朝、目覚ましを止めて起き上がっても、なんだか身体が重い。
しっかり眠ったはずなのに、日中もぼんやりしてしまう。
40〜50代を迎えたころから、そんな朝が増えていませんか。
「年のせいかな」「忙しいから仕方ない」と、つい見過ごしてしまいがちなこの感覚。
実は近年、眠っても休まった感じが得られない状態が、心と体の健康と深く関連していることが、日本人およそ1万1千人を対象とした大規模調査で示されました。
今回の記事では、この研究を手がかりに、中年期に増えるといわれる「非回復性睡眠(ひかいふくせいすいみん)」の正体と、回復できる睡眠に近づくための工夫をひも解いていきます。
この記事でわかること
- 「非回復性睡眠」とはどのような状態で、なぜ注目されているのか
- 日本の40〜64歳に多い「眠っても疲れが取れない」という実態
- 非回復性睡眠と心身の健康との関連を示した最新研究
- 「朝のすっきり感」を取り戻すために今日からできる習慣
- 睡眠時間だけでは測れない「回復できる睡眠」の考え方
「非回復性睡眠」とは?
私たちはつい、「昨日は何時間眠れたか」と、睡眠を時間の長さで測りがちですよね。
けれど、思い返してみると、長く眠ったはずなのに疲れが取れていない朝もあるのではないでしょうか。
睡眠の役割は、心と身体を回復させることにあります。日中にフル稼働した脳と身体のメンテナンスをして、翌朝「よく休めた」とすっきり目覚められるのが、理想の睡眠です。
ところが、睡眠時間はそれなりに取れているのに、この「回復」がうまく果たされず、朝起きても休養感や回復感が得られないことがあります。
それが、今回のテーマである「非回復性睡眠」です。
- 朝起きた瞬間から、すでに身体が重い
- 午前中から頭がぼんやりして、やる気がでない
- 前日の疲れを、翌日に持ち越している感じがする
同じ睡眠時間でも、目覚めたときに「よく休めた」と感じられるかどうか。この感覚が、睡眠の質や健康全体を考える上で、とても大切な視点になりつつあります。

国も注目する「睡眠休養感」
実は、「眠って休まった感じがあるか」という視点は、国の健康づくりの指針でも注目されています。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、睡眠時間の確保とあわせて、朝目覚めたときに休まったと感じられる「睡眠休養感」を高めることが、健康づくりの大切な目標として位置づけられました。
「ぐっすり眠れたか」という何気ない感覚は、れっきとした健康の指標なのです。
40〜64歳の約4割が該当。1万人超の調査でわかったこと
このテーマについて、大阪公立大学の研究チームが大規模な調査を行いました。
調査が行われたのは2020年。大阪府内の5つの市に住む40〜64歳の方々にアンケート用紙を郵送し、回答を寄せてくれた方のうち、分析に必要な項目にすべて答えていた11,086人のデータが分析されました。
その結果は、日本医師会の英文学術誌「JMA Journal」に発表されています。
非回復性睡眠かどうかの判定は、とてもシンプルです。
「一晩眠った後、すっきりした感じがありますか?」という質問に「いいえ」と答えた方を、非回復性睡眠のグループとしました。
結果は、次のとおりでした。まず、非回復性睡眠に該当した人の割合です。
| 対象 | 非回復性睡眠に該当した割合 |
|---|---|
| 調査全体(11,086人) | 36.6% |
| 持病で通院していない人(3,658人) | 40.4% |
調査全体では、3人に1人以上が「眠ってもすっきりしない」と回答しました。
持病のない人に限ると、割合はさらに高く4割でした。「病気ではないのに、睡眠で回復できていない」人がそれだけ多いという結果です。
では、非回復性睡眠の人は、自身の健康をどう感じているのでしょうか。
調査全体では、非回復性睡眠の人は、そうでない人に比べて、身体の健康を「良くない」と感じるリスクが約2.1倍、心の健康では約2.2倍でした。
持病で通院していない人だけで比べても同じ傾向で、身体で約2.6倍、心で約2.5倍でした。
つまり、非回復性睡眠の人は、身体も心も「良くない」と感じるリスクが2倍以上高かったのです。
この分析は、年齢・性別・ひとり暮らしかどうか・仕事の有無・経済状況・喫煙・飲酒・運動習慣・肥満・通院回数など、健康の感じ方に影響しそうな条件をそろえたうえでの比較です。
それでも、調べた項目の中で「非回復性睡眠」が最も強く関連していました。経済的な苦しさや運動不足といった、よく知られた要因よりも強かったのです。

なぜ「非回復性睡眠」は心と身体に影響をもたらすのか
では、どうして睡眠で得られる「すっきり感」が、健康の感じ方とここまで関わるのか。
研究チームは、体と心の両面から理由を考察しています。
ひとつは、自律神経の問題です。
非回復性睡眠のある人は、眠る前になっても交感神経の高ぶりが続いている傾向があると報告されています。神経が興奮したまま眠りに入っても、回復のためのメンテナンスが働きにくくなるのです。
もうひとつは、心の面です。
回復しない睡眠が続くと、疲れが取れず、日中の集中力や気力が下がります。ストレスに敏感になったり、気持ちを立て直す力が弱まったりして、「自分は不健康化も」という感覚につながりやすくなるのです。
身体と心の疲れは、お互いに影響し合います。「眠ってもすっきりしない」という感覚は、その両方からの小さなサインなのかもしれません。

この研究を読むときに、知っておきたいこと
この研究の「限界」も正直にお伝えします。
この調査は、ある一時点の状態を調べた「横断研究」と呼ばれるタイプの研究です。
そのため、非回復性睡眠が心身の不調を直接引き起こすとは断定できません。
「体調が良くないから、睡眠で回復しにくい」という逆方向の可能性も含めて、あくまで「関連がみられた」という結果です。
また、睡眠の状態も健康状態も本人の感覚にもとづく回答であること、対象が大阪府の都市部に住む方々であること、睡眠時間や寝つきの悪さなどは今回測定されていないことにも留意が必要です。
それでも、1万人を超える規模で、さまざまな条件を考慮したうえでこれだけはっきりした関連が示されたことには、大きな意味があります。
「朝のすっきり感」は、自分の健康状態を知るバロメーターのひとつになりうる。そう受け止めてよさそうです。
今日からできる「回復できる睡眠」への4つの工夫
では、休養感のある睡眠に近づくために、日々の暮らしの中でできることを見ていきましょう。
1. 起きる時間をそろえる
休日の寝坊は、平日プラス2時間以内を目安にしてみましょう。
起床時刻が日によって大きくずれると、体内時計のリズムが乱れ、「社会的時差ボケ」と呼ばれる状態になりやすいとされています。海外旅行をしていないのに、月曜の朝に時差ボケのようなだるさを感じる状態です。
起きたらカーテンを開けて、朝の光を浴びることも、体内時計の調整につながります。

2. 眠る前の1〜2時間はしっかりクールダウン
私たちの身体は、深部体温が下がるときに眠気が訪れるといわれています。
この仕組みを上手に利用できるのが、寝る前の入浴です。就寝の1〜2時間前に、ぬるめのお湯にゆっくりつかると、一度上がった体温が下がるタイミングで眠りに入りやすくなります。
お風呂から上がったら、ほんのり暗く静かな部屋で、おだやかに過ごすのがおすすめです。寝る直前まで明るいリビングでテレビを見たり、スマートフォンの強い光を浴びたりするのは、なるべく控えましょう。

3. 「やること」を少しだけ手放す
中年期に差し掛かると、仕事でも家庭でも責任が重なりやすく、慢性的なストレスや疲れをためこみやすい時期だといわれます。
今回の調査の対象となった40〜64歳は、まさにそのど真ん中の世代です。
頑張り続けるほど、心と身体の緊張はほどけにくくなり、睡眠で回復しにくくなってしまいます。
だからこそ、すべてを完璧にこなそうとせず、「今日はここまで」と切り上げる日があってもよいのではないでしょうか。回復のための時間も、大切な予定のひとつです。
何かうまくいかない日があっても、どうかご自身を責めずに、寝る前くらいはすべて手放してゆったりとリラックスする時間をつくってみてくださいね。

4. 眠る前に「今日に感謝する」
当たり前のような1日でも、さまざまなシーンで頑張っている自分がいます。
眠る前に、何気ない日常に感謝をして、頑張った自分を認めてあげましょう。
感謝の気持ちから幸福感や満足感が高まると、自律神経が自然とリラックスモードに切り替わり、睡眠に向けた体の準備を助けてくれるといわれています。
しょぴ実は、私も一時期ネガティブモード全開で、心身共に絶不調な時期がありました。
そんなときに、何とか心を整えようと思って、自己啓発系の動画をたくさん見ていたんです。そこで出会ったのが「感謝」の習慣でした。
最初は心が伴わなくても、とにかく感謝の言葉を呪文のように唱えてみる。イヤなことが起きても「これが学びになった、ありがたい」と考えるようにして、心の中でありがとうとつぶやく。
そして大切なのは、感謝を自分にも向けること。何もできなかった日でも、今日を頑張って生きた自分に、働き続けた心臓や胃腸や筋肉に、精一杯の感謝を伝える。
それを繰り返しているうちに、自然と、あらゆることに本気で感謝できるようになりました。すると次第に、気持ちが前向きになり、精神的に安定してぐっすり眠れるようになったんです。
ぐっすり眠れるようになると、心が整って、もっと前向きな気持ちになれます。パフォーマンスも上がって仕事の成果が上がるようになり、悪循環から抜け出せました。
これが、私が実際に体験した「感謝習慣」による変化です。お金をかけずにできることなので、ぜひ今日から感謝を意識してみてくださいね!


まとめ:「朝のすっきり感」を健康のバロメーターに
「眠っても疲れが取れない」という感覚は、身体からの大切なサイン。
日本の40〜64歳のおよそ4割が経験している可能性がある「非回復性睡眠」。それは決して、あなた一人の悩みではありません。
睡眠時間の長さだけでなく、朝起きたときの「よく休めた」という感覚を、これからの健康の目安にしてみませんか。
起きる時間をそろえる。眠る前にクールダウンする。やることを少し手放す。今日に感謝して眠りにつく。
どれも今日から始められる小さな工夫です。無理のない範囲で、ご自身の睡眠をいたわっていきましょう。
なお、強い疲労感や気分の落ち込みが長く続く場合は、一人で抱え込まず、医療機関に相談してみてくださいね。
この記事でわかったこと
- 非回復性睡眠は、睡眠時間が足りていても回復感が得られない睡眠を指す
- 日本の40〜64歳では約4割が「眠ってもすっきりしない」と感じている
- 非回復性睡眠の人は、心身の健康を良くないと感じるリスクが2倍以上高かった
- 起床時刻を整え、就寝前の過ごし方やストレスケアを見直すことが回復につながる
- 健康を考えるうえでは、睡眠時間だけでなく「朝の休養感」も重要な指標になる
執筆
*「睡眠養生」は株式会社310LIFE(サトライフ)の商標登録です。(商標登録:第6821898号)
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