睡眠を改善するためにサプリメントや栄養成分を探しているけれど、どれを選べばいいのか迷っていませんか?
そこで今回は、医療関係者が出資して誕生した医療機関専売サプリメントメーカー、株式会社ヘルシーパスの代表取締役社長で、業界に詳しい田村忠司氏に、睡眠を改善するために効果的な成分について教えていただきました!
睡眠改善サプリメントに興味があるけれど、実際はどの成分を選べばよいのか、迷っている方、睡眠の質を向上させたい方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。
もし、まだ前編をご覧頂いていない方は前編からチェックしてみてくださいね。
この記事でわかること
- 睡眠改善に役立つサプリメント成分とその効果
- 質の良い眠りに必要な栄養素「マルチビタミン&ミネラル」や「鉄分」の重要性
- カフェインの摂取や薬の使用が睡眠に与える影響
- 睡眠の質を高めるための日常生活の見直しポイント
睡眠改善におすすめのサプリメント成分
さまざまなサプリメントがあふれる時代、選び方も難しいですよね。せっかくサプリメントを取り入れても、「これで本当に意味があるのかな?」と感じることがあるかもしれません。
これは、広告による「なんか効きそう!」というイメージに流されてサプリメントを選んでいることが一因と考えられます。本来、サプリメントは栄養補助食品であり、生活習慣や性別、年齢、体調によって必要な成分は異なるのです。
そのため、自身に必要な栄養を補う成分をしっかり見極めて選ぶことが重要です。
本記事では、睡眠に役立つ成分を詳しく解説します。気になっていた成分について改めて確認し、自分に合った選び方をチェックしてみましょう。

睡眠に関してよく聞く「メラトニン」って何?
まず、質の良い眠りに欠かせない成分を調べていると、よく聞くのは睡眠ホルモン「メラトニン」ではないでしょうか。
メラトニンは、哺乳類では松果体(しょうかたい)で合成・分泌されるホルモンです。概日時計と外部の明暗リズムの両方によって調整され、主に暗い夜間に合成されます。
サプリメントとしてのメラトニンは、アメリカでは広く利用されていますが、日本では規制があり使用できません。メラトニンをはじめとする海外サプリメントを、個人並行輸入で利用するケースもあります。
しかし、前編でお伝えしたように海外仕様のサプリメントは必ずしも日本人の体質や摂取量に適しているとは限りません。成分の過剰摂取などには十分注意が必要です。
そのため、日本ではメラトニンの生成をサポートする栄養素に注目し、上手に取り入れるのが現実的です。直接メラトニンをサプリメントとして摂取しなくても、睡眠改善効果が期待されるさまざまな成分があると報告されています。
では、具体的にどのような成分を摂れば良いのでしょうか?
基本は「品質の良いマルチビタミン&ミネラル」
睡眠を改善するために、まずは「品質の良いマルチビタミン&ミネラル」を取り入れるのがおすすめです。
睡眠ホルモン「メラトニン」を体内で作るには、必須アミノ酸である「トリプトファン」が欠かせません。トリプトファンは肉や魚などから摂取できますが、そこからメラトニンを合成する過程でビタミンやミネラルといった栄養素のサポートが必要です。
しかし、現代の食生活ではこれらの栄養素が不足しがちです。高カロリーでも栄養価が低い食事を続けている方が多く、忙しい日々の中で朝食を抜いたり、簡単なもので済ませたりすることもあります。ランチを軽く済ませるだけでなく、場合によっては食事自体を抜いてしまうこともあるのではないでしょうか。
そんなライフスタイルの方にとって、マルチビタミン&ミネラルのサプリメントは必要な栄養素を効率よく補給するための心強い味方になります。
また、複数の単体サプリメントを組み合わせる場合に比べて、粒数が減り添加物を抑えられるため、身体への負担を軽減できるのも魅力です。さらに、多様な栄養素を1度にまとめて摂れるため、サプリメント購入のコストを抑えられるというメリットもあります。
女性には断然おすすめしたい「鉄分」
鉄は、貧血予防だけでなく、睡眠の質にも深く関わる重要な栄養素です。
特に女性は、月経や成長期、スポーツなどで鉄を消耗しやすく、十分な摂取が必要です。貧血と診断されなくとも、隠れ貧血の症状を抱えている方は少なくありません。
鉄は赤血球を作り、酸素を全身に運ぶだけでなく、ミトコンドリアでのエネルギー生成や、脳内の神経伝達物質(セロトニンやドーパミン)の生成にも重要な役割を果たします。もちろんメラトニンの生成にも鉄は欠かせないミネラルです。
鉄が不足すると寝起きの悪さ、気分の落ち込み、集中力の低下といった不調が現れることがあります。しかし女性は、生理周期による「いつものだるさ」として受け流し、不調を放置してしまうケースも多いようです。

また、鉄不足はむずむず脚症候群(RLS)や周期性四肢運動障害(PLM)など、特定の睡眠障害とも関連があると報告されています。これらの症状がみられる場合、鉄分補給が改善に役立つ可能性があるため、適切な摂取が重要です。
用語解説
●むずむず脚症候群(RLS)とは
脚を動かしたいという強い欲求が不快な異常感覚に伴って生じる神経疾患です。その異常感覚は日中より夕方から夜にかけて、横になったり安静にしていたりすると憎悪し、動かすと軽くなるという特徴があります。そのため、絶えず足を動かしたり、つねったりせずにはいられなくなるため、レストレスレッグス症候群とも呼ばれます。日本人における有症率は1〜4%と比較的多く、加齢に伴って増加し、女性に多い傾向があります。
●周期性四肢運動障害(PLM)とは
睡眠中に四肢(腕や脚)の異常運動が繰り返し起こる症状です。覚醒反応が起こり、深い睡眠が得られず、倦怠感や睡眠障害を引き起こしますが、多くの場合本人はその症状に気づいていません。加齢とともに有症率が増え、60歳以上では約30%に認められますが、日常生活に支障をきたさない場合もあります。
(解説:スリーププランナー 大木 都)
サプリメントで鉄を補う際は、「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の違いに注意してください。ヘム鉄は吸収率が高く胃腸への負担が少ないため、特におすすめです。一方、非ヘム鉄は吸収率が低く、胃腸に負担がかかる場合があるため、摂取する場合は注意が必要です。
信頼できる製品を選び、過剰摂取にならないよう適量を心がけましょう。
ストレスを軽減して入眠を促す「GABA、テアニン、グリシン」
GABA、テアニン、グリシンは、リラックスや睡眠の質を高める成分として挙げられることが多い成分です。
ただし、これらは基本的な栄養素やアミノ酸を十分に摂取したうえで、補助的に活用するべきだと思います。
これらの成分は、お菓子やドリンクなどでも気軽にとれるような様々なアイテムが販売されていて、サプリメントとは異なった商品で出会っているかもしれませんが、ご自身が普段から食べている基本的な栄養バランスを考慮した上で試してみるのも良いでしょう。
GABAとは?
GABAは脳の視床下部から分泌され、脳全体の活動を抑えて沈静化することで、睡眠の導入や維持をサポートする役割を果たします。サプリメントとして摂取すると、特に睡眠の初期段階に作用し、眠りにつくまでの時間(睡眠潜時)を短縮する効果が期待されています。
さらに、研究ではGABAが深いノンレム睡眠を増加させる可能性も示されています。GABAは体内で短時間で吸収されるため、就寝前に摂取することで、より効果的に睡眠をサポートできるとされています。
テアニンとは?
テアニンはアミノ酸の一種で、緑茶の旨味成分として知られるようになった成分です。交感神経を抑制し、リラックス効果をもたらすことや、睡眠の質を改善する効果があるとする研究報告もあります。
そのため、テアニンはストレスの軽減や睡眠の質向上に役立つ成分として期待されています。特に、不安感が強く眠れない方に効果的であると言われています。また、ストレスケアや認知機能の改善にも役立つため、睡眠だけでなく、多角的なサポートを求める方におすすめです。
グリシンとは?
グリシンは、身体の中に広く存在する非必須アミノ酸で、神経ネットワークの情報伝達に関わる重要な成分です。特に、深部体温を下げることで睡眠をサポートする効果が期待されています。不眠傾向のある人では、主観的な睡眠の質が改善されることも確認されています。
就寝前にグリシンを摂取することで、身体のリラックスを促し、スムーズな入眠をサポートする作用が期待できます。睡眠の質を高めたい方にとって、取り入れやすい成分の一つといえるでしょう。
Effect of oral γ-aminobutyric acid (GABA) administration on sleep and its absorption in humans
New therapeutic strategy for amino acid medicine: glycine improves the quality of sleep

午後のNMNで睡眠改善効果が期待できる
NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)は、老化予防や若々しい体の維持をサポートするエイジングケア成分として期待されています。また、睡眠の質を向上させる可能性がある成分としても注目されています。
研究では、NMNを午後に摂取することで睡眠の質の改善が見られました。さらに、疲労感の軽減や身体機能の維持にも効果が期待できることが示唆されています。
一方で、NMNを摂取すると身体を活性化しすぎて、かえって眠りにくくなる場合もあるようです。NMNの作用には個人差があるため、自身の体質やライフスタイルに合わせて取り入れるかどうか判断しましょう。
もしNMNで目が覚めてしまう場合は、リラックス効果が期待できるGABAやテアニンなどの成分を試してみるのも一つの方法です。これらはストレス軽減や入眠を助ける作用があるため、より穏やかな睡眠をサポートしてくれるかもしれません。
細胞代謝を促進して睡眠改善を促す「5-ALA」
5-ALA(5-アミノレブリン酸/ ファイブアラ)は、睡眠の質や気分を改善する可能性がある成分として注目されています。
研究によると、5-ALAの摂取は心理的なストレスを軽減し、対処能力を向上させる可能性が示唆されています。また、5-ALAは脳内のセロトニン濃度を高める可能性があり、これが気分の安定やリラックス感をもたらすと考えられています。
さらに、セロトニンは睡眠ホルモン「メラトニン」の原料となるため、5-ALAがセロトニンの生成をサポートすることで、間接的に睡眠の質を向上させる効果も期待できます。
加えて、5-ALAは細胞代謝を促進する作用もあり、これが睡眠改善につながる可能性も示されています。
睡眠に必要なエネルギーを補う「コエンザイム-Q10」
コエンザイムQ10も、睡眠の改善に役立つ成分として注目されています。
研究では、コエンザイムQ10の摂取がストレス感受性の高い人に特に効果をもたらし、睡眠の質を向上させる可能性が示されています。これにより、日常生活のストレスを軽減しながら、より深い眠りをサポートすることが期待できます。
また、睡眠にはエネルギーも必要とされるため、体内でのエネルギー生成を助けるコエンザイムQ10の補給は効果的です。特に、ストレスが多い環境や疲労感に悩んでいる場合、コエンザイムQ10が睡眠改善の一助となる可能性があります。
ただし、血液をサラサラにする薬(ワーファリン)を服用している場合は注意が必要です。コエンザイムQ10が薬の作用を弱めるリスクもあるため、摂取前に医師に相談することをおすすめします。

悪いことは避ける!睡眠を改善するために見直したい「カフェイン」の摂取習慣
カフェインの摂取は多くの人にとって睡眠を妨げる要因となるため、注意が必要です。
サプリメントに頼る前に、まずは睡眠を阻害している可能性のある成分をどれだけ摂取しているかを見直してみましょう。
飲む時間と量を気をつけて欲しい「カフェイン」
カフェインには覚醒作用があり、夕方以降に摂取すると入眠を妨げたり、眠りを浅くする可能性があります。
コーヒーだけでなく、緑茶、紅茶、ウーロン茶、エナジードリンク、コーラなどにも含まれているため、知らず知らずのうちに飲み物を通じて睡眠を阻害している場合もあるので注意が必要です。
睡眠をサポートするサプリメントを取り入れる前に、まずは日常生活を見直し、過剰なカフェイン摂取を控えることから始めてみましょう。

午後のコーヒーは控えよう
カフェインは、多忙な日々を支えるため、欠かせない存在と思っている方が多いと思われます。
特に、仕事中に集中力を保つためにコーヒーを習慣的に飲む方が多く見られます。確かにコーヒーは頭をすっきりさせてくれますが、摂取量やタイミングによっては睡眠の質に悪影響を与えることがあるのです。
コーヒーを控えるのが難しいと感じる場合、まずはカフェインレスのコーヒーを取り入れてみるのがおすすめです。カフェインレスに慣れてきたら、デカフェのコーヒーや、ノンカフェインのハーブティーを選んでみましょう。
カフェインを賢く減らしつつ、お気に入りの飲み物を楽しみながら、無理なく睡眠の質を改善する習慣をつくってみてください。

夕食後のお茶習慣も要注意
眠れないと悩む方の中には、夕食後に緑茶を飲む習慣がある方も多いようです。
緑茶にはカフェインが含まれており、その覚醒作用によって睡眠の質が低下する可能性があります。夕食後の緑茶を控えるだけで、睡眠薬が不要になるケースも報告されています。
緑茶を低温で抽出すると、リラックス効果のあるテアニンを多く引き出せますが、通常の飲み方ではカフェインが含まれるため夜には不向きです。ほうじ茶や玄米茶についても、「カフェインが少ない」と誤解されがちですが、同じ茶葉から作られているため、一定量のカフェインが含まれます。
ぐっすり眠るために、夕食後の緑茶をノンカフェインのハーブティーに置き換えてみましょう。飲み物の選択を見直すだけで、サプリメントに頼らずとも、睡眠の質が大きく改善することもあります。
エナジードリンクには多量のカフェインが含まれる
仕事や勉強の集中力を高めるために、エナジードリンクを日常的に飲む人が増えています。
しかし、エナジードリンクには多量のカフェインが含まれており、強い覚醒作用によって夜も眠れなくなることがあります。また、大量の糖分が含まれているために、血糖値の乱高下を招きやすく、やはり安眠にはマイナスです。「眠れない」と悩む方の中には、エナジードリンクが原因となっている場合も少なくありません。
日頃からエナジードリンクをよく飲み、睡眠の質に悩んでいるなら、少しずつ飲む量を減らしてみてはいかがでしょうか。爽快感を求めるときは、エナジードリンクの代わりに炭酸水を取り入れるのもおすすめです。

胃の不快感に使用する「プロトンポンプ阻害薬(PPI)」の常用に要注意
プロトンポンプ阻害薬(PPI)は、胃酸の過剰分泌を抑える薬で、逆流性食道炎や胃潰瘍などの治療に使用されます。症状の改善には非常に効果的ですが、この薬を長期間にわたって常用するのは注意が必要です。
PPIは胃酸の分泌を抑える一方で、ビタミンやミネラルの吸収を低下させるため、栄養不足を引き起こす可能性があります。
その結果、メラトニンの生成が妨げられ、睡眠の質にも悪影響を及ぼすことがあるのです。特にPPIは高齢者に処方されることが多く、高齢者はもともと消化吸収力が低下しているケースが多いため、そのリスクがさらに高まることも懸念されます。
本来、PPIは症状が改善したら中止すべき薬です。しかし、「これがないと胸焼けするのでは」と不安を抱き、漫然と服用を続ける方も少なくありません。また、医師の指導が十分でない場合や、同様の効能を持つ市販薬(H2ブロッカーなど)として手軽に購入できることも、長期使用の原因になっています。
PPIの服用が必要な状態であれば適切に使用した方がいいのですが、症状が収まった後も飲み続けるのは避けるべきです。睡眠に悩みがある場合や長期間服用している場合は、一度医師に相談し、適切な対応を検討することをおすすめします。
まとめ:サプリメントと生活習慣で目指す快眠生活
睡眠を改善するためには、毎日の栄養バランスを整えつつ、日頃の運動量や睡眠時間などのライフスタイルを見直すことが大切です。
快眠のためにサプリメントを取り入れるなら、まずは質の良いマルチビタミン&ミネラルを選んでみましょう。女性なら、鉄分を補給するのも良いと思います。
ストレスが多いと感じる方は、リラックスを促すGABAやテアニンなどの成分を試してみる価値もあります。一方で、カフェインの摂取や薬の使用が睡眠の妨げになることもあります。
サプリメントを取り入れる前に、自分の体にどのような成分を摂取しているのかを改めて見直すことも大切です。改めて、前編でもご紹介したようにサプリメントの正体を改めてチェックし、本質的に栄養補助食品であるサプリメントを賢く取り入れましょう。

この記事を参考に、無理なく実践できるライフスタイルの改善を取り入れながら、より質の良い眠りと健やかな毎日を目指してみてください。
この記事でわかったこと
- マルチビタミン&ミネラルは睡眠ホルモン「メラトニン」の生成サポートに重要な栄養素
- 女性は鉄分を補給するのがおすすめ
- 夕方以降のカフェイン摂取は睡眠の質を低下させる可能性がある
- プロトンポンプ阻害薬(PPI)は長期的に服用しないほうがよい
関連書籍
サプリメントについて、もっと詳しく知りたくなりましたか?本記事を監修している田村忠司さんの「【新版】サプリメントの正体」をチェックしてみてくださいね。
▼参考書籍

【書籍情報】
タイトル:【新版】サプリメントの正体
著者名:田村忠司
出版社:東洋経済新報社
形態:単行本 / kindle版 / 楽天kobo版
発売日:2024年10月16日
監修者
*「睡眠養生」は株式会社310LIFE(サトライフ)の商標登録です。(商標登録:第6821898号)









