小学生でも睡眠不足?健康や学力への影響と、今すぐできる改善方法を解説

小学生がいるご家庭では、子どもの睡眠時間をどれくらい確保していますか?

推奨されている小学生の睡眠時間は9~12時間。しかし、現代では多くの子どもがその時間を十分に確保できていないのが現状です。

それどころか、4~5人に1人の割合で、小学生が睡眠不足や睡眠障害に悩んでいるとも言われています。では、小学生の睡眠不足はどのようなリスクを伴うのでしょうか?

この記事では、子どもたちの睡眠不足のリスクとその対策について詳しくご紹介します。

この記事でわかること

  • いまどきの小学生の睡眠事情
  • 子どもの睡眠不足が引き起こすリスク
  • 子どもの睡眠不足を改善する方法
目次

現代の小学生の睡眠事情

大人が自分の子供時代を振り返ると、小学校では日中に学校でたくさん体を動かし、夜には9時ごろには寝ていた、そんな生活を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

しかし、パンデミックの影響で、外出や友人と自由に遊ぶことが制限された環境で育った小学生たちのライフスタイルは、私たち親世代とは大きく異なります。

さらに、小学生の生活習慣は家庭環境に大きく左右されます。女性の社会進出が進んだことで、夕食や家族で過ごす時間が遅くなる傾向も見られるようになりました。

実際に、かなり多くの子どもが睡眠不足というデータが出ています。

小学生の約80%は21時以降に就寝している

厚生労働省が行った調査では、子どもたちの睡眠について驚くべき実態が明らかになりました。

2001年以降に生まれた4万人以上の子どもを対象にした調査では、なんと21時前に就寝する子どもはわずか5人に1人しかいなかったのです約80%の子どもは、21時以降に就寝していることになります

さらに、22時台に寝る子どもも多いという結果が出ていました。

小学生の約20%は睡眠の問題を抱えている

また、子どもたちの中で4〜5人に1人は、睡眠習慣の乱れや睡眠障害を抱えているといわれています。

子どもの睡眠不足は体調や健康状態に大きな影響を与えるため、保護者は子どもをしっかりと眠らせることが重要な課題です。

これは、共働き家庭が増えたことが要因といわれています。特に両親が残業で帰宅が遅くなると、子どもたちの就寝時間が遅くなってしまうのです。現代の全体的な社会環境が、子どもの睡眠不足に影響していると考えられるでしょう。

小学生の理想的な睡眠時間は9~12時間

小学生の理想的な睡眠時間は、9時間から12時間とされています。

実際、みなさんのご家庭ではどれくらい眠れているでしょうか?おそらく、9時間睡眠すら確保できていないというケースが多いのではないでしょうか。

特に今の小学生は、4年生頃から受験を見据えて塾通いが始まることも多く、習い事も増えて忙しい毎日を過ごしています。

放課後には塾へ行って帰宅が遅くなったり、週末にはテストがあったり土日ですらのんびりできないことが多いするため、9時間睡眠を確保するのは非常に難しいのが現状です。

子どもの睡眠不足が引き起こす6つのリスク

睡眠不足が続くと、子どもたちの成長や健康にどのような影響があるのでしょうか?

実は、成長期における脳や体の発達に悪影響を与えるだけでなく、日常生活にも多様なリスクが増えてしまいます。ここでは、そのリスクを大きく6つに分けてご紹介します。

1. 免疫力が低下し、病気に罹患しやすくなる

まず1つ目のリスクは、病気にかかりやすくなることです。

身体をしっかりと休める時間が取れないと、本来の防御機能が十分に発揮できません。子どもはよく風邪をひきますが、睡眠不足が続くと免疫機能が十分に働かなくなり、さらに体調不良が増えます。

感染症にかからない子どもは、手洗いだけでなく、しっかりと睡眠を確保し、免疫力を高めていると考えられます。

2. 成長ホルモンが減少し、発育が遅れる

2つ目のリスクは、発育の遅れです。

睡眠中に分泌される成長ホルモンは、眠り始めた直後の「深いノンレム睡眠」中に多く分泌されます。子どもは大人に比べて成長ホルモンの分泌量が多く、このホルモンは身体の成長に欠かせないものです。

しかし、思春期前に十分な睡眠がとれないと、成長ホルモンの分泌が不十分になります。そして子どもの発育の遅れは、後から取り戻すことは難しいとされています

また、睡眠時間が短いだけでなく、睡眠の質が悪いことも成長に影響を及ぼします。たとえば、睡眠時に呼吸が止まる「睡眠時呼吸障害」を持つ子どもは、低身長になりやすいことがわかっているのです。睡眠時無呼吸症候群などの就寝時にいびきを伴うような呼吸障害は子供でも疾患を抱えているケースがあります。

子どもの発育が遅れていると感じたら、栄養面だけでなく、しっかりと眠れているかどうかも確認してみることが大切です。

3. 運動能力の低下

3つ目は、運動能力の低下です。

子どもの体力調査によると、睡眠時間が短い子どもほど体力の点数が低いという結果が出ています。十分な睡眠を取ることは、体力の向上にも大きく影響しているのです。

4. 学力の低下

そして4つ目は、学力の低下です。

日本やアメリカの調査でも、早寝早起きが習慣で十分に眠っている子どもの方が、学力が向上しやすいというデータがあります。睡眠中に記憶の定着や技能の向上が効率的に行われることが、この結果につながっているようです。

5. 感情のコントロールが難しくなる

5つ目は、感情のコントロールが難しくなることです。

イライラしやすくなったり、不安を感じやすくなったりと、感情の起伏が大きくなります。大人も睡眠不足でメンタルが不安定になりますが、子どもにも同様の影響があるのです。

特にアメリカの研究では、睡眠不足の子どもほど怒りっぽくなり、衝動的な行動が増えることが報告されています。お子さんが感情的になりやすい場合、まずは十分な睡眠を確保できているか確認してみることが大切です。

6. 肥満になりやすい

最後の6つ目は、肥満になりやすいことです。

睡眠不足が続くと、食欲を抑えるホルモンが低下し、食欲を高めるホルモンが増加します。食欲のコントロールが難しくなり、肥満に影響してしまうのです。

さらに成長ホルモンの分泌が不足し、代謝が低下するのに加えて、満腹感を感じにくくなって食べ過ぎてしまう傾向が強くなります。結果として、偏った食事や過食につながり、肥満のリスクが高まります。

これらのポイントを考えると、子どもにとって睡眠がいかに大切か、改めて重要視したいところです。

睡眠と健康:幼児期から思春期前
https://www.niph.go.jp/journal/data/64-1/201564010002.pdf
保健医療科学 2015 Vol.64 No.1 p.3-10

子どもの睡眠
https://www.niph.go.jp/journal/data/61-1/201261010003.pdf
保健医療科学 2012 Vol.61 No.1 p.11-17

子どもの睡眠と脳の発達─睡眠不足と夜型社会の影響─
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tits/15/4/15_4_4_34/_pdf/-char/ja

子どもの睡眠不足を改善する方法

早く寝ることを促しても、なかなか眠ってくれない場合もありますよね。そんなときに試したい、子どもが自然と眠ってくれる対処方法を4つ紹介します。

「早起き早寝」の習慣化!先に早起きをさせよう

「早寝早起き」をさせようと促しても、子どもに「まだ眠くない」と反発される場合があります。

そこでおすすめの方法が「早寝早起き」ではなく、「早起き早寝」の徹底です。

前日の就寝時間が遅くても、翌朝には「早起き」をさせ、朝食を食べさてみてください。すると体内時計がリセットされ、夜になると自然に眠くなります。

特に休日は、「ゲームしよう」「出掛けよう」など、楽しい提案をして積極的に起こしてみましょう。休日だからといって昼までダラダラ寝るのをやめさせ、平日と同じ時間に起床・就寝させることが、良好な睡眠リズムを作るポイントです。

昼寝は短時間ですっきり!10~20分程度で起こそう

昼間に眠くなっても、長時間の昼寝は避けましょう。

10〜20分程度の短い昼寝で十分にすっきりするので、昼寝は短時間にとどめるのがポイントです。

せっかく早起きしたのに、昼間にダラダラと寝てしまうと、夜の寝つきが悪くなる原因になります。日中は、できるだけ活動的に過ごすことを心がけてみてください。

夕方以降は照明を暗めにする

夕方以降は、リビングや子ども部屋の照明を少し暗めに調整するのが効果的です。

室内をダウンライトにして、落ち着いた環境を整えてあげましょう。そうすることで、自然と20~21時頃には目がしょぼしょぼしてきて、眠気が出てくるようになります。

例えば、21時に寝かせたい場合は、19時から20時の間にお風呂を済ませておくと良いですね。お風呂上がりに薄暗い照明の中でリラックスして過ごし、子どもが自然と「眠いな、寝ようかな」と思うリズムを作りましょう。

夕方以降はカフェイン飲料を避ける

夕方以降は、カフェイン飲料に注意してください。

特に17時以降は、コーラやエナジードリンク、紅茶や緑茶などのカフェイン飲料は避けましょう。

これにより、子どもが自然に眠りやすくなり、体調も整います。子どもが快適に過ごせることで、ご家族全体の健康的な生活リズムも保たれるでしょう。

小学生のうちは、スマホの使用時間を親が管理しよう

現代では、小学校高学年になるとスマートフォンを持っている子どもが増えていますよね。

特に中学受験を目指すお子さんがいるご家庭では、塾との連絡やGPS機能のためにスマートフォンを持たせる方も多いかと思います。

しかし、そのスマホが原因で、生活リズムが崩れがちです。子どもにとって、自制心だけでスマートフォンの使用をコントロールするのは難しいでしょうう。

そのため、親の方から使用時間を管理し、特に夜はスマホを控える環境を整えてあげることが大切です。スマホが発するブルーライトは、寝る前に直視すると睡眠の質を下げることがわかっているので、夜間は連絡以外の利用を制限するなどの対策をしてみてください。

睡眠の質が気になったら、病院で相談してみよう

子ども自身が、睡眠の質について考えることはありません。

保護者からみて、就寝時に気になる症状(特に呼吸時の音など)がある場合には、小児科で相談をしてみましょう。

共働きだと、気になる症状があっても病院に行く時間を作るのは難しいこともありますよね。そんな時は、発熱や予防接種、歯科検診などの機会を活用しましょう。母子手帳に付箋などでメモを貼り、次回の診察時にまとめて質問できるよう準備しておくと便利です。

診察時には「実は、睡眠時にひどくいびきをかくことがあります。寝起きがつらそうに見えることも多く、成長への影響が心配です」といったように、気になる症状を一緒に相談してみましょう。呼吸や口腔の問題については、小児科以外にも小児を診察する口腔外科で対応してくれることがあります。

以下のような症状があれば、睡眠の質に要注意のサインです。

  • 大きないびきをかく・呼吸が苦しそう
  • しっかり眠らせても、朝起きられない
  • 朝から機嫌が悪い
  • 日中うとうとしていることが多い
  • 寝ている間に異常行動があるようだ
  • 寝付きが悪い・何度も目が覚める

睡眠の質が幼少期から悪い場合、一生物のリスクに繋がります。睡眠時無呼吸症候群以外にも様々な睡眠の疾患が隠れているケースがあるので、しっかり眠れていない様子を感じられた場合には、睡眠専門医で相談をしてみましょう。

睡眠が改善されて体調や機嫌が良くなると、子供自身が快適に過ごせるのはもちろん、保護者にとっても、笑顔で過ごす子供たちの姿を見守れることは大きな喜びです。

たとえ問題が見つからなかったとしても、専門医に相談し、睡眠の質に問題がないと確認できれば安心できますよね。気になる症状がある場合は、ぜひ放置せず、適切な対応をしてあげましょう。

まとめ:子どもの睡眠習慣を見直して未来の健康を守ろう

小学生の睡眠不足は、多くの家庭で見られる問題です。

だからこそ、大人が意識的に子どもの睡眠時間を確保することが大切です。小学生の場合、学年や体調によって必要な睡眠時間は異なりますが、一般的には9〜12時間が推奨されています。

睡眠時間をしっかりと確保することで、子どもの健康や成長に多くのメリットがあります。

逆に、睡眠不足になると病気のリスクが増えたり、成長が遅れたり、運動能力や学力が低下します。また、イライラや不安感が募り、さらには肥満になりやすくなるなど、避けたい問題が起こる可能性があります。

子どもたちが健やかに成長するためには、スマートフォンの使用時間を管理し、就寝時間を適切に導いてあげることが大切です。親が睡眠を意識して整えてあげることが、子どもの健やかな成長につながります。

それだけでなく、子ども自身が「睡眠は自分の健康や学力、体力を高めるために大切なもの」と理解することが重要です。幼い頃からこの意識を持つことが、将来にわたって大きな財産となります。

一日の生活リズムをしっかり見守りながら、子どもの睡眠をサポートしていきましょう。

この記事でわかったこと

  • いまどきの小学生は80%以上が睡眠不足というデータがある
  • 子どもの睡眠不足は病気リスクを高め、学力や体力を低下させる
  • まずは早起きをさせることから始め、1日を通して生活リズムを整える
  • 子供にも睡眠疾患が隠れているケースがある
  • 気になる症状がある場合は、専門医に相談をしましょう

この内容をPodcastのラジオ番組で聞くことができます。

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