「睡眠には脳を冷やすといい」と耳にしたことはありませんか。
でも、なぜ脳を冷やすことが快適な睡眠につながるのか、詳しい理由までは知らない方も多いはず。
実際、私たちの体は深部体温が下がると眠気が強まり、自然に睡眠に入りやすくなります。そして脳の温度も同じように下がることが、質の高い睡眠に欠かせない条件なのです。
そこで本記事では、スタンフォード大学の西野精治教授の知見をもとに「脳を冷やす」と睡眠が良くなるメカニズムや、そのための枕選びのポイントを解説します。
この記事で分かること
- 深部体温や脳の温度と睡眠の深まりとの関係
- 脳を冷やすために枕の通気性が果たす役割
- 快適な睡眠のために枕選びで重視すべき条件
- シニア世代の枕の選び方
深部体温が下がるとき、自然な睡眠が訪れる
私たちの身体は、深部体温が下がると強い眠気を感じ、自然に睡眠へと移行しやすくなります。深部体温が下がるという生理的な変化が、安定した睡眠をとるための重要な条件になっているのです。
◉深部体温
私たちが脇の下などで測る体の表面温度とは異なり、脳や内臓内など体の奥(深部)の温度を指します。この深部体温が夜間に自然に下がると眠気が強まり、質の良い睡眠を促す鍵となります。
この就寝時の深部体温の変化を支えているのが、身体の熱を生み出す働きと、熱を逃がす働きのバランスです。
日中は運動や内臓の活動によって熱がつくられ体温が高まりますが、夜になると体は皮膚の血管を広げ、そこに温かい血液を流すことで熱を放散しようとします。
まるでラジエーターのように、皮膚から熱を外へ逃がすことで、深部体温を下げるのです。
このため皮膚の温度は深部体温とは逆のリズムを示します。昼間は皮膚が冷たく、夜に皮膚が温かくなるのは、内側の熱を外へ逃がそうとする仕組みの表れです。
赤ちゃんが眠くなると、手足やほっぺたがぽかぽかと温かくなり、赤みを帯びてきますよね。これは体が熱を逃がして深部体温を下げ、自然に睡眠に入る準備をしているサインなのです。

人気の低反発枕、合わない人もいる
西野先生は日本での帰国時に各地のホテルに宿泊することが多い為、たくさんの枕を実際に試す機会として、体験してきました。
ホテルによっては枕が何種類か用意されているところも増えてきています。いろいろ試した結果、1つはっきりしたのは西野先生にとって「低反発枕は合わない」ということ。
高密度のウレタン素材を使った低反発枕は、柔らかな感触で頭の形にフィットすることから、寝心地が良いと人気があります。
その反面、低反発枕は密着性が高い分、蒸れやすくなります。この素材の特徴から「熱がこもりやすい」という欠点が。
しかし、質の良い睡眠には脳の温度調整が欠かせません。深部体温と同じように、脳の温度も夜には下がる必要があります。
低反発枕の場合、「心地良い枕のフィット感」が、実は素材によって「熱がこもり、放熱が妨げられてしまっている」ことがあるわけです。
「朝までぐっすり眠った感覚が得られない」というお悩みは、もしかしたら放熱ができないことで、睡眠が妨げられているのかもしれません。
枕が通気性がよいものを選び「脳を冷やす」
睡眠は脳をクールダウンさせるものであり、より正確に言えば脳の温度が下がるから、眠くなるのです。
頭に熱がこもったままだと、脳が十分に冷えず、睡眠が浅くなったり途中で目覚めやすくなったりする原因になります。
そのため、熱を逃がしやすく通気性に優れた枕を選ぶことが重要です。

「脳を冷やす」枕を使うと、深い睡眠が持続しやすい
市販されている枕の中には、熱がこもりやすい構造のものも少なくありません。
寒い部屋で使うならまだしも、通常の環境では放熱が妨げられ、睡眠に悪影響を及ぼす可能性があります。
そこで、あるメーカーでは「脳を冷やすことで深い睡眠を持続させる」という点に注目し、枕の開発が進められてきました。
ところが、最初のモデルは高反発素材を用いるなど一定の通気性はあったものの、中央が厚く設計されていたため、反発が強く頭が安定せず眠っている間にずれやすいという課題がありました。
この経験を踏まえて西野先生が創業し、研究顧問を務めるブレインスリープ社で新しいファイバー素材の枕をつくりました。この素材が頭部とその周囲に形状に合わせた段階的な硬さを持たせることで、頭の収まりを良くしながら効率的な放熱を実現しました。

「頭を冷やす」というコンセプトを具現化したこの枕は、通気性に優れた高反発設計と安定したフィット感を両立させた製品として西野先生が研究顧問として監修した製品です。
結果として「脳が眠る枕」として高い評価を獲得し、発売当初から人気を集め、現在も高い支持を維持しています。
枕選びの鉄則は「通気性」と「頭の安定性」
枕を選ぶときは「高さ」「硬さ」「首の角度のフィット感」などを重視する方が多いと思います。
お店で試したときは「これなら完璧!」と感じても、実際に家で寝てみると「なんだか熟睡できない」「また失敗したかも」と思った経験はありませんか?
低反発枕で熱がこもるケースに触れましたが、一方で高反発素材のタイプにもウレタン素材を使った製品が多く、同じように熱がこもりやすい傾向があることにも、選ぶ際には気をつけましょう。
ファイバー素材を使った枕は通気性がよく脳を冷やす効果に優れていることが多いですが、形状によっては頭が安定せず、寝ている間に頭のポジションがずれて快適な睡眠を阻害してしまうことがあります。
つまり枕選びで最も重要なのは、「熱がこもらず放熱できること」と「頭がしっかり安定してズレないこと」の両立です。
どんな素材であっても、個人の体調や体型に合わせて快眠状態には個人差が出てしまいます。この2つの条件を満たしているかどうかが、快適な睡眠のための鉄則といえるでしょう。

体温調節が不安定なシニアにも、通気性の良い枕が助けになる
個人差の他、加齢によっても配慮が必要です。実は高齢になると体温調節がうまく働かず、深部体温が下がりにくいことで寝つきにくくなることがあります。
こうした場合に助けになるのが、通気性に優れた枕です。頭部の熱を効率的に逃がすことで、体の自然な体温変化を妨げず、快適な睡眠を後押しします。
つまり、高齢者の枕を選ぶときにも、高さや硬さに加え「熱がこもらない設計かどうか」が重要なポイント。年齢を重ねても心地よく眠るために、通気性を意識した枕選びを心がけましょう。

まとめ:脳を冷やす枕で、最高の睡眠を体験してみよう
深部体温が下がると自然に眠気が訪れるように、脳も冷えることで質の高い睡眠が得られます。
脳を冷やすためには、熱がこもらず、頭をしっかり支えて安定させる枕を選ぶことが大切です。通気性に優れた設計であれば、頭部の放熱を助け、深い睡眠の持続につながります。
逆に、熱がこもりやすい枕では、朝のだるさや夜中の中途覚醒を招いてしまうことも。枕選びは「高さや硬さ」だけでなく「放熱性と安定性」のバランスが重要です。
快適な目覚めを実現するために、ぜひ「脳を冷やす枕」を体験してみませんか。
この記事でわかったこと
- 深部体温や脳が冷えることで自然に睡眠が深まる
- 通気性の良い枕が脳を冷やし睡眠の質を高める
- 枕選びは「放熱性と安定性」を両立させるのが鉄則
- シニア世代こそ通気性の良い枕で快適な睡眠を得やす
関連書籍
睡眠の身体のメカニズムについて、もっと詳しく知りたくなりましたか?本記事を監修している西野先生の著書もチェックしてみてくださいね。
▼参考書籍

【書籍情報】
タイトル:スタンフォード大学西野教授が教える 間違いだらけの睡眠常識
著者名:西野 精治
出版社:PHP研究所
形態:文庫判
発売日:2025年02月26日
監修:西野 精治(にしの せいじ)
*「睡眠養生」は株式会社310LIFE(サトライフ)の商標登録です。(商標登録:第6821898号)









