健康のために、毎日歩いている。でも、それで「ぐっすり眠れているか?」といえば、意外とそうでもない。
歩くことと眠ることは、思っているほど単純につながらないのかもしれません。
歩き方やタイミングによっては、ウォーキングが思ったほど睡眠に結びつかないことがあります。
大切なのは、歩くこと自体ではなく『どう歩くか』です。
今回は、シドニー五輪の競歩代表でウォーキングコーチの柳澤哲さんに、快眠につながるウォーキングの強度・タイミング・時間帯について伺いました。
この記事でわかること
- ウォーキングをしても眠れない人に共通する原因
- 睡眠につながる歩き方の強度・時間帯の目安
- 疲れすぎても眠れない理由と、ちょうどよい疲労感の見つけ方
「毎日歩いているのに眠れない」のはなぜ?
歩く習慣があっても眠れない方には、共通するパターンがあります。ウォーキング指導現場での経験から、その原因を紐解いていきます。
ウォーキングしても眠くならないのは、十分に疲れていないから
健康のためのウォーキングでは、「怪我をしないこと」が最優先です。
安全に配慮しながら無理のないペースで歩くことを重視するため、身体が十分に疲れないまま夜を迎えることになります。
自然な眠気が起きにくいのは、疲労感が足りていないからかもしれません。
ウォーキング指導を受けているシニアの方からも、「レッスンを続けているのに、睡眠はあまり変わらない」という声がよく聞かれます。
年齢を重ねた方への指導では、身体への負担を考えてフォームを意識しながらゆるやかなペースで歩くことが基本。夜の眠気を促すほどの疲労感には、至りにくいのです。
歩いているのに眠れないと感じているなら、歩く量とスピードの不足が原因かもしれません。
無理のない範囲で、もう少しだけペースを上げたり距離を伸ばしたりして、心地よい疲労感を意識してみましょう。

ぐっすり眠るためには「適度な疲労感」が必要
同じウォーキングでも、長距離を歩く方や、タイムを縮める目的でトレーニングしている方は、ぐっすり眠れている傾向があります。
しっかりとしたスピードで、長い距離を歩いている方ほど、夜の睡眠の質が高い。歩くことによって生まれる疲労感の差が、睡眠の質の差につながっているのです。
身体が「疲れたから休みたい」と感じる状態を作ることが、自然な眠気を引き出す大切なステップです。
ただし、いきなり激しいトレーニングをすると、怪我や不調のリスクを伴います。
まずはいつもの散歩に少しだけスピードや距離をプラスして、心地よい疲れを感じられるところから始めてみましょう。
100km以上歩く選手の睡眠も話題に
さとちゃん (大木都)別記事で長距離ウォークの特集をしましたが。
強靭に歩く方たちは、イベントに出るために日頃からトレーニングされてると思います。
100キロウォークを目指すようなアスリートタイプは、やっぱりよく眠れるんでしょうか?
柳澤哲コーチそうですね、長距離ウォークの競技に出られる方って、一般的な健康目的でウォーキングをしたい方からすると、規格外でしょうが(笑)。
やはり、タイムを縮めようとか、距離を伸ばそうと訓練している選手は、よく眠れる傾向がありますね。
さとちゃん (大木都)のんびり歩くよりも、ちょっと息が弾んで疲れるくらいのペースの方が、眠りやすくなるんですね。
柳澤哲コーチそうですね。ただ、最初から無理はしないでいただくことが、何より大事かと思います。
運動から遠ざかっている方なら、まずは歩く気持ちよさや季節の風を感じながら、ウォーキングを楽しいものだと思っていただきたいです。
さとちゃん (大木都)歩きながら季節のお花を見つけたり、街並みの変化を見つけたりするのも楽しいですよね!
柳澤哲コーチそれでウォーキングにハマって、100㎞以上歩いてみたくなったら、ぜひプロからウォーキング指導を受けてくださいね(笑)

睡眠の質を高める、ウォーキングのベストタイミング
歩く時間帯を変えることで、ぐっすり眠れるようになる場合があります。
快眠のためには歩く強度と合わせて、歩く時間帯も押さえておきましょう。
午前中よりも「午後から夕方」が、深い眠りにつながりやすい
朝の散歩は体内時計を整えるのに役立ちますが、直接的な眠気を誘いたい場合は、夕方から夜にかけて歩くのがおすすめです。
朝に歩いても、就寝までに時間が空きすぎてしまい、せっかくの疲労感が回復してしまいます。眠気を誘う力が、弱まりやすいのです。
快眠を目的とするなら、午後から夕方にかけて歩くことを意識してみましょう。歩いた後の疲労感が就寝時間まで残りやすく、自然な眠気につながりやすくなります。
寝る直前の激しい運動は避ける
夕方以降に歩くのがよいからといって、就寝直前の激しい運動には注意が必要です。
寝る間際に強度の高い運動をすると、交感神経が優位になり、脳や身体が活動モードに切り替わってしまいます。加えて運動で上昇した体温が下がるまでに時間がかかるため、寝つきが悪くなることがあるのです。
一方、就寝前のゆっくりとした静的ストレッチは、副交感神経を活性化させ、入眠を助ける可能性があるとされています。
激しく動く必要はなく、筋肉をゆっくり伸ばすだけでも、身体を休息モードへ切り替える助けになります。
快眠を目的とするなら、午後から夕方にかけてまとまった距離を少し早めのペースで歩き、就寝前はストレッチで身体をほぐす流れが理想的です。

自分に合ったウォーキング強度の見つけ方
歩く強度は、低すぎると疲労感が生まれず、高すぎると交感神経が優位になって眠れなくなります。快眠につながるウォーキングは、この「ご自身にとってちょうどよい疲労感」を見つけることがポイントです。
疲れすぎると、交感神経が優位になる
くたくたになるまで歩けば、その分ぐっすり眠れるはず。
そう思いたくなる気持ちはわかりますが、過度な運動は逆効果になることがあるため、注意が必要です。
激しすぎるウォーキングは交感神経を優位にし、脳や身体を興奮させます。
すると、夜になって、布団に入っても、目が冴えてしまうのです。
快眠のためのウォーキングは、やりすぎず、疲れすぎないバランスを見極めることが大切。
追い込むのではなく、心地よく疲れる強度を目指しましょう。
歩く距離やスピードを少しずつ調整する
最適なウォーキングの強度や時間は、体力レベルによって一人ひとり異なります。
一つの目安になるのが、うっすらと汗をかく程度の早歩きです。
隣を歩く人と会話はできるけれど、少し息が弾む程度のペースを意識してみましょう。
また、「今日はよく眠れた」と感じた日の歩き方を振り返り、距離やペースを少しずつ調整していくことも大切です。
スマートウォッチ・スマートリングの活動量計で運動量や睡眠データを記録している方は、数値を参考にしながら自分なりのベストを探すのもおすすめ。ご自身の身体と対話しながら、最適な強度を見つけてみてください。

まとめ:自分だけの「心地よい疲労感」が、快眠への近道
ウォーキングを睡眠につなげる最大のポイントは、適度な疲労感です。
ぐっすり眠るためにウォーキングをするなら、少しだけ負荷を大きくしてみてください。
歩く時間帯を午後から夕方にシフトし、うっすら汗をかく程度のペースを心がける。
身体と対話しながら、心地よく疲れるウォーキングの習慣を少しずつ育てていきましょう。
この記事でわかったこと
- 歩いても眠れない原因は、疲労感が足りていないことが多い
- 午後から夕方に歩くと、疲労感が就寝時間まで残りやすい
- 疲れすぎると交感神経が優位になり、かえって眠れなくなる
- 自分に合ったスピードと時間を見つけることが快眠への近道

