「早寝早起き」は素晴らしいことだと、私たちは子供のころから教えられてきました。
ところが、睡眠について学びを深めていくと、この「早寝早起き」という考え方が、必ずしもすべての人に良い影響があるわけではないことがわかってきます。むしろ、人によってはこの常識が、かえって睡眠の悩みを長引かせてしまうことも。
「早く寝よう」と無理に就寝時間を前倒しし、「早く起きなければ」と自分を追い込む。この順番で取り組むと、睡眠が整うどころか、寝つきの悪さや睡眠の質の低下につながることもあるのです。
睡眠の悩みを根本から見直すためには、これまで当たり前だと思っていた考え方を、一度立ち止まって見直すことが大切です。
では、心地よい睡眠を得るためには、どこから整えていけばよいのでしょうか。この記事では、「早寝早起き」がうまくいかない理由と、無理のない睡眠の整え方について、わかりやすくご紹介していきます。
この記事でわかること
- 早寝早起きが間違いってどういうこと?
- 早寝早起きへのこだわりが不眠につながる理由
- 睡眠改善のための新常識とは
眠気のリズムを無視すると不眠リスクが高まる
私たちの体は一日の体内リズムに従って動いていて、そのリズムが睡眠の質にも大きく影響しています。眠気が訪れるタイミングも、この身体メカニズムによって決まっています。
いつもの就寝時間の1~2時間前は、最も眠くならない
私たちの体は「日内変動」と呼ばれるリズムに従って、自然と眠気を感じるようになっています。
ランチの後に、眠気を感じることがありますよね。これは「アフタヌーンディップ」といって、体内時計によって午後2時頃に自然に起こる軽い眠気です。
そして、夜になると本格的な眠気がやってきて、ぐっすり眠れます。
一方で、就寝1~2時間前は「睡眠禁止ゾーン」といって、眠気が最も少ない時間帯です。そのため「早寝しよう!」と、いつもより1~2時間早く布団に入っても、残念ながらスムーズに寝付くことができません。
これが「早寝早起き」がうまくいかない主な原因だと考えられます。
参考:Ultrashort sleep-waking schedule. III. ‘Gates’ and ‘forbidden zones’ for sleep

眠くないのに布団に入ると、ますます眠れなくなる
眠くないのに布団に入っても、寝つきが悪くて「なかなか眠れないな」と不安になります。
これが続くと「明日もまた眠れないかも」とますます不安が募り、余計に眠れなくなってしまうんです。こうした経験が積み重なると「布団に入る=眠れない」というイメージと結びつき、不眠が習慣化する可能性もあります。
さらに睡眠に対する不安感が強くなると、眠るのが難しくなる「睡眠障害」という状況に陥ってしまうこともあるのです。
つまり、「早寝早起き」が理想的だと信じて、普段より早く眠ろうとすると、かえって眠れず「睡眠障害」に繋がるリスクが増加するのです。
そのため、無理に早寝をするのは推奨できません。眠気を感じてからに布団に入り、スムーズに寝付けるのが理想です。
参考:STIMULUS CONTROL TREATMENT FOR INSOMNIA(PDF)
新習慣【早起き→早寝】で、次の早起きを成功させよう
睡眠を整えたいとき、つい「今日は早く寝よう」と考えてしまいがちですが、実はうまくいく順番は逆です。
大切なのは、早く寝ることよりも、まず早起きから始めること。
私たちの身体は、起きて活動している時間が長くなるほど、自然と眠くなります。朝早く起きて一日をスタートさせると、その分しっかり活動する時間が確保され、夜には「ちゃんと眠る準備」が整いやすくなるのです。
さらに、朝の光を浴びることも大切なポイントです。朝日を浴びると、脳の中では「セロトニン」という物質が分泌されます。セロトニンは、頭をすっきり目覚めさせたり、気持ちを安定させたりする働きを持っています。

朝から日中に分泌されたセロトニンは、時間が経つと、夜に「メラトニン」という眠気を促す物質へと変わっていきます。目安として、朝に光を浴びてから約13〜15時間後に、メラトニンが分泌されやすくなると言われています。
つまり、早起きしてしっかり光を浴びていると、その日の夜は自然と「眠る時間ですよ」というサインが出やすくなるのです。無理に早く寝ようとしなくても、身体のほうから眠りに向かう流れがつくられていきます。
だからこそ、睡眠を整えたいときは、夜を頑張るよりも、朝を少しだけ整えることが近道。いつもより少し早く起きて、光を感じながら一日を始める。その積み重ねが、無理のない自然な睡眠につながっていきます。

睡眠改善には「早起き早寝」の順番が重要!
睡眠改善のためには、生活習慣に合わせて体内時計や眠気のリズムが整うように調整しておくことが大切です。
朝早く起きて一日のスタートを早めると、夜には自然と眠気がやってきて、スムーズに眠りにつくことができます。
眠くないのに、無理にお布団に入って「眠れない」と悩むのは避けましょう。お布団の中で眠れない経験が増えると、脳が「お布団=眠れない場所」と認識してしまいます。
これからは「早寝早起き」ではなく、「早起き早寝」の順番を意識してみてください。自然な眠気に従って、心地よく眠りにつく習慣をつけましょう!
この記事でわかったこと
- 多数の研究から早寝早起きが合理的ではないことが解明されている
- 身体のリズムが乱れていると早寝ができず、眠れない不安が不眠につながる
- 睡眠の新常識は「早起き→早寝」!早寝したいなら先に早起きすることが重要
この内容をPodcastのラジオ番組で聞くことができます。
監修
執筆
*「睡眠養生」は株式会社310LIFE(サトライフ)の商標登録です。(商標登録:第6821898号)






















