ダイエットをしてるけど、うまく減量が進まない……そんな悩みを抱えているあなた。もしかして、最近ぐっすり眠れていないのでは?
実は、質の良い睡眠は単なる休息ではなく、あなたの体型や健康を左右する重要なカギを握っています。「寝る子は育つ」とよく言われますが、大人にとっては「寝る大人は痩せる」と言っても過言ではありません。
今回の記事では、時間栄養学の専門家である広島大学 特命教授・早稲田大学 名誉教授の柴田重信先生に、睡眠と食習慣の深い関係、そしてそれがメタボリックシンドロームにどう影響するのかを詳しく教えていただきます。
「最近、お腹周りが気になる……」「健康診断でメタボを指摘された…」という方は、ぜひ最後までチェックしてみてくださいね。
この記事でわかること
- 良質な睡眠が肥満やメタボ予防に繋がる理由
- 「朝抜き・夜ドカ食い」が健康にどう影響するのか
- メタボ傾向の人に不足しやすい栄養素と朝食の役割
- 減量に効果的な食事改善法とその実践しやすさ
- シフトワーク特有の食習慣リスクと対策
- メタボ予備軍が知っておきたい、太りやすい人の傾向
あなたはメタボ?簡単に分かるメタボ指標
メタボリックシンドローム(以下、メタボ)は、健康診断でよく指摘される項目のひとつです。
メタボの検査は、お腹まわりのサイズ(腹囲)に加え、BMI(Body Mass Index)、血圧、血糖、コレステロール値など、いくつかの数値を組み合わせて判断されます。

ただ、こうした情報は健診を受けて結果を確認しないと分かりにくいものです。そこで今回は、日常生活の中でもできる、簡単なセルフチェックで「メタボ傾向」があるか見ていきましょう。
メタボ傾向の簡易セルフチェック(BMI×血圧)
まず、基本となるのがBMI(Body Mass Index)です。これは身長と体重から算出される肥満度を表す指標で、以下の計算式で求められます。
- 18.5未満:やせ
- 18.5〜25未満:標準
- 25以上:肥満
BMIは体重と身長から計算する肥満度を示す指標。しかし、そもそも筋肉量が多い方の場合、筋肉は脂肪よりも重いので、脂肪が多くなくともBMI数値が高く出てしまうことがあります。

そこで役立つのが、BMIだけでなく「血圧も」一緒に見て確認する方法です。両方を組み合わせることで、より適切に、体の状態をチェックしやすくなります。
- 正常 :BMI25未満 & 血圧も正常
- 肥満 :BMI25以上だが、血圧は正常
- メタボ:BMI25以上 & 血圧も高め

柴田先生の研究チームでは、年齢40〜65歳の男女3,079名を対象に、血圧とBMIを組み合わせた指標を用いて身体の状態を調査しました。
この調査の結果、おおまかに6割が「正常」、15〜16%が「肥満」、そして18%が「メタボ」に該当。つまり、調査対象者全体の約2割が「メタボ」に陥っていることが判明しました。

睡眠の乱れが体内時計を狂わせ、太りやすさにつながる
柴田先生の研究によると、肥満やメタボに分類される人は男性に多く、食事のとり方にも乱れが見られました。
- 日によって食べる量が大きく変わる
- 早食いでよく噛まずに食べる
- 1回の食事量が多すぎる
- 外食が多い
- 塩分をとりすぎる
- 野菜が不足している
さらに、夜遅い時間に食べる習慣が加わると、体内時計が狂いやすくなります。その結果、睡眠の質が下がり、やがて睡眠不足へとつながっていきます。

睡眠不足は食欲を増進させ、食べる総量が増えがちに
夜更かしをするとお腹が空いて、つい何かを食べてしまった経験はありませんか?
睡眠不足や生活リズムの乱れは、食事量を増やす大きな要因になります。
睡眠が不足すると、食欲を抑えるホルモンが減り、逆に食欲を高めるホルモンが増えるため、コントロールが困難になります。その結果、無意識のうちに食べすぎてしまい、太りやすい体質につながっていくのです。

研究では、正常な体型の人と比べて、肥満やメタボに分類される人は全体的に食べる量が多いことが示されています。特に摂りすぎていたのは次のような栄養素でした。
- 炭水化物(ごはん、パン、麺類)
- 脂質(揚げ物、油を使った料理)
- 飽和脂肪酸(バター、肉の脂身)
- タンパク質(肉、魚、大豆製品)
脂質のとりすぎはカロリーオーバーの原因となり、体重増加につながります。一方で、タンパク質は健康に欠かせない栄養素ですが、やはり食べ過ぎればエネルギー過多を招くことに。
つまり、夜更かしが続いて睡眠不足になると、食欲のコントロールが難しくなる。その結果、食べすぎが習慣化し、肥満やメタボにつながっていくのです。

夜更かし&ドカ食いの代償?食事量は多いのに栄養不足の罠
夜更かしをして遅い時間まで食べてしまうと、翌朝も胃がダル重くなりがち。朝食も食べたくないと感じることはありませんか?
夜に高カロリーなものを摂りすぎると、翌朝は空腹感を感じず、または胃が重く感じて、朝食を抜く悪循環に陥ります。
しかし、朝食を抜くことで健康を守る栄養が不足しやすくなり、体型の維持も難しくなってしまうのです。

研究では、メタボに分類される方の食生活を見ていくと、朝食から摂ることが多い栄養素が不足している傾向にありました。
- カルシウム
- マグネシウム
- 鉄
- ビタミンA
- ビタミンD
これらは骨や血液の健康に欠かせない栄養素です。そのため、朝食を抜く習慣が続くと、身体の不調や肥満が一層目立ちやすくなります。

朝の欠食は、肝臓や脂肪細胞などの末梢臓器の体内時計(食事などによってリセットされる体内のリズム)のリセットを妨げ、身体は時差ボケのような状態を引き起こします。
その結果、睡眠のリズムが乱れ、睡眠不足になって食欲が暴走する――まさに、メタボの悪循環に陥ってしまうというわけです。

1か月の食事改善から見えた「効果的な減量方法」
次に、柴田先生の研究チームは食事管理アプリ「あすけん」に対て1か月間のWEB介入を行い、食事改善プログラムを実施しました。
この食事改善プログラムでは、次の3つの食事改善法が提案されました。
- 1日の最初の食事から最後の食事までを12時間以内に終える(12時間ダイエット)
- 夕食の炭水化物(ごはん、パン、麺類など)を半分に減らす
- 朝・昼・夕の3食を、できるだけ均等なボリュームにする
すべてを同時に実践する必要はなく、どれか一つでも取り入れる形で進めてもらいました。
食事改善プログラムの実施で分かった、3つの食事改善法の効果
3つの食事改善法に取り組んでもらったところ、それぞれ「実践のしやすさ」と「効果」に違いがあり、特徴が見えてきました。
| 食事改善法 | 取り組みやすさ | 主な効果 |
|---|---|---|
| 最初の食事から最後の食事までを12時間以内に終える(12時間ダイエット) | 一見難しそうだが多くの人が達成 | ・体重が減少する傾向が見られた |
| 夕食の炭水化物を半分に減らす | 実践しやすく、特に効果的 | ・総摂取カロリーが抑えられ、夕以外に昼も控えめになり、体重減少が大きかった ・自然に運動量も増えた |
| 1日3食を均等に食べる | 朝食を増やす必要があり難易度が高め | ・実践できた人では確実に体重が減少 ・朝型に移行し、社会的時差ボケが軽減し、睡眠リスクも下がった |
3つの食事改善法をすべて実践できた方では、もっとも大きな体重減少が見られました。
もちろん、すべてを同時に行えたら理想的ですが、1つでも続けることで体重減少の効果は期待できます。まずはご自身のライフスタイルや食事の傾向に合わせて、取り組みやすいものから始めてみるといいでしょう。
食事改善プログラムを実施して、見えてきたことは「朝食」の重要性
この介入研究で明らかになったのは、体重の減少には、朝食のとり方が大きく関係しているということです。
もっとも体重減少に効果的だったのは、「夕食の炭水化物を減らすこと」でした。体重減少に直結するだけでなく、1日の食生活全体を整えるきっかけにもなり、体が軽くなることで自然と運動量が増える傾向も見られました。
さらに、朝食の量を増やし、夕食を軽めにする“1日3食を均等に食べる”食習慣を実践できた人では、より確実に体重が減少していました。同時に、生活リズムが朝型に変化し、休日と平日の睡眠リズムの差(社会的時差ボケ)が小さくなる傾向も確認されています。
夜を軽くして朝をしっかり食べること――それは、体重を減らすだけでなく、体内時計を整え、質の高い睡眠へ導く鍵でもあるのです。

睡眠不足と肥満の悪循環を断ち切る「朝食のタンパク質」
体重減と睡眠改善を目指すために、朝食には「タンパク質」を積極的に取り入れてみましょう。
朝にタンパク質を摂ることは、体内時計をリセットして睡眠のリズムを整えるうえで大切です。特に生活が不規則になりやすい方ほど、朝のタンパク質が体のリズムを安定させる助けになります。
卵や魚、大豆製品などを朝食に取り入れることで、一日のスタートを快適に迎えられるだけでなく、夜の睡眠の質を高めやすくなります。朝の食習慣が、夜のぐっすり感につながるのです。
参考:たんぱく質・炭水化物・食物繊維の摂取量と睡眠の関係|~『Pokémon Sleep』×『あすけん』×『筑波大学』共同大規模調査・第2弾~
シフトワーク(交代勤務)はメタボや不眠のリスク増
交代勤務や夜勤の方は、生活リズムが乱れやすく、メタボリックシンドロームや不眠のリスクが高まることが分かっています。
特に夜勤では食事が不規則になりやすく、野菜・果物・乳製品が不足する一方で、砂糖や加糖飲料を多く摂りやすい傾向があります。

こうした食習慣の乱れを整える工夫として役立つのが、「食べる時間を12時間に収める習慣」です。
方法はシンプルで、最初の食事から最後の食事までを12時間以内に収めるだけでいいのです。
生活が不規則になりがちなシフトワーカーでも取り入れやすく、肥満や不眠のリスク軽減につながる可能性があります。夜勤後に帰宅してすぐ眠る場合は、たとえ午前中でも身体にとっては「夕食」にあたる時間帯です。夜勤明けの帰宅後は、高カロリーな食事は避けた方が、身体への負担が少なくなります。
逆に、夜勤時の仮眠後に夕方から活動を始める時間帯は、身体にとっては「朝食」の時間です。活動を始めるエネルギー源となるため、しっかり栄養をとることが望ましいでしょう。

まとめ:質の良い睡眠が、夜のドカ食いを減らすカギ
柴田先生の研究から見えてきたのは、「朝を抜いて夜に食べすぎる」習慣がメタボにつながりやすいという事実でした。
その背景には、睡眠不足によって食欲を調整するホルモンのバランスが乱れることが関係しています。昼や夜にエネルギーや脂質を摂りすぎる一方で、朝に不足しやすいカルシウムやビタミンを補えないことが、心と体に負担をかけていたのです。
改善の第一歩は、質の良い睡眠をしっかり確保すること。十分に眠れるようになると生活のリズムが整い、自然と食欲もコントロールしやすくなります。
そのうえで、食事では「夕食の炭水化物を少し減らす」「朝食にタンパク質やビタミン・ミネラルが豊富な食材を取り入れる」、そして可能であれば「3食をできるだけ均等に近づける」といった工夫を加えてみましょう。
「寝る大人は痩せる」を胸に、今日から試す小さな工夫が、明日のあなたをきっと軽やかに、そして健やかにしてくれるはずです。あなたにとって取り入れやすい方法から、ぜひ試してみましょう。
この記事でわかったこと
- 朝抜き・夜ドカ食いは肥満や不眠リスクを高める原因になる
- メタボの人ほどカルシウムやビタミン不足が目立ち、朝食で補うことが重要
- 特に効果的なのは夕食の炭水化物を減らす工夫。実践しやすさも高い
- シフト勤務者は12時間ダイエットで体調改善が期待できる
関連書籍
時間栄養学について、もっと詳しく知りくなりましたか?本記事を監修している柴田重信先生の「脂肪を落としたければ、食べる時間を変えなさい」をチェックしてみてくださいね。
▼参考書籍

【書籍情報】
タイトル:脂肪を落としたければ、食べる時間を変えなさい
著者名:柴田重信
出版社:講談社+α新書
形態:文庫本 / kindle版/楽天Kobo版
発売日:2022年10月21日
監修者
*「睡眠養生」は株式会社310LIFE(サトライフ)の商









