと、12時の部分が硬くなり、睡眠の質が低下して睡眠不足を引き起こしやすくなります。
丹田が硬くなると、睡眠ホルモン「メラトニン」低下に影響
睡眠に大きく関わる大きな時計の12時の部分は、小さな時計の6時、つまりへその下の辺の丹田のあたりと深く連動していることもわかってきました。
丹田(たんでん)とは?
人の身体の臍(へそ)の下のエリアを指します。
部位としては、へそ下の5〜10センチあたり(おへそより指3、4本分ほど下)です。
この小さな時計の6時が硬くなると、大きな時計の12時も影響を受けて硬くなりやすいのです。そのため、小さな時計の6時のところもしっかりほぐすことで、睡眠の質がさらに向上することがあります。
なぜ小さな時計の6時のあたりが睡眠に関係するかというと、丹田のあたりで行われている重要な働きが関係しています。実は、腸の研究が進む中で、腸で「セロトニン」が作られているという新たな事実が明らかになりつつあるのです。
これまでセロトニンは脳で作られていると考えられていましたが、実際には脳内で作られるのはわずか2%程度。残りの8%は血小板に、90%は腸に集中していることが分かってきました。
さらにセロトニンは、睡眠ホルモン「メラトニン」を合成するために必要な物質です。腸で十分なセロトニンが作られることで、メラトニンの生成が促され、睡眠の質が改善されると考えられます。
腸が硬くなり、動きを止める「落下腸」のメカニズム
腸が硬くなったり動かなくなったりする原因として、最近注目されているのが「落下腸」という現象です。「落下腸」とはどういう状態なのか、詳しく見ていきましょう。
過度な緊張やストレスで生じる「落下腸」
私たちは緊張したり驚いたりすると、身体がこわばることがありますよね。
実は腸も同じで、緊張すると左脇腹のあたりがきゅっと細くなります。これは、大腸を大きな時計に例えた場合、3時の位置にあたります。この部分は「下行結腸」と呼ばれるエリアです。

緊張やストレスは誰もが経験するものですが、腸にとって特に負担になるのが「緊張し続けること」です。緊張が続くと、下行結腸(大きな時計の3時付近)が細くなるだけでなく、大きな時計でいう4時から6時の部分まで細くなってしまいます。
排便したとき、便が細くなっていると感じたことはありませんか?これは、体が緊張状態を長く続けているサインです。
緊張によって下行結腸が細くなると、老廃物がスムーズに排出されず、横行結腸(大きな時計の12時あたり)に溜まってしまいます。さらに、横行結腸に溜まった老廃物の重みで腸全体が下に引っ張られ、結果的に「落下腸」という状態を引き起こすのです。
横行結腸が落下すると、その重みで小腸まで一緒に下がり、丹田の部分が圧迫されて動きが悪くなってしまいます。この状態が続くと丹田のあたりが硬くなり、セロトニンの分泌に影響を及ぼすため、睡眠の質に悪影響を与える原因となるのです。
「落下腸」が生じると骨盤が開き、身体の痛みやスタイルの崩れに影響
腸が落下すると、その重みで小腸も一緒に圧迫され、骨盤が開いてしまいます。
骨盤が開くことで股関節に負担がかかり、それが原因でO脚になり、膝にも負担がかかります。さらに、膝の負担をかばうように足首にも負担がかかるため、全身に影響が広がります。
また、骨盤が重みによって傾くと、反り腰になり腰痛が悪化します。同時に、巻き肩になることで肩こりもひどくなり、姿勢が崩れることで胸が下がり、お腹が出るようになりスタイルも悪化してしまいます。
さらに、落下腸が膀胱や前立腺に負担を与えることで頻尿になり、夜中に何度も目が覚める中途覚醒が増加。これにより、睡眠の質が低下してしまうのです。

これらのことから、腸の位置が睡眠の質に大きく影響を与えることが分かります。
丹田の部分でセロトニンの分泌が低下する影響もありますが、落下腸によって膀胱に圧がかかり、血流が悪くなることも問題です。血流が悪化すると体が冷えて膀胱が伸びにくくなり、尿が流れ込むとすぐに排出したくなるため、夜中に目が覚めてしまう原因になります。
落下腸の方は、睡眠の質が低下しやすくなります。そのため、「腸律式腸の表情」を読み取り、落下した腸をセルフケアで正しい位置に戻すことが非常に重要です。
セルフ腸律の重要性
小澤さんは元介護士として「自分で歩く、食べる、排泄できる」ことの重要性を実感されてきました。同じように、腸律もセルフケアできることが大切だと考えているそうです。
腸の内側の細胞は24時間で生まれ変わる
セルフケアが非常に重要である理由の一つに、腸壁の細胞が関係しています。
腸壁の細胞は、人間の体の中で最も早く生まれ変わる細胞の一つとされており、若い人では24時間で生まれ変わる可能性があるそうです。加齢に伴い細胞の生まれ変わりは徐々に遅くなりますが、それでも他の細胞より早いスピードで再生するといわれています。
腸は、食事からの栄養がダイレクトに届く一方で、食べたものによって最も汚れやすい場所です。この特性から、腸壁の細胞は汚れを素早く再生する仕組みを持っていると考えられます。
そのため、腸はしっかりとケアを行うことで改善しやすい臓器といえるのです。
腸が伝える「隠れた心身の不調」をセルフ腸律で改善
腸律セラピーでは、店舗での施術に加え、自分自身で行う「セルフ腸律」を非常に重視しています。
たとえば、脳がイライラを感じていないのに、腸の「イライラの部分」(大きな時計の10~11時)が硬くなっている場合があります。これは腸がイライラを表現している状態で、その原因に目を向けることが大切です。「満員電車に乗るとイライラするのかも」「あの人が苦手なのかも」といった新たな視点に気づくきっかけになります。
発案者の小澤さん自身も、ある人と会うと脳ではイライラを感じていないのに、腸が硬くなるという経験をされたそう。その理由を考えた結果、その人がご自身のお父様に似ていることに気づきました。
しかし、イライラする反応は避けられないと受け止め、その方と会うときは腸の硬い部分をほぐすことを習慣にしたところ、腸がほぐれて老廃物の流れが改善し、落下腸の予防にもつながったといいます。
このように、腸の表情を自分自身で読み取れるようになると、不調が現れる前に対処できるようになります。たとえば、通勤時に緊張していると気づいたら、会社に着いてからお腹を温めてみる。睡眠の質を上げたい場合は、寝る前にしっかり腸をほぐしてみるなど、日々のセルフケアで腸の健康を守ることが可能です。
目指すは「一家に一人の腸律師」
小澤さんはセルフ腸律の重要性を感じ、現在はセルフ腸律を教えることができる「腸律師」の育成に力を注ぎ、腸律を日本全国に広める活動を精力的に行っています。
この施術は、小澤さんが介護士だった頃、利用者の方々に提供したいと考えていたものです。そのため、押さない・揉まない・痛くないという点を徹底しており、赤ちゃんからお年寄りまで誰でも安心して受けられる優しい施術となっています。
特に子どもにとっては、お母さんの手が一番の安心感を与えます。そのため、小澤さんはお母さん自身が腸律のメソッドを習得することを強く願っています。自分で腸律を実践できるようになれば、家族である両親やパートナー、子どもにも施術ができるようになります。
「一家に一人の腸律師」を目指して広がりを持たせることで、介護のいらない世界を実現することができる――そう信じて、小澤さんは活動を続けています。

腸律で睡眠を改善した、世界的なスポーツ選手の事例
あるスポーツ選手が「食欲がない」「体力がない」との悩みを抱え、腸律セラピーを受けに来た例があります。
小澤さんが選手のお腹を触ると、眠れていないことに気づきました。小澤さんが「眠れてる?」と聞くと、選手は「眠れていない。なぜわかるんですか?」と驚かれたそうです。
そして、眠れない原因となる部分をほぐしたところ、その日の夜からぐっすり眠れるようになりました。
睡眠が改善すると食欲が戻り、体力も回復。さらに、腸の左脇腹部分をほぐす「セルフ腸律」の方法も伝えたところ、集中力や判断力が向上し、競技成績も大きく向上しました。
この選手はその後、世界的なスポーツ大会で重要な役割を果たし、目覚ましい活躍を見せています。
腸律セラピーは、日常生活だけでなく、スポーツ選手のパフォーマンス向上にも可能性を広げているのです。この事例から、腸律がもたらすメリットの大きさが伝わるかと思います。
まとめ:ぐっすり眠れる夜を腸律でサポートしよう!
腸律は腸本来の動きを取り戻し、心身の調和を図るための効果的な方法です。
腸の健康が整うことで睡眠の質が改善され、体調が整い、日々の生活の質も向上します。今まで感じていた「なんとなく不調」も、腸律セラピーを取り入れることで軽くなるかもしれません!
眠れないときや、心身の不調を感じたときは、ぜひ腸律セラピーを取り入れてみてください。日々のセルフケアで腸をケアすることで、健やかな体と心を手に入れる第一歩となります。
この記事でわかったこと
- 腸律式腸の表情を理解することで、腸の状態が心身に与える影響を把握できる
- 腸律によって腸を整えることで、セロトニン分泌を促し、睡眠の質が向上する
- セルフ腸律の実践が日々の健康維持や不調改善に役立つ
関連書籍
セルフ腸律について、もっと詳しく知りたくなりましたか?本記事を監修している小澤かおりさんの「セルフ腸律のススメ 腸の不調やぽっこりお腹がみるみる改善」をチェックしてみてくださいね。
▼参考書籍

【書籍情報】
タイトル:セルフ腸律のススメ 腸の不調やぽっこりお腹がみるみる改善
著者名:小澤かおり
出版社:Gakken
形態:単行本 / kindle版/楽天kobo
発売日:2024年12月19日
監修者
*「睡眠養生」は株式会社310LIFE(サトライフ)の商標登録です。(商標登録:第6821898号)









