東京では秋の深まりを感じる2025年11月のなかば、街路樹の色づきを眺めながら羽田を出発し、冬の気配が少しずつ濃くなる札幌へ。
今回、北海道市町村共済組合様にお招きいただき、令和7年度若年層保険セミナーにて、若手職員のみなさまに向けて「より良い睡眠とポジティブメンタルヘルス」をテーマにお話ししました。
忙しさや情報の多さに揺れやすい世代だからこそ、心と睡眠のつながりにふれる時間が、日々の生活を見直すきっかけになればという思いで会場に立ちました。
中田尚子(編集部:しょぴ)この記事では、当日の雰囲気とともに、セミナーでお伝えした“今日から無理なく取り入れられる睡眠養生のヒント”の一部をお届けします!


睡眠の先生ではなく、失敗しながら学んできた“先輩”として
今回のセミナーで大切にしたかったのは、正しい知識を網羅的に伝える「睡眠の先生」ではなく、少し前を歩きながらアドバイスができる「先輩」のような心もちでした。
睡眠の知識はもちろん大切ですが、それ以上に、私自身が悩んだりつまずいたりしながら気づいてきたことが、同じように頑張っているみなさまの力になるのではないかと感じていたからです。



完璧である必要はありませんし、無理に頑張り続けなくても大丈夫。そうしたメッセージを、できるだけ日常の延長にある言葉でお伝えする時間にしたいと思いながらセミナーの準備をしました。
予期せぬバトンタッチから始まった、今回の睡眠セミナー
実は今回のセミナー、当初は310LIFE代表であり睡眠養生編集長の大木都(さとちゃん)が登壇する予定でしたが、スケジュールの都合により、私が引き継いで講師を務めることになったんです。
私自身、20代の頃に心の調子を崩し、医療機関に通いながら少しずつ立て直してきた時期があります。仕事の忙しさに押し流され、生活のバランスを見失ってしまった経験もありました。



だからこそ、専門家としての一方的な講義ではなく、日々つまずきながら学んできた”少し先を歩く先輩”として、経験や実感をていねいに手渡すようにお話ししたいと考えて担当させていただきました。
若い世代が抱えやすい、心と睡眠のゆらぎ
今回の受講者の中心は、北海道市町村共済組合の20代を中心とする職員のみなさまでした。
20代は、仕事にもプライベートにも全力で向き合いたい時期で、挑戦したいこともたくさんある方が多いと思います。
「多少眠くても、今を思いきり楽しみたい」
「健康より、まずは目の前のことを頑張りたい」



そんな気持ちは、私にもよくわかります。若い頃の私は、睡眠を後回しにしてでもやりたいことを優先していました。
けれど、睡眠を削る生活が続くと、脳や体がゆっくり休む時間を確保できず、心の回復も追いつかなくなっていきます。
疲れが抜けにくくなったり、気持ちの波が大きくなったり、集中したい場面でうまく踏ん張れなかったりと、思いもよらないところに影響が出ることがあります。その結果、本来は楽しめるはずのことが、負担に感じられてしまうこともあるのです。
さらに現代では、SNSを通して常に誰かとつながっていたり、たくさんの情報が流れ込んできたりと、心が知らず知らずのうちに疲れやすい環境でもあります。だからこそ、睡眠と心の状態を整えることが、明日のパフォーマンスを支え、未来の幸せをつくる大切な土台になっていきます。
セミナーでお伝えしたこと:心と睡眠は「セット」で整える


アニメーションのようにテンポよく切り替わるさとちゃん式プレゼン資料は、今回もほぼ100枚近く。
イラストを交えながらお話しすると、思わずうなずいてくださる方や、じっと考え込むような表情の方もいて、会場全体がやわらかい空気に包まれていました。
初めて聞く内容にも真剣に耳を傾けながら、時折ほっと笑いがこぼれるような場面もあり、私自身とても心地よい時間でした。
今回のセミナーでは、次のようなテーマについてお伝えしました。
| テーマ | 内容 |
|---|---|
| レジリエンスを高める方法 | ● ストレスは“生理反応”であること ● ストレスに対する回復力を高める方法 |
| 自分に合わせたセルフケアを知る | ● 睡眠改善のポイントは人によって異なる ● 自身に合ったセルフケアの方法とは |
| 睡眠は単なる休憩じゃないって? | ● 睡眠中は脳や身体のメンテナンスが行われている ● 寝不足なのに長寿、ショートスリーパー、睡眠についてのよくある疑問 |
| 戦略的な体調コントロール法 | ● カフェイン・光・運動・入浴・食事のタイミングなど、睡眠を妨げる要因と上手な距離の取り方 ● 昼寝(パワーナップ)のコツや時間帯の工夫を紹介 |
| テクノロジーと睡眠管理 | ● スマートウォッチやアプリを使った睡眠管理 ● 睡眠日誌などアナログな睡眠管理方法 |
メンタルヘルス:ストレスは「悪者」ではない
現代社会には、非常に多くのストレス要因があり、ストレスを完全にゼロにすることは不可能です。
だからこそ、セミナーでは「ストレスはあって当たり前のもの」という前提でお話ししました 。
重要なのは、ストレスを敵対視して排除しようとするのではなく、受け流して回復する「レジリエンス(回復力)」を高めること。
体がストレス過多の「ピンチ状態」になると、判断力が鈍ったり、イライラしやすくなったりと、本来のパフォーマンスが発揮できなくなってしまいます。



柳の木が風をしなやかに受け流すように、心も柔軟に保つこと。それが、長く活躍し続けるために大切なポイントであることを、実践的な方法も交えて具体的にお伝えしました。
睡眠:明日の自身を整える「メンテナンス時間」
ストレス社会に耐えうる「しなやかな心」を支えてくれるのが、睡眠です。
睡眠は単なる休息ではなく、疲れた心と身体を修復する「メンテナンスの時間」。しっかり眠って身体をリカバリーさせることで、私たちは自分の感情をコントロールしやすくなります。
また、良い睡眠は夜の準備だけでなく、日中の「食事」や「運動」といった生活習慣の積み重ねで作られます 。忙しい毎日、つい睡眠時間を削ってしまいがちですが、睡眠こそがポジティブで快適な毎日を作る土台になります。



私の「ほぼ寝ずに仕事&遊び」「気絶するまで飲酒」といった失敗談も交えつつ、睡眠の大切さと、今日からできる睡眠の整え方をお伝えしました。
睡眠セミナーでお伝えした「睡眠養生テクニック」の一部をご紹介!
セミナーでお伝えした内容の中から、日々の生活にすぐ取り入れやすい睡眠養生のコツをいくつかご紹介します。大きな変化を目指すのではなく、今日からそっと始められる小さな工夫ばかりなので、ぜひ無理のないペースで試してみてくださいね。
カフェインは「飲む時間」を少し意識するだけで変わる
朝のコーヒー、仕事の合間のお茶など……カフェイン飲料は、気分転換にぴったりですよね。
ただ、カフェインは体の中でゆっくり代謝されることがわかっています。個人差はありますが、夕方以降にカフェイン飲料を飲むと、夜に眠気が起こりにくくなるので注意が必要です。
今回の睡眠セミナーでは、午前中のコーヒーは健康や集中力の味方になりやすいこと、そして夕方以降のカフェインはできれば控えるとよいことをお伝えしました。



無理にやめる必要はありませんが、飲む“タイミング”を少し工夫するだけで、夜がぐっと休みやすくなります。どうしてもコーヒーが飲みたい方はデカフェ、お茶を飲みたい方はノンカフェインのハーブティーなどを選ぶのがおすすめです。


アルコールは「寝つきを助ける」ようでいて、実は睡眠の質を悪くする
晩酌の時間は心をゆるめてくれる大切なひとときですが、アルコールには利尿作用があり、夜中に目が覚めやすくなったり、睡眠が浅くなったりすることがあります。
寝酒で、寝つきがよく感じられても、実はあまりよく眠れていません。むしろ、脳や身体に負担をかけていることもあります。



そんなことを言われても、お酒が飲みたい!やめられない!やめたくない!
そんなときは、就寝の3時間前までに飲み終えるのがおすすめです。もし遅い時間まで飲酒をするときは、お酒と同量のお水(チェイサー)をこまめにとることで、身体への負担を軽減できます。



アルコールが大好きだった私ですが、眠ることの心地よさを知ってからは、飲酒量が減りました。完全にお酒をやめるのではなく、上手な付き合い方を獲得しつつあります。
ぐっすり眠れて、すっきり起きられるのって、お酒の楽しさを凌駕するほど気持ちいいことなんですよね。


戦略的な昼寝:「パワーナップ」を上手に取り入れる



日中、強い眠気が訪れて、集中力が途切れてしまうことはありませんか?
そんな時は、短い仮眠をとることで、その後のパフォーマンスが整いやすくなります。これが、世界的な企業でも実践されている戦略的な昼寝「パワーナップ」です。
ポイントは、ほんの15〜20分ほどの短い仮眠にとどめること。深い眠りに入ってしまうと、かえってだるさが残ったり、夜の眠りに響いたりするためです。
カフェイン飲料を飲んでから仮眠をとると、ちょうど目覚める頃にカフェインの作用が始まり、目覚めに頭がすっきりしやすくなります。寝姿勢は、完全に横たわるのではなく、机に突っ伏して寝るのがポイントです。
また、夕方以降のパワーナップは夜の睡眠に影響しやすいため、できれば就寝の6時間前までに終えておくのがおすすめ。アイマスクや耳栓を使えば、短い時間でも気持ちがふっと軽くなるような休息をとりやすくなります。


北海道のみなさまの温かさと、真剣な眼差しに触れて
今回伺ったのは、冬の入り口を迎えた札幌でした。
街にはうっすらと雪が積もり、空気はひんやりとしているのに、都会らしい活気も感じられる景色がとても印象的でした。その寒さとは対照的に、迎えてくださったみなさまの温かさに触れるたび、心の中がふんわりとほどけていくようでした。
会場には約120名の職員のみなさまが集まり、ひとつひとつの言葉を大切に受け取るような真剣なまなざしで耳を傾けてくださいました。その静かな熱気に、私自身も背筋が伸びる思いでお話ししていたのを覚えています。



ここでは、当日の会場の様子を少し振り返りたいと思います。
素晴らしい環境で迎えたセミナー当日


今回の会場は、ホテルの明るく広々とした会場でした。
天井が高く開放感があり、あたたかい照明に包まれた空間は、受講されるみなさまにも心地よく過ごしていただける雰囲気が整っていました。
控室もゆったりとしていて、本番前に気持ちを落ち着けながら準備ができたことが大きな安心につながりました。北海道市町村共済組合のご担当者様は早い時間からご挨拶に来てくださり、PC機材の設営まで丁寧にサポートしていただきました。
みなさまのお心配りのおかげで、当日は終始スムーズに進行し、私自身も安心してお話しすることができました。この場をお借りして、改めて感謝申し上げます。
真剣に向き合う姿勢に、胸が熱くなった時間


何より心に残ったのは、参加されたみなさまのまっすぐな姿勢でした。
会場にお越しくださった約120名の20代の職員のみなさまは、資料を丁寧に読みながら、スクリーンに視線を移し、一つひとつの言葉を逃さないように耳を傾けてくださいました。
私自身の失敗談をお話しした際には、そっと頷いてくださる方の姿もあり、「あの頃の私と同じ気持ちを抱えているのかもしれない」と感じる瞬間が何度もありました。睡眠というテーマを通して、お互いの経験がふっとつながるような、あたたかい空気が会場に広がっていたように思います。
最後に、真剣に向き合ってくださったみなさまへ、心からの感謝をお伝えしたいです。みなさまの姿勢が、私にとっても大きな励ましになりました。本当にありがとうございました。
おわりに:未来の自分を守るために、今日できる小さな一歩を
私たちはつい「もう少し頑張れるはず」と自分を追い込み、休むことを後回しにしてしまう場面が少なくありません。
特に体力のある20代のみなさまは、無理がきくからこそ睡眠を削ってしまうこともあると思います。でも、心と身体はいつも寄り添って働いていて、どちらかが疲れすぎると、お互いに影響し合ってしまいます。
今回のセミナーで私がお伝えしたかったのは、睡眠を大事にすることは、未来の自分をやさしく守ることにつながるということです。
「今の自分自身を、少し肯定してみようかな」
「今日は寝る前のスマホをほんの少し手放してみようかな」
そんな小さな選択でも、体調や気持ちの変化に気づきやすくなり、毎日が少しだけ過ごしやすくなります。大きなことをしなくても、無理をしなくても、自分に合ったペースでできる工夫はたくさんあります。



この記事を読んでくださったみなさまも、今夜はいつもより少しだけ、ご自身の睡眠を大切にする時間をつくってみてはいかがでしょうか。きっと、そのやさしさは明日の自分に静かに返ってきてくれるはずです!
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睡眠養生を運営している株式会社310LIFEでは、自治体の健康づくり事業や、企業の健康経営プログラムに向けた睡眠セミナーを提供しています。
これまでのセミナーでは、 睡眠のメカニズムや快眠のコツ、仕事のパフォーマンス向上など、科学的な根拠に基づいた実践的な内容をお伝えしてきました。
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執筆
*「睡眠養生」は株式会社310LIFE(サトライフ)の商標登録です。(商標登録:第6821898号)










