朝食抜きで睡眠が悪化!?柴田重信博士が解説する体内時計の新常識

みなさんは、毎日きちんと朝食を食べていますか?

一般的に「朝食は健康によい」とされる一方で、「朝食を抜くほうが健康にいい」という意見を聞くことも。現代のライフスタイルでは、確かに一日中パソコン作業やデスクワークに追われ、活動エネルギーの消費量が少ないと感じるかもしれません。

それでも朝食には、体内時計を整え、エネルギーを効率的に使う重要な役割があります。朝食を抜くことで、体内時計がリセットされず、代謝が乱れて肥満のリスクを高めることも多くの研究で示されているのです。

そこで今回の記事では、広島大学特命教授・早稲田大学名誉教授の柴田重信教授に「朝食抜きによる時差ボケのリスク」について教えていただきました。

普段から朝食を食べる習慣がない方は、最後までチェックして、ご自身の体調状態と朝食抜きが関係ないか改めてセルフチェックしてみましょう!

この記事でわかること

  • 朝食を抜くことで起こる「朝食時差ボケ」とは
  • 時間栄養学的におすすめの朝食
  • ダイエットをしたいときの、糖質との向き合い方
目次

朝食を抜くと体内時計が狂って時差ボケ状態に!?

私たちの身体には、体内時計という機能が備わっています。

「体内時計」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、体内時計と食事が肥満リスクにどう関わるのでしょうか?お腹が空いたことを教えてくれる、空腹時の腹時計と体内時計ははかなり違います。食事量だけの問題ではありません。

体内時計ってなんだっけ?

体内時計とは、体内の時間軸を調整する私達に備わったメカニズムです。

かつて、体内時計は脳にあると思われていました。しかし1997年に「時計遺伝子のクロック(Clock)」が発見され、体内時計は脳だけでなく、末梢(まっしょう)臓器の全てで機能していることが明らかになったのです。

脳の「視交叉上核(しこうさじょうかく)」と呼ばれる部分に主時計(親時計)があり、内臓や皮膚などの末梢臓器には、それぞれ個別に動く副時計(子時計)が機能しています。つまり脳の主時計を「世界標準時」とするならば、末梢臓器の副時計は「各国のローカル時間」ということになります。

体内時計が狂ってしまうと、どうなるのでしょうか?

実は体内時計が乱れると、不眠などの睡眠障害、うつ症状、肥満、糖尿病やガンなどの生活習慣病、免疫低下、アレルギー疾患など様々な症状につながることが分かってきています。シフトワークなどで体内時計が不調な人は上記の疾病のリスクが上がります。

そんな体内時計を整えるためには、毎朝「光を浴びること」と「朝食をとること」が重要です。特に朝食は、臓器にある末梢時計をリセットし、代謝を活性化させる働きを担っています。

参考:ノーベル賞で話題の「体内時計」は「時間栄養学」でコントロール|早稲田大学

朝食を抜くと「脳の時計」と「臓器の時計」がズレる

体内時計が安定して機能するためには、毎朝の「光」と「朝食」が重要です。

朝の太陽光が目から入ると、主時計がリセットされ、昼夜のリズムに同期します。一方、朝食は末梢時計に働きかけ、特に代謝を司る臓器のリズムを調整します。

ヒトを対象にした実験では、朝食をとる時間を5時間遅らせた場合、末梢時計のリズムが1〜1.5時間遅れることが確認されました。これは、光によって主時計はリズムを維持するものの、末梢時計が調整されないことで体内時計のズレが生じていると考えられます。

朝食をとらない生活が続くと、時差ボケのような状態になり、エネルギーの消費効率の低下や集中力の低下につながるのです。病気ほどでないものの、身体のダルさや感情面のモヤモヤとした不調を感じる場合も、この時差ボケのような状態が要因になっていると考えられます。

参考:時間運動学と時間栄養学

朝食時差ボケが成績低下をもたらす実例

柴田教授が大学で行った調査では、1限目の講義にきちんと出席できる学生は課題の質が高く、試験でも良い成績を収める傾向にありました。

一方で、1限目に出席できない学生は成績が振るわないケースが多いのです。朝の授業に出席できない学生の多くは、朝食を抜いて昼から活動をスタートするような夜型の生活をしていました夜型は成績が振るわないことはよく知られています

これにより、朝食を抜く学生は夜型で社会的時差ボケの影響が大きく、集中力や学習効率が低下することがわかります。

Comparison of chronotype and learning motivation in medical university students.

朝食を抜くと食欲が増え、脂肪を合成する遺伝子が活性化

新しく発表された論文では、朝食を抜くことで肥満のリスクが高まることが示唆されました。

この研究では、ヒトを対象に1週間朝食をとらない生活をさせ、その結果、代謝や遺伝子発現がどのように変化するかを詳細に調査しました。すると、朝食を抜くことで食欲が増大し、脂肪を合成する遺伝子の働きが活性化し、脂肪を蓄えやすい状態になることがわかったのです。一方で朝食欠食はエネルギー代謝や体温が低めになり、消費系が低下するのでこれも太る原因です。

食べることが好きな方としては、朝食を食べていないのに太りやすくなるメカニズムの実態は、とても悲しい現実ですよね。

さらに、朝食を抜いて体内時計が乱れると、脳がぼーっとしたり、身体がダルくなります。するといつの間にか活動量までもが減少してカロリー消費が少なくなるため、食べたものが十分に消費できず肥満につながるわけです。

太りやすくなり、ダルさで消費が減り、どんどん蓄積する悪循環に陥ってしまいます。

Late isocaloric eating increases hunger, decreases energy expenditure, and modifies metabolic pathways in adults with overweight and obesity.

夜中にポテチやラーメンを欲するのも朝食抜きの影響!?

夜遅くに無償に食べたくなるポテトチップスやカップラーメン、その背後には「朝食時差ボケ」が影響している可能性があります。

朝食を抜くと、体内時計にズレが生じ、夜になると食欲が増しやすくなるのです。通常、体内時計は食欲も調整していますが、朝食をとらない生活を続けると食事の時間帯が夜にずれがちになり、満腹感を感じにくくなることがあります。これにより、夜間に食欲のブレーキがかかりにくくなり、つい食べ過ぎてしまうのです。

特に、夜食で食べたくなるカップラーメンやお菓子に対する欲求は、ドーパミンという脳内物質が関係しています。ドーパミンは「快楽物質」と呼ばれ、糖質や脂質の多い食べ物を夜に摂取することで、幸福感や満足感を引き起こします。

しかし、この作用は一時的で、また同じ快感を求めて夜食がやめられなくなることもあるのです。さらに、夜中に食べ過ぎると、余分なカロリーが蓄積されるため、体重増加や健康への影響も懸念されます。

快眠で食欲を落ち着かせ、無理なく健康的な体型を保つためにも、朝食をしっかり食べて体内時計を整えておくことが大切です。

朝食時差ボケの改善におすすめの朝ごはん

体内時計を整えて時差ボケ状態を改善するために、朝食では何を食べればいいのでしょうか?朝食を食べる習慣がない方でも取り入れやすい、おすすめの朝ドリンクも紹介します。

朝食にはご飯と魚がベストチョイス!

朝食は、ご飯と魚を組み合わせた和定食を食べるのが理想です。炭水化物とタンパク質を組み合わせることで、体内時計が整いやすくなり、1日のスタートにふさわしいリズムが整います。

魚にはDHAやEPAといった不飽和脂肪酸が含まれており、これが体内時計を調節する役割を果たしますが、単独で摂取するだけではリセット効果は得られません。炭水化物が加わることでインスリンの分泌が促され、その結果GLP-1と呼ばれるホルモンが働き、体内時計が効果的に同調されることがわかっています。

研究では、動物性脂肪や植物油との関連性も調べられましたが、DHAやEPAのような体内時計調節効果は見られませんでした。そのため、DHAやEPAを豊富に含む魚が朝食に最適とされています。また、DHAやEPAの吸収は朝がよく、そのため脂質異常に対する効果も朝がすぐれています。

とはいえ、理想の和定食を準備して食べることは難しいかもしれません。外食や旅行中のホテルの朝食ビュッフェなどでメニューを選べる時には、積極的に魚を主菜にした和食を食べましょう。

出勤途中にコンビニで朝食を調達するなら、おにぎりの具材で魚を選ぶようにするのもおすすめです。

自宅で朝食をしっかり食べられる方は、魚肉ソーセージやかまぼこ、魚の缶詰、冷凍の魚、鮭フレークといった日持ちする魚類加工品を常備して、朝食メニューにプラス1品で活用しましょう。意外と準備が楽で食べやすく、バリエーションも作れて、飽きずに朝の魚メニューを楽しみやすくなります。

睡眠養生 和定食

食欲がない場合はコーヒーやスムージーを飲もう

理想の朝ご飯を食べる前に、そもそも朝食に食欲がない場合もありますよね。そんな朝は、コーヒーやスムージーだけでも飲んでみてください。

コーヒーに含まれるカフェインは体内時計をリセットする効果があり、さらに交感神経を刺激して朝の活力を高めてくれます。夜に飲むと覚醒作用が残って睡眠に悪影響を及ぼす可能性があるため、コーヒーを飲むなら朝がおすすめです。

スムージーには、豆乳や牛乳を加えましょう。スムージーだけでは炭水化物が多めになりがちですが、牛乳や豆乳を足すことで乳タンパクが補えるため、朝の栄養として理想的なバランスになります。

朝食にプロテインドリンクを飲むなら、糖質入りのものが理想

最近は、朝食をプロテインドリンクだけで済ませる方が増えていますが、プロテインを朝食代わりにしている方は要注意。

プロテイン(つまりタンパク質)は、体内で分解されたアミノ酸として取り込まれますが、吸収の際はエネルギー源として糖質が必要です。

特にカロリー制限や糖質制限をしている方は、人工甘味料で甘味をつけた低カロリー・低糖質のプロテインを選びがちではないでしょうか。そのようなプロテインは一見、ヘルシーなように感じられますが、糖質が含まれないプロテイン単品では十分にタンパク質を吸収できないのです。

さらに、体内時計を整えるにもブドウ糖とインスリンの働きが重要です。朝食としてプロテインドリンクを飲むなら、しっかりと糖質が入っているものを選びましょう。

コンビニやドラッグストアで販売されているプロテインバーなら、糖質も含まれるものが多くあります。忙しい朝には、ときにはプロテインバーで補うのも選択肢の1つとして取り入れてみてください。

炭水化物は朝食べて、夜は睡眠のために控えよう

ダイエットをしている方でも、朝の糖質制限はやめましょう。

朝に糖質制限をしても、あまりダイエットの意味がありません。むしろ、朝は糖質をとることでインスリンが分泌されて体内時計のリセットを助け、1日のエネルギー代謝が促進されます。ダイエット中でも、朝食にはご飯やパンなどの炭水化物を食べるようにしてください。

反対に、夕食で糖質を食べ過ぎると余剰エネルギーとなりやすく、脂肪として蓄積される可能性が高くなります。夜間の高血糖は睡眠の質も妨げるため、夕食は炭水化物の摂取を半分に減らしてみてください。

お風呂上りのアイスや寝る前のおやつが習慣になっている方も多いようですが、睡眠を妨げ肥満を促進するため、夜のスイーツは控えることが大切です。

どうしても我慢ができずに甘いものが食べたいときも時にはありますよね。そんな時には、糖質を抑えて水溶性食物繊維を添加した「SUNAO」のような、睡眠に影響が少ないお菓子を少しだけ食べるように工夫しましょう。

まとめ:朝食を毎日食べて時差ボケ状態を改善しよう

朝食を抜くことで、身体が時差ボケのような状態になり、集中力の低下や肥満、健康リスクの増加に影響することがわかりました。また朝食を抜くことが体内時計に影響することで、睡眠の質にも悪影響を及ぼしてしまいます。

朝食には臓器の「末梢時計」を調整し、エネルギー代謝の効率を上げる役割があります。朝食には「ご飯と魚」「パンと卵」など、炭水化物とタンパク質を食べましょう。朝から食欲がない場合はコーヒーやスムージー、糖質入りのプロテインを飲むのがおすすめです。

食べていなかった朝ご飯を食べるようになることで、徐々に体内時計も整い、睡眠もより快適に眠れるようになっていきます。今まで「食べたくなかった」「忙しいから」「やせたいから」と朝食を抜いていた方も、これからは体調改善&快眠のために、朝食を取り入れるようにしてみてください。

朝食欠食による時差ボケ状態を改善して、健康と理想的な体型を手に入れましょう!

この記事でわかったこと

  • 朝食を抜くと脳と末梢の時計にズレが生じて時差ボケ状態になる
  • 朝食はご飯と魚が理想!食欲がないときはドリンクでカバー
  • ダイエット中でも朝は炭水化物を食べることが大切

関連書籍

時間栄養学について、もっと詳しく知りくなりましたか?本記事を監修している柴田重信先生の「脂肪を落としたければ、食べる時間を変えなさい」をチェックしてみてくださいね。

▼参考書籍

【書籍情報】
タイトル:脂肪を落としたければ、食べる時間を変えなさい

著者名:柴田重信

出版社:講談社+α新書

形態:文庫本 / kindle版/楽天Kobo版

発売日:2022年10月21日

監修者

*「睡眠養生」は株式会社310LIFE(サトライフ)の商標登録です。(商標登録:第6821898号)

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