健康や美容のために生活習慣を変えたいと思いながらも、気づけばスマホをいじりながらお菓子をつまんでゴロゴロ。
頭では「このままではダメだ」と分かっているのに、実際に行動に移せず悩む人は少なくありません。たとえ食事・運動・睡眠の改善を始めようと思っても、なかなか続かないことはよくあること。
そこで今回の記事では、関西学院大学の森藤ちひろ教授に「健康改善のために行動変容を起こす方法」について教えていただきました。
自己効力感(自分ならできるという信念)とヘルスケア・マーケティングの関係を研究してきた森藤教授の視点から、日常生活に取り入れやすいアドバイスをお届けします。
「健康改善を始めたいけど、なかなか行動できない」「やり始めても継続できない」と悩んでいる方は、ぜひ最後までチェックしてみてください!
この記事でわかること
- 健康改善を達成するために重要な「自己効力感」とは?
- 運動が続かない人への効果的なアプローチ方法
- 食事改善ができない人へのアプローチ方法
- 睡眠改善できない人への気軽な対処法
ズボラさんは、自身の自己効力感の状態を知るところから始めよう
自己効力感とは、「自分ならできる!」という信念のことです。調査では、自己効力感が高い人ほど健康改善に前向きという結果が出ています。
「自分ならできる」という信念が健康改善につながる
健康診断で指導を受けたり、健康に良い情報を得たりしても、行動に移すのが難しいと感じることはありませんか?
その背景には、自己効力感が大きく関わっています。自己効力感が低いと、優れた指導や情報を受けても、行動を起こすのが難しい傾向にあるのです。
自己効力感には、大きく分けて特性的な自己効力感と課題固有の自己効力感の2種類があります。
| 種類 | 説明 | 具体例 |
|---|---|---|
| 特性的な自己効力感 | 性格や考え方に根ざし、状況を問わず、新しい課題や困難に対して前向きに取り組めるという信念 | ・やればできる ・新しいこともなんとかなる ・挑戦すればできるはず |
| 課題固有の自己効力感 | 特定の課題に対して「自分ならできる」という信念 | ・食事管理なら頑張れそう ・運動なら続けられそう ・睡眠改善ならできそう |
特性的な自己効力感が高い方は、新しいことにも前向きに取り組みやすく、課題固有の自己効力感も高まりやすい傾向があります。
一方で、特性的な自己効力感が低くても、課題固有の自己効力感が高まる場合があります。
新しいことにチャレンジするのが苦手な方でも、興味や関心のあることには自然と行動を起こしやすいものです。夢中になれることには、つい時間を忘れて取り組んでしまうこともありますよね。
健康も同じように、「ちょっと気になる」「試してみたい」と思えるきっかけがあれば、無理なく生活に取り入れられるかもしれません。たとえば、新しいガジェットが好きな方が睡眠トラッカーを使い始めたり、おしゃれなヨガウェアをきっかけにヨガを始めたりすることで、自然と健康に対する課題固有の自己効力感が高まる可能性があります。

「自分だけでは難しい」と感じる場合は、専門家を頼ろう
特性的な自己効力感が高く前向きな方でも、健康に対する課題固有の自己効力感が低い場合もあります。
▼特性的な自己効力感が高く、課題固有の自己効力感が低い例
- なんでも前向きに取り組めるが、ダイエットだけは苦手
- 仕事や人付き合いは得意だが、仕事優先で健康改善はおろそかになりがち。
- 運動だけは苦手で、できればしたくない
この場合、信頼できる指導者からの適切なサポートを受けてみることが健康改善の第一歩になるかもしれません。特性的な自己効力感が低い人でも、第三者が寄り添ってサポートをすることで健康という課題固有の自己効力感が高まり、健康改善のモチベーションを上げられます。
また、サポートしてもらう相手との相性も重要です。他の人が良いと言っている専門家でも、自身に合わなければ効果を実感しにくいこともあります。「この人にサポートしてもらうと頑張れる」と思える相手を見つけることが大切です。
誰かにすすめられたからといって、無理にその人を選ぶ必要はありません。考え方や価値観が合う、安心して相談できる相手を探し、自身に合った方法でサポートを受けましょう。
健康改善に取り組むのは難しいこともありますが、信頼できる人の力を借りることで、成功への道が開けます。行動に移せず目標を達成できないときは、一人で悩まず、周囲の人や専門家に頼ることも検討してみましょう。
【運動】「忙しい」「無理」を乗り越えて運動を続けるには?
健康や美容のために運動したいと思っても、疲れや気分、忙しさ、天候などの影響でやる気が出ないときもありますよね。こうした影響を乗り越えられるかどうかは、運動に対する自己効力感が影響しているようです。
慢性疾患を持つ40歳以上の方を対象に行われた調査では、課題固有の自己効力感が高い人ほど、運動を継続しやすく、その結果健康状態や生活習慣にポジティブな変化が見られることが分かりました。
「自分ならできる!」と思える人は運動を継続しやすい
課題固有の自己効力感が高く、運動を続けられる人には、いくつかの共通点が見られます。
▼課題固有の自己効力感が高い人の特徴
- 自ら積極的に情報収集をする
- 計画を柔軟に立てる
- 前向きな気持ちで取り組む
- 気持ちの切り替えが上手
自己効力感が高い人は、正しい情報を求めて自ら積極的に調べる傾向があります。ただ流行りの情報に流されるのではなく、専門家の意見を参考にしたり、自身に合った方法を見極めたりしながら、納得できる形で行動に移しています。
また、計画を立てる際も「必ず毎日運動する」といった厳格なルールではなく、「忙しい日はストレッチだけにする」「体調が悪い日は休んでもそれを埋め合わせる日を作っておく」など、無理なく続けられる工夫を取り入れています。完璧にこなすことを目標にするのではなく、その時の状況に合わせて調整できる柔軟さが、運動習慣の継続につながるようです。
気持ちの面でも、運動を「しなければならないこと」と捉えるのではなく、「心地よい時間」「自分のための時間」として前向きに取り組むのがポイントです。たとえば「運動すると身体が軽くなる」「元気でいると好きな場所に出かけられる」など、楽しみを見つけることで自然と続けやすくなります。
さらに、運動だけに集中するのではなく、読書をしたり趣味を楽しんだりと、日常にバランスよくさまざまな活動を取り入れている人も多いのが特徴です。運動が生活の一部として無理なく続くよう、気持ちを切り替える力を持つことが大切だと考えられます。
こうした特徴に当てはまる人は、運動を始めるとスムーズに習慣化できるかもしれません。小さな一歩から、自身に合った運動習慣を取り入れてみてはいかがでしょうか。

受け身で流されやすい人は、自己効力感が低く運動を継続するのが苦手な傾向にある
研究によると、自己効力感が低い人は、受け身の姿勢でさまざまな健康情報に流されやすい傾向があります。
たとえば、テレビやSNSで「○○が健康に良い」と紹介されると、その情報に飛びついてしまうタイプです。そのような方は、誰かと約束することによって動機づけることができます。
運動に関しても、「トレーナーが待っているから」「友達に誘われたから」といった外からの働きかけをきっかけに始めるケースが多く、自発的に続けるよりも、周囲の状況に影響を受けやすい傾向があります。良い刺激を受けられる環境に身を置いてみてはいかがでしょうか。
このような場合、環境の変化がきっかけで習慣が途切れてしまうこともあります。
たとえば、一緒に運動していた人が都合が悪くなったり、予定が崩れたりすると、「今日はやめておこう」と考えてしまい、そのまま間が空いてしまうことも。気持ちが沈み、再開するタイミングをつかめなくなることもあるかもしれません。
しかし、続かなくなることは誰にでもあるので、落ち込む必要はありません。大切なのは「またやってみよう」と思えたときに、無理のない形で再開すること。気負わず、できることから少しずつ取り入れていきましょう。

自己効力感が低い人はサポートを得ることで運動継続が容易に
特性的な自己効力感が低い人でも、適切な支援や声掛けによって課題固有の自己効力感が高まり、行動が変わる可能性があります。
これは「自分だけでは難しい」と感じてしまうタイプでも触れたのですが、専門家や周りに頼ることが効果的です。
家族やコミュニティなど支えてくれる環境があれば、徐々に「自分も続けられるかもしれない」という気持ちが育まれます。また、トレーニングジムで他の参加者から声をかけられたり、コーチに応援してもらえたりする環境なら、その声掛けをきっかけに意欲的に楽しみながら続けやすくなるのです。
一人で頑張るのが難しい場合は、ぜひ地域の運動コミュニティに参加したり、専門家のコーチングを活用してみましょう。「運動なんて苦手」「自分には無理かも」と強く思っている場合でも、サポートを得ることで運動が継続でき、目標を達成しやすくなります。

【食事】自己効力感を見極めてアプローチを変えよう
健康的な食生活を目指すとき、自己効力感の違いが大きな影響を与えます。
「自分ならできる」と思っている自己効力感の高い人は、健康や栄養について知識を得ようと情報収集を行い、意識的に食事量や内容など食事を管理している傾向にあります。
勉強熱心でありながら自身の知識に対して過信することなく、専門家の意見を素直に受け入れる柔軟さも持ち合わせています。
一方、「自分はできない」と思っている自己効力感の低い人は、不安の影響を受けやすく、それが原因でストレス食いや過剰な摂取に陥りやすいのが特徴です。このようなケースでは、細かく食事管理をするよりも、不安を軽減するメンタルトレーニングや考え方を見直すアプローチをまずはじめることが効果的と考えられます。

【睡眠】自分に合ったサポートで睡眠習慣を変える
健康や美容のために眠った方がいいと分かっていても、ついつい楽しくて、あるいはしなければならないことがあるなど、夜更かししてしまうこともありますよね。
睡眠改善も一人で悩まず、家族や専門家に相談してみよう
睡眠の質を改善したいと思っても、なかなか続かないことはありませんか?
そんなときにまず大切なのは、自身の自己効力感の状態を知り、自身がどんなタイプかを理解すると、睡眠改善に向けてどのような行動をとるのが良いのかが見えてきます。
自己効力感が低いと感じる場合、「きっと私は眠れない」と思い込んでしまい、なかなか改善に踏み出せないかもしれません。夜更かしが習慣になっていたり、ついスマホやテレビを見続けてしまったり……睡眠よりも、今の楽しさを優先したくなることもあるでしょう。
また、お布団に入っても眠れずに困っている方もいらっしゃるかもしれません。
そんなときは、一人で頑張ろうとせず、家族や専門家に相談してみましょう。誰かに話してみることで、新しい視点が得られたり、前向きに取り組めるきっかけが生まれるかもしれません。
一方、自己効力感が高い方は、自身で行動の見直しをすれば改善につながりやすい傾向があります。
たとえば、スマートウォッチやアプリを活用し、睡眠状態を可視化するのも一つの方法です。睡眠時間や睡眠の質を記録することで、自身の傾向を把握し、改善のヒントを得ることができるかもしれません。
自己効力感に関わらず、睡眠改善のアプローチは人それぞれ。大切なのは、自身に合った方法を見つけて、無理なく取り組むことです。少しでも悩んだら、周りの人や専門家に相談しながら改善方法を探していきましょう。

睡眠スコアでモチベーションが続く!
たとえば、先程もご紹介したようにスマートウォッチやアプリを活用する方法も、楽しみながら睡眠改善に取り組めます。
眠っている間の睡眠状態を解析し、睡眠スコアを確認することで「今日は長く眠れた」「睡眠の質が良かった」といった達成感を毎日得られます。
睡眠スコアが下がってしまった場合も、原因を考えるきっかけになって、翌日の快眠を得るために、睡眠改善に前向きに取り組めるはず。
スマートウォッチがなくても、睡眠解析ができるアプリを活用することで同じ効果が期待できます。睡眠を数値化することで成果が視覚的にわかりやすくなり、小さな改善を明確に見つけることができるので、ぜひ活用してみてください。

まとめ:自己効力感が低くても大丈夫!自身に合った方法で健康改善をめざそう
健康を見直すには、食事・運動・睡眠といった日々の習慣を整えることが大切です。
とはいえ、忙しい毎日の中で「変えたい」と思っても、なかなか行動に移せないこともありますよね。特に、「自分には難しいかも……」と感じやすい方にとっては、最初の一歩がよりハードル高く感じられるかもしれません。
でも、大丈夫です。たとえ特性的な自己効力感が低くても、健康という具体的な課題に対する自己効力感を少しずつ高めていくことで、無理なく取り組めるようになります。
もし一人では難しいと感じるときは、専門家のアドバイスを受けたり、コミュニティに参加したりして、周りの力を借りるのも一つの方法です。
無理なくできることから始め、小さな積み重ねを大切にしていくうちに、心と身体の健康も自然と整っていくはずです。まずは自身の自己効力感の状態を知り、無理のない方法で気軽に健康改善を楽しんでみてくださいね。
この記事でわかったこと
- 健康改善のために、まずは自身の自己効力感の状態を知ることが重要
- 第三者からの適切なサポートを得ることで、課題固有の自己効力感を高められる
- 不安から暴飲暴食してしまう人はメンタルからのアプローチが効果的
- 睡眠改善にはスマートウォッチなどデバイスの力を借りるのが効果的
関連書籍
ヘルスケアや自己効力感について、もっと詳しく知りたくなりましたか?本記事を監修している森藤ちひろ教授の「ヘルスケア・サービスのマーケティング 消費者の自己効力感マネジメント」をチェックしてみてくださいね。
▼参考書籍

【書籍情報】
タイトル:ヘルスケア・サービスのマーケティング 消費者の自己効力感マネジメント
著者名:森藤ちひろ
出版社:千倉書房
形態:単行本
監修者
<睡眠養生 編集部より>
森藤先生の取材を通し、自己効力感が低いようなタイプでも楽しく続けていけるような情報をえられ続けたり、みんなの活動へ参加できるコミュニティの大切さを感じました。
睡眠養生では、以下のようなコミュニティを運営しています。
このコミュニティを通し、睡眠改善をベースに食事や運動習慣を作れるような情報も定期的にお届けしていますので、是非チェックしてみてください。
睡眠改善を、オンラインでもっとカジュアルに!
睡眠の相談をする人がいない、医療機関に行くのは抵抗がある……そんな方は、睡眠に特化したメディアや、気軽に参加できるオンラインコミュニティを活用してみましょう。
睡眠養生編集長のさとちゃんがパーソナリティを務めるPodcast「さとちゃん寝る」は、家事や移動中でも気軽に聞ける音声メディアとして人気を集めています。文字を読むのが苦手な方でも楽しく睡眠に関する知識を学べる工夫がされています。
また、Xやmixi2には「睡眠養生」のコミュニティがあり、ここでは自身の悩みを気軽に発信したり、仲間と情報を共有したりすることが可能です。編集長のさとちゃんや編集部メンバーも参加しており、専門的なアドバイスや最新の睡眠情報が日々提供されています。
mixi2のコミュニティは「睡眠養生」でご検索ください。
これらのメディアやコミュニティを利用することで、自然と睡眠に対する自己効力感が高まり、睡眠改善に向けた取り組みが継続できるようになります。一人で抱え込まず、自身に合った方法で楽しみながら改善に取り組んでみてください!
みなさまのご参加をお待ちしています。
*「睡眠養生」は株式会社310LIFE(サトライフ)の商標登録です。(商標登録:第6821898号)









