我が子の天使の寝顔、そんなお子さんの睡眠に課題がないか、親としてチェックしたことはありますか?
もしも、子どもが「いびき」をかいていたら、不眠アラートが発令中です!
ちょっとしたいびきと思いきや、実は集中力やキレやすいなどの性格にも影響することがあります。子供の場合は、少しのいびきを感じるだけで要注意です。
そこで今回は「ひがみ耳鼻いんこう科・いびき睡眠クリニック」の医学博士 樋上弓子先生に、子どものいびきの原因や治療の最新事情を教えていただきました。
お子さんの健やかな成長のためにも、ぜひ最後までチェックしてみてください!
この記事でわかること
- 子どものいびきはどの程度で医療機関に相談すればいいのか
- 子どもの睡眠時無呼吸症候群について
- 子どものいびきと発達の関係
子どものいびきは、危険信号!!
子どもがいびきをかいて眠っている姿、かわいらしく見えるかもしれませんが、想像以上に注意したい状態です。
大人とちがい、子どもの場合は、たとえ呼吸が1回止まるだけでも「異常」とされることがあります。
睡眠時無呼吸症候群の重症度をAHI(無呼吸低呼吸指数)という1時間あたりの無呼吸(呼吸停止)と低呼吸(呼吸が浅くなる)の回数で検査し、AHI5以上で無呼吸症候群と診断されます。
睡眠時無呼吸症候群の重症度の分類軽症:AHIが5~15中等症:AHIが15~30重症:AHIが30以上。子どもと大人では、判定方針が異なります。
「なんか苦しそう?うちの子、ちゃんと眠れてるかな…?」そんなふうに感じたら、少しだけ就寝中の様子を観察してみてください。

出典:Docker’s File 集中力の低下や成績不振につながる 子どもの睡眠時無呼吸症候群
子どもは少し寝息が大きいと感じるだけで「いびき」と考える
樋上弓子先生子どもの場合は「クーッ、クーッ」とやや大きめの寝息がいびきです。
もし、眠っている最中に呼吸が止まるような場面が1度でも見られたら、早めの受診をおすすめします。
さらに、就寝時の大きないびき、眠りが浅い、夜尿が続くことも、子どもの睡眠時無呼吸症候群のチェックポイントになります。
このような子どもの睡眠課題は、日中の集中力や行動面に影響することも少なくありません。集中力が続かず、イライラする、すぐにキレる、多動や学習障害も実は睡眠障害が影響していることがあります。
お子さんが寝息が大きい、寝ているときにハッと息をつぐ様子がある――そんなサインに気づいたら、まずは睡眠に詳しい医師が在籍している耳鼻咽喉科で相談することが重要です。
親は気づきにくい!子どもの大きな寝息や呼吸の変化には要注意
子どものいびきや呼吸の変化は、身近で見守っていても意外と気づきにくいもの。微細なサインですが、兆候を知っておくだけでも早期発見につながります。
注目したいのは「音」と「胸やお腹の動き」です。
大人のような大きないびきでなくても、クーッと響く寝息が続く、あるいは胸がぺコンペコンへこんでいる、横向きで首を伸ばして寝苦しそうにしている寝苦しそうにしている――そんな様子が見られたら要注意。
その場では、枕の高さや寝る向きを変えると落ち着く場合もありますので、苦しそうなら姿勢をサポートしてあげましょう。
その上で、繰り返すときは睡眠に詳しい耳鼻咽喉科での専門的な治療相談をおすすめします。


子どものいびきは、耳鼻咽喉科に相談してみよう
子どものいびき治療は、まず耳鼻咽喉科で鼻や喉の形状や状態を調べることからはじめましょう。
多くの医療機関では、アデノイドや扁桃腺の摘出、鼻アレルギーの治療が標準的に行われています。それだけで、睡眠だけではなく日常の行動や性格が改善するお子さんも少なくありません。
ただ、こうした治療だけでは「お口がぽかんと開いたまま」「いびきが続く」といった悩みが残ることもあります。



近年では、耳鼻科と歯科が協力して、成長期のうちに気道を広げる治療を取り入れる医療機関も少しずつ出てきました。まだまだ専門的におこなうクリニックは少ないのですが、早めに気づいて顎の成長から治療サポートができると一生役立ちます。
具体的には、舌が本来の位置より下がっている「低位舌」を改善するために、お口の体操(口腔筋機能療法=MFT)で舌を正しい位置に誘導したり、矯正医と連携して専用の装置で上あごと下あごを少しずつ広げたりする治療が実施されています。
成長に合わせて口腔内の環境を整えることで、将来、大人になってから睡眠時無呼吸で困らないよう、根本からの予防を目指す子どものいびき治療法です。
子どもの睡眠医療を専門的に行う施設はまだまだ多くはありませんが、お子さんのいびきが長引く場合は、こうした最新のアプローチに詳しい医師へ相談するのがおすすめです。
お近くの受診先を探す際は「小児の睡眠に詳しいかどうか」を目安にし、迷ったときは日本睡眠学会の認定施設一覧を参考に地域の専門機関をチェックして、電話で問い合わせてみましょう。
参考:日本睡眠学会専門医療機関
子どもの睡眠時無呼吸症候群とは?
子どもの睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、大人と同じように「いびき」や「息が止まる」などの症状が起こります。
子どもの睡眠時無呼吸症候群も、扁桃やアデノイドの摘出手術を行うことが多いため、耳鼻咽喉科での治療が基本です。
呼吸器内科や小児科でも無呼吸の評価を行うことはありますが、根本的に気道を広げる処置となると、やはり耳鼻咽喉科での対応が欠かせません。



お子さんのいびきや呼吸の乱れが気になるときは、まず耳鼻咽喉科に相談してみてください。
睡眠時無呼吸症候群は親子で遺伝する可能性がある
親子で似た骨格が受け継がれるため、いびきをかきやすい体質が遺伝することも考えられます。
お父さんやお母さんがいびきでお悩みの場合には、お子さんにも同じ傾向が出る可能性があると考えてあげてください。


落ちつきがない子ども、実は睡眠障害が隠れている?
落ち着きがない、授業に集中できない――そんな様子が見られるお子さんの中に、実は睡眠時無呼吸症候群が隠れていることがあります。
無呼吸で夜間の睡眠が浅いと、日中に眠気やイライラ、落ち着かない等の症状が出やすくなるからです。
しかし、子どもの睡眠時無呼吸症候群についてはあまり広く知られていないため、発達の問題だと誤解されてしまうこともあります。



私が以前、学校検診で出会ったお子さんもその一例でした。
先生方からは「言うことを聞かない手のかかる子」と見られていましたが、診察してみると扁桃腺が気道をふさぎがちで、無呼吸が起きていることがわかりました。
手術で扁桃腺を整えたところ、ぐっすり眠れるようになり、教室でも落ち着いて過ごせるようになったそうです。
扁桃腺の大きさは、口を開けただけでは判断しにくいものです。喉のどの部分を、眠っているときにどの程度ふさいでしまうかは、外見だけではわかりません。
家族が気づきやすいサインは、やはり寝息の音です。クーッという大きめの寝息や、いびきが続く場合は、一度耳鼻咽喉科で詳しく調べることをおすすめします。


出典:Docker’s File 集中力の低下や成績不振につながる 子どもの睡眠時無呼吸症候群
保育士さんがいびき治療をすすめるケースも
小さな子どものいびきにいち早く気づくのは、毎日お昼寝を見守っている保育士さんです。
保育園(幼稚園)では何年ものあいだ、毎日同じ年齢の子どもたちを同時に見ているので、「静かに眠る子」と「大きな寝息を立てる子」「多動などの性格」といった違いがすぐわかります。
さらに、いびき治療を行った子どもが、ごはんをよく食べるようになり、姿勢がシャキッとして、身長の伸びまで変わる治療効果を目の当たりにすることも。
その劇的な変化を知っている保育士さんから保護者の方へ「次は○○ちゃんも診てもらった方がいいかも」と、受診をすすめるケースも珍しくありません。



当院では、保育士さんからのサポートで改善につながったお子さんも多いです。
今は一人っ子も多いです。ご家庭では「こんなものかな?」と、見過ごしがちな寝息の音も、保育園では客観的に比較ができます。
保育士さんに、お子さんのお昼寝のいびきを指摘されたら、早めに医療機関に相談してみてください。逆にお子さんの睡眠状態が気になる場合は、担任の保育士さんにお昼寝中の様子を尋ねてみるのもおすすめです。
早めに気づいて治療を始めれば、睡眠の質はもちろん、食欲や成長発達、日中の集中力まで大きく変わります。
保育士さんとも連携しながら、お子さんの健やかな眠りを守ってあげましょう。


子どものいびき治療で、成績アップが期待できる!
いびきを治療すると子どもの学力が上がる──そんな報告もあります。
海外の学校で行われた調査では、いびきがある子どもは成績がクラスの下位グループに入る割合が高いことが分かりました。
その後、いびきを治療した子どもたちはテストの点がぐんと上がった一方で、治療しなかった子どもたちの点数はほとんど変わらなかったそうです。
これは、睡眠時無呼吸症候群による夜間の酸素不足が、記憶の定着や集中力を妨げていたと考えられます。
お子さんの成績が気になる、勉強に集中できていない――そんなときは寝息の音をチェックし、いびきが続くようなら早めに専門医へ相談してみてください。
健やかな睡眠を取り戻すことが、学習面の伸びにつながるかもしれません。
参考:Sleep-disordered breathing and school performance in children
まとめ:子どもの寝息が少しでも大きいと感じたら、信頼できる医療機関に相談しよう
幼少期からの子どものいびきは、放っておくと学力低下や情緒不安につながる可能性があります。
しかし、早めに気づいて治療を行えば、集中力の向上や身体の成長につながります。大人になってからの睡眠時無呼吸症候群の予防にもつながるため、将来的にも大変重要な治療です。
寝息が大きい、昼間ボーッとしている──そんなサインに気づいたら、まず睡眠に詳しい医師へ相談してみてください。
お子さんの睡眠改善と、健やかな成長を心より願っています。
この記事でわかったこと
- 子どもの場合は、少しでも寝息が大きいと感じたらすぐに医療機関へ
- 子どもでも睡眠時無呼吸症候群になる。治療は耳鼻咽喉科が中心
- いびきをかく子どもは落ち着きがない、成績低下などの影響が。治療で改善できる可能性が高い
監修:樋上 弓子
*「睡眠養生」は株式会社310LIFE(サトライフ)の商標登録です。(商標登録:第6821898号)






