鍼灸と聞くと、「ちょっと痛そう」「ハリを刺すなんて、怖い」と不安に感じる方もいるかもしれません。
けれども実は、鍼やお灸を使わずに、おうちで気軽に取り入れられる“鍼灸の知恵を生かしたセルフケア”があるんです。
今回は、帝京平成大学ヒューマンケア学部鍼灸学科 講師で、はり師・きゅう師、公認心理師の資格を持つ脇英彰先生に、睡眠にも役立つやさしいセルフケアの方法を教えていただきました。
身体の巡りを整えたり、こわばりをやさしくほぐしたりと、毎日の中で心と体をふっと楽にしてくれます。誰でも今すぐできる方法ばかりなので、ぜひ気軽に試してみてください!
この記事でわかること
- 耳・首・顔・頭皮をほぐす、鍼灸式快眠セルフケアの方法
- マグレイン®や円皮鍼を使った耳つぼ刺激の特徴と貼り方
- 効果を高めるための継続のコツと、楽しみながら続ける工夫
鍼灸の知恵でぐっすり眠る!おうちでできる快眠セルフケア集
まずは、手軽にできるツボ押しやセルフマッサージからご紹介します。
寝つきが悪いときや眠りが浅いと感じるときにも取り入れやすく、毎日の習慣にしやすい方法ばかりです。心身をほぐし、ぐっすり眠るための第一歩として、今日から気軽に試してみてください。
気象病の不調にもOK!やさしい耳マッサージ
天気や気圧の変化で、頭痛やめまい、体のだるさが出やすい「気象病」。その原因のひとつは、気圧を感じ取る内耳まわりの血流が滞ることにあるといわれています。
耳まわりの巡りを良くしてあげることで、症状の軽減が期待できます。耳を軽く引っ張ったり、回したりするだけで血流が良くなり、耳がぽかぽか温かくなるセルフケアです。
実はこれ、寝る前やリラックスタイムに、心地よい圧で耳をやさしくほぐすと、より効果的なのです!
- 耳を軽くつまみ、上・下・横にそれぞれ5秒ずつ引っ張る
- そのまま軽く引っ張りながら、耳を後ろ方向へゆっくり5回まわす
- 耳を包むように折り曲げ、5秒間キープ
- 耳全体を手のひらで覆い、後ろへ向かって円を描くように5回まわす
朝・昼・晩の1日3回が目安。
耳の中でも触って痛みを感じる部分は、血流が滞っているサインかもしれません。やさしくほぐしながら、毎日の習慣にしてみましょう。

参考:1分で出来る!「くるくる耳マッサージ」 | 気象病を防ぐ方法 | 頭痛ーる
POINT:耳マッサージは、「痛気持ちいい」と感じるポイントを刺激してみよう!
耳マッサージをするときは、痛みを感じる部分を意識しましょう。痛い場所は刺激がしっかり入っている証拠です。鍼やツボ押しでも、専門家は硬さや圧痛がある部分を狙います。
耳のくるくるマッサージと合わせて、押すと痛い部分をやさしくほぐすと、より効果が高まります。
また、記事後半でご紹介する貼るタイプのツボ刺激グッズ(マグレイン)を貼って、その部分を刺激しながら行うのもおすすめです。
首の付け根にある「風池」「天柱」をほぐすセルフケア
首の後ろ、後頭部の骨のすぐ下あたりには「風池(ふうち)」や「天柱(てんちゅう)」というツボがあります。ここは首や肩の筋肉が集まる大事なポイントで、やわらかくほぐすことで寝ているときの首の負担が減り、リラックスしやすくなります。
- 風池:耳の後ろから首の付け根に沿って、指を中央に向かってなぞると少しくぼんだ場所があります。押すとじんわり響くポイントです。
- 天柱:後頭部の中央から少し外側に下がった、太い筋肉(僧帽筋)のすぐ内側にあるくぼみです。

- 両手の指を組み、頭の後ろに添える
- 指の付け根あたりを首の付け根に当てる
- 頭の重みをゆっくり乗せる
- 力を入れず、頭の重さを利用して刺激する
- 気持ちよく響く場所を見つけたら、軽くキープ
- つまむように刺激してもOK
力任せに押すと肩が凝ってしまうので、頭の重みを使って心地よく刺激してみてください。ストレッチポールのようなものを首の付け根に置き、頭を左右に動かして刺激するのもおすすめです。
日常のちょっとした時間に取り入れて、首・肩まわりをふわっとほぐしてあげましょう。
顔や頭皮をほぐして、美容と睡眠の両方にアプローチ
顔の筋肉や頭皮をやさしくほぐすことも、睡眠の質を高めるセルフケアのひとつです。
顔の筋肉がこわばっていると睡眠の質に影響することがあります。とくに側頭部や頬まわりは、日常生活で無意識に力が入りやすい場所です。
美容のためにケアをしている方も、「美容に良くて快眠効果も期待できる」と知れば続けやすくなります。顔まわりは美顔ローラーやかっさを使って、頭皮はシャンプー時にシリコンブラシを使ってほぐすのもおすすめです。
硬くなりやすい頭皮や表情筋をやわらかく保つことで、血流やリラックス感が高まり、心地よい睡眠につながります。

耳に貼るだけ!マグレイン®&円皮鍼で快眠セルフケア
耳のツボに貼るだけで、自宅で簡単にツボ刺激ができるアイテムが有るのはご存知でしょうか?シールタイプの簡単な鍼灸で耳つぼをやさしく刺激し、眠りやすい身体をサポートします。
今回は「マグレイン®」と「円皮鍼」をご紹介します。
シールを貼るだけで簡単!マグレイン®を使った耳つぼセルフケア
マグレイン®は、金や銀、チタンなどの金属粒を透明なシールに固定した「貼るタイプのツボ刺激グッズ」です。鍼を使わずにツボを刺激できるため、自宅でのセルフケアにぴったりです。
耳のツボにペタッと貼って寝るだけでOK。手軽に取り入れやすく、耳つぼジュエリーのようにおしゃれなタイプもあり、美容感覚で続けられます。
- 耳に貼るだけで使えるので、習慣化しやすい
- ツボの周辺に貼ればいいので、場所に悩まない
- 1粒あたり数十円ほどと手頃
- 好みのデザインにアレンジして、手作りの耳つぼジュエリーに
- 透明シールを使えば目立たずに使える
気象病や寝つきの悪さなど、ちょっとした不調にも取り入れやすいセルフケア。耳つぼ刺激を毎日の習慣にして、睡眠環境を整えてみましょう。
参考:マグレイン公式サイト
セルフ鍼!円皮鍼(えんぴしん)という選択肢も
ツボ刺激の方法には、皮膚に小さな鍼を貼り付けておくために開発された「円皮鍼(えんぴしん)」もあります。
絆創膏のようなシールの中央に極細の鍼が付いており、貼ったまま長時間ツボを刺激できるのが特徴です。
耳に円皮鍼を貼って寝る方法は、研究でも中途覚醒時間の短縮や睡眠効率の改善に対して一定の効果が確認されています。
ただし、とても小さいのですが実際に鍼があるのが特徴です。このため、初めての方は使用に少しハードルがあるかもしれません。小さい子供がいる家庭などは、特に利用時の安全性には配慮が必要です。
肌に合わない場合には長時間貼っていると皮膚がかぶれたり、肌が弱い方ではまれに出血することもあります。そのため、定期的に新しいものに張り替えましょう。
参考:不眠症状を有する4症例に対する鍼灸治療の効果:N-of-1試験を用いた検証
こうした点から、セルフケアとして、より誰にでも気軽に取り入れやすい選択肢はマグレイン®といえます。
マグレインや円皮鍼を貼るおすすめの場所
耳つぼの中でも、よく使われるのが「神門(しんもん)」と「心(しん)」というポイントです。

神門(しんもん)は耳の上部にあり、リラックスやストレス軽減に役立つとされるツボです。
その近くにある「心(しん)」は、自律神経の働きや心の落ち着きに関係するといわれています。
神門の周辺は三叉神経や大後頭神経、心は迷走神経とつながっており、それぞれ異なる脳神経を刺激できます。
マグレインや円皮鍼を貼る際は、この2つのツボを目安にしつつ、近くであればどこでも構いません。耳の上部や中ほどの範囲で、押して心地よい場所を選んで貼ってみてください。

効果が実感できるまで焦らず、楽しみながら続けることが大切
睡眠の改善は、すぐに変化を実感できる場合もあれば、効果が表れるまで時間がかかることもあります。
鍼のように一度の施術で軽さを感じることもありますが、多くの場合は2週間から1か月ほどかけてじわじわと変化していきます。
だからこそ、短期間で諦めずに続けることが大切です。治療院での施術はもちろん、友人や家族と一緒にセルフケアを取り入れるのもおすすめ。
何よりも「楽しく」続けることが効果を高める秘訣です。楽しいと感じられる方法を見つけ、習慣として生活に取り入れていきましょう。

まとめ:楽しみながら続けるセルフケアで、眠りの質を高めよう
鍼灸の知恵を取り入れたセルフケアは、鍼やお灸を使わなくても、自宅で手軽に始められます。
今回ご紹介した耳のマッサージや「風池」「天柱」のツボ押しも、美顔ローラー、かっさ、シリコンブラシを使ってなど、やり方はさまざま。さらに、マグレイン®や円皮鍼を使った刺激も、睡眠を整えるサポートになります。
効果を感じるまでに時間がかかる場合もありますが、焦らず、楽しみながら続けることが大切です。自身に合う方法を見つけ、日常のひとときに取り入れてみましょう!
この記事でわかったこと
- 耳・首・顔・頭皮を刺激すると睡眠環境を整えられる
- マグレイン®や円皮鍼は手軽に耳つぼ刺激ができる道具
- 効果は即時とは限らず、楽しく続けることが大切
監修:脇 英彰(わき ひであき)
*「睡眠養生」は株式会社310LIFE(サトライフ)の商標登録です。(商標登録:第6821898号)

