夜、眠っているときに見る夢。
楽しい夢なら嬉しいですが、本当に不思議な夢のときもあれば、怖い夢やストレスを感じる夢を見ることもありますよね。一方で、「ほとんど夢を見ない」と感じている方もいるかもしれません。
夢に関する研究は昔から行われて来ましたが、近年の研究ではトラウマといわれるネガティブな要因だけではなく、夢で脳のリフレッシュやストレス対処の役割を果たしていることがわかってきました。
本記事では夢のメカニズムや、夢を見る方・見ない方の違いについて、研究データをもとに解説します。怖い夢ばかり見てしまう理由や、その対策についてもご紹介するので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
この記事でわかること
- 夢を見るときと、見ないときの違い
- レム睡眠にはどんな意味があるのか
- 怖い夢ばかり見る理由と考え方
睡眠時間の長さが、夢の記憶に関係する
毎晩のように夢を見る方もいれば、「ほとんど夢を見ない」という方もいますよね。
その違いには、睡眠時間が大きく関係していると考えられています。
一般的には6時間以上の睡眠をとることで、レム睡眠の時間が増え、夢を見る機会が多くなるといわれています。
基本的に、眠っているときには全員が夢を見ていると考えられています。日頃から「夢を見ない」という方でも、睡眠時間を増やすことで夢を見て、起きている時にも覚えている機会が増える傾向があります。
反対に、短時間睡眠の人はレム睡眠の時間が少なく、「夢を見ていない」と感じることが多いようです。
最新の研究では、深い睡眠と呼ばれるノンレム睡眠でも夢を見ていることがわかっていますが、抽象的な内容が多いといわれています。
鮮明な夢はレム睡眠中にみていますが、レム睡眠には「忘却作用」があるため、起きた時点では覚えてないことが大半です。
悪夢は見たくない!レム睡眠は少ない方がいいの?
かつて、夢を見るレム睡眠は「浅い睡眠」だとされてきましたが、近年の研究ではレム睡眠中に非常に重要な記憶処理がされていると注目されています。
さらに、レム睡眠で夢を見ている間は脳の血流量が増加し、老廃物の除去や物質交換が活発に起こることがわかってきました。実際、論理的な思考を司る前頭前野の活性が低下する反面、視覚連合野や扁桃体、海馬などは起きているときと同じぐらい活発に活動しています。
鮮明な夢はレム睡眠中に見ていると考えられる一方で、夢を見ている間に脳の情報処理やメンテナンスが活発に行われていると考えると、レム睡眠を減らすことは、よくありませんよね。
「嫌な夢を見るなら、レム睡眠なんていらない!」と思うかもしれませんが、実はレム睡眠には重要な役割があると研究が続いています。レム睡眠の不足で認知症のリスクが増加することも研究で示唆されています。
夢を見ることは、身体の大切な働きの一部と思ってみると、少し夢へのイメージが変っていきませんか?
では、ストレスを感じる夢の内容を、どう受け止めるとよいのでしょうか。
悪夢を見たらラッキー!?恐怖への予行演習でメンタル強化
怖い夢や不快な夢を見ると、目覚めたときに嫌な気持ちになることがありますよね。
しかし、実はこうした夢も脳のリフレッシュやトレーニングの一環と考えられています。ある睡眠の専門家によると、「怖い夢を見たらラッキー」と捉えることもできるそうです。
なぜなら、夢の中で失敗したり、嫌な出来事を体験したりすることは、脳がストレスやトラブルに備えて予行練習をしているから。現実では経験したくないようなミスや危険な状況を、夢の中でシミュレーションすることで、実際の生活で落ち着いて対応できる力がつくとも考えられています。
つまり、嫌な夢や怖い夢を見たときは、脳がしっかり働いている証拠。
決して「予知夢かも……」なんて不安に思わないでください。
ストレス耐性が高まるための夢だったとして「あー、夢で良かった!」と、自身の成長につながったと考えるようにしましょう。
ペンシルバニア州立大学の研究では、全般性不安障害の方の心配事の91.4%が現実には起こらなかったと報告されています。「怖い夢を見たからって、ほとんど実際には起きない。」「夢はある意味では脳トレ・感情トレーニング」と思えば、現実とは別問題として区別できますよね。
怖い夢を見ても、少し気持ちが楽になりませんか。
参考:心配の偽りを暴く:全般性不安障害の治療における偽りの心配の割合

怖い夢ばかり覚えているのはなぜ?
なぜか、目が覚めると楽しい夢よりも「怖い夢ばかり記憶に残っている」と感じることはありませんか?
古い研究では、起床時に「夢日誌」をつけて夢の内容を記録する研究が行われました。この研究の結果、怖い夢や不快な夢を記録する方が多かったのです。人は、目覚めたときに強く印象に残っている夢を書き留める傾向があるともいわれています。
人間の脳は、本能的に危険を察知するようにできています。そのため、楽しい夢よりも、怖い夢や不安を感じる夢のほうが強く記憶に残りやすいと考えている研究者もいます。
またレム睡眠中に鮮明な夢をみるとされているので、忘却作用よりも強烈な印象で怖い夢を覚えているのかもしれません。実際には幸せな夢や笑っちゃうような楽しい夢もたくさん見ているはずなのに、意識には残らず忘却しているのかもしれません。
つまり、怖い夢が続いたとしても
- 誰もが眠っている時には、必ず夢を見る
- ひと晩でも、さまざまな夢を見て様々な記憶メンテナンスが行われている
- 目覚めの時間帯はレム睡眠状態が多いので、鮮明な夢が記憶される傾向がある
- たまたま怖い夢が起床時に記憶に残った
- 怖い夢はありえないことを想像するメンタル強化の予行練習だ
ということになります。
ある意味正常な反応の1つでしかなく、夢の出来事は単なるイメージなので、現実とは切り離して深く考えないように意識してみましょう。それでも、怖い夢のせいで眠ることが怖くなってしまうのなら、睡眠の専門医に相談してみてくださいね。
ストレスや不安が強いときは、悪夢を見やすくなることも
強いストレスや不安を感じ続けていると、その影響が夢に表れることがあります。
特に、心に深い傷やトラウマがある場合、夢の中で繰り返しその記憶を思い出してしまうことがあります。
1日の活動内容に応じて、脳の記憶処理が行われると仮定してみましょう。日中、悪夢の内容に不安を感じてとらわれすぎていると、それが記憶に定着し、さらに同じ悪夢を見やすくなるとも考えられるのです。

もし同じような悪夢を繰り返し見ることがあっても、あまり深く考えず、「脳がストレスを整理してくれているんだな」と軽く受け流すことを意識してみましょう。受け流すクセをつけることも、ある意味では脳トレです。
また、嫌な夢を繰り返し見ないようにするためにも、寝る前はリラックスする事がポイントです。
リラックスしている状態はストレスや不安感の影響を軽減し、睡眠の質を改善することにつながっていきます。何度も怖い夢を見ていると思ったら、あの手この手で、自身にあった睡眠時のリラックス方法を試してみましょう。
- 就寝前のノンカフェインハーブティ
- アロマ
- リラックスできるBGM
- 肌触りの良い寝具
- 目元に光がこないフットライトなどを使う
- 耳元を温める
- 柔らかいアイマスク
- テアニンやGABAなどの睡眠サプリ
怖い夢ばかり見るのは、眠れている証拠
「怖い夢ばかり見る……」と感じる方は、睡眠が取れていると前向きに考えてみてください。
夢の内容がたとえイヤなものだったとしても、それは脳がしっかり働いている証拠。レム睡眠が脳の情報整理をしています。
7~8時間しっかり眠る方ほど、夢を見ることが多い反面、「まったく夢を見ない」と感じる方の多くは睡眠不足が蓄積し、就寝中は脳の情報整理をする余裕がなく爆睡しているケースもありえます。
いつも短時間睡眠で「夢なんか全く見ない!」というのも、かえって心配です。Google FitbitやApple Watchなどの睡眠計測ができるスマートウォッチやアプリで睡眠を可視化してみてください。レム睡眠が少ないーーなんてアプリに表示されるかもしれません。
睡眠の長さや質を振り返る指標のひとつとして、夢の有無を意識してみるのもいいかもしれません。
まとめ:夢を見るレム睡眠は脳にとって大切な時間

夢は、脳がリフレッシュし、ストレスに備えるための大切な時間です。
実際の研究でも、夢を見ている間に脳が活発に働き、情報を整理していることが明らかになっています。怖い夢や不快な夢も、脳が感情を整理し、ストレスに適応するための「予行練習」なんです。
「怖い夢を見たから、何か悪いことが起こるのでは……」と不安になることもあるかもしれませんが、それは脳がしっかりと機能している証拠。むしろ、夢の中でシミュレーションをすることで、現実のストレスにも冷静に対応できる力が養われているのです!怖がりすぎないようにしましょう。
夢は、まだまだ解明されていない部分も多いですが、さまざまな興味深い研究が続いています。睡眠時間や質を意識することで、その傾向を変えられるかもしれませんし、夢をコントロール出来る時代もくるかもしれません。怖がりすぎずに夢を見て過ごしましょう。
もし「最近、夢をあまり覚えていないな」と感じる場合は、睡眠時間が短い可能性があるので、+30分など、少しだけ長く眠ってみませんか?不足した睡眠が徐々に増えることで、夢の状態だけではなく、日中のパフォーマンス(脳のすっきり感)も変わってくると思います。
夢は、あなたの心と身体を守るために必要なもの。たとえ嫌な夢を見たとしても、それが現実になるわけではありません。安心して、今日も心地よい眠りにつきましょう。
この記事でわかったこと
- 睡眠時間が長いと夢を見る傾向にある
- 夢を見るレム睡眠では脳の血流量が増え、情報処理やリフレッシュなどを行っている
- 怖い夢は脳が現実に起こるストレスの予行演習をしている証拠、予知夢ではないのであまり気にしないことが大切
- 怖い夢を避けるには、リラックスした状態にするのが一番。怖がりすぎないのがポイント!
この内容をPodcastのラジオ番組で聞くことができます。
監修
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