腸内環境が健康に大きな影響を与えることは、今では多くの人に知られるようになりました。
健康や美容のために「腸活」を取り入れている方も多いですよね。ところで、腸の調子を整えることで、睡眠の質が向上する可能性があることをご存じでしょうか?
今回は、腸の研究を重ねて「腸律」という独自の健康メソッドを生み出した小澤かおりさんに、「睡眠のための腸律」についてお話を伺いました。
腸律がどのように誕生したのか、その背景や腸の歴史、さらには腸が睡眠にどのような影響を与えるのかを詳しく解説します。ぜひ最後までお読みいただき、日々の健康づくりの参考にしてみてください!
この記事でわかること
- 腸律が誕生した背景と小澤かおりさんのこれまでの歩み
- 腸の歴史や腸の働き
- 腸脳相関が健康や睡眠に与える驚きの影響
秘境から介護を経てたどり着いた「腸律」の原点
腸律セラピーは、腸を整えることで心身のバランスを取り戻す日本初の健康法です。
このメソッドを考案したのは、腸律師の小澤かおりさん。多彩なキャリアを通じて感じた「腸の重要性」が、腸律セラピーの誕生につながりました。
そんな小澤さんが作り上げた腸律セラピーは、さまざまなファッション誌やWEBメディアで特集が組まれる大人気プログラムです。
どういった経緯で作られ、どのようなお悩みへのアプローチが期待されるのでしょうか?
腸律セラピーの発案者、小澤かおりさんの紹介

小澤かおりさんは、腸律セラピーの発案者です。
社会人としてのキャリアのスタートは、意外にもツアーコンダクターだったそう。秘境担当に配属され、長期の海外ツアーで世界中を飛び回る日々を送っていました。
あるとき、仕事で海外に出ている間に、大好きなお祖母様が急逝され、秘境から直ぐに戻ることも叶わず、お葬式にも参列できなかったそうです。
この経験から「おばあちゃん孝行がしたい」と思い立ち、お年寄りに貢献できる仕事を志して介護士に転職されます。
介護の現場で働く中で、多くの高齢者が排便トラブルや認知症を抱える現状に直面。さまざまな介護活動を通して「腸」の重要性を感じ、さらに腸の専門的な勉強を深めていく中で、いつまでも健康で長生きするために腸のケアが必要だと感じられたそうです。
そして研究を重ね、独自の腸律メソッドを確立し、2016年には「腸律サロン セラピーエ」を開業。
現在はご自身でも腸律師として施術をしながら、「一家に一人の腸律師」を目指して後任の育成にも力を入れ、介護のない世界を創るために精力的に活動されています。

腸律セラピーとは?
腸律セラピーは、「腸」「脳」「身体」のバランスを整えることで、不調の根本改善を目指す日本初の健康メソッドです。
腸と脳は密接に連携しており、その関係が崩れると消化不良や便秘、睡眠の質の低下など、さまざまな不調を引き起こします。近年では、食道から十二指腸、小腸、大腸、肛門までの消化管の運動障害が「機能性消化管疾患」として注目され、その背景に腸脳相関が関わっていることが明らかになってきました。
しかし、腸律セラピーは10年以上も前からこの「腸と脳の関係性」に着目し、実際の施術やセルフケアを通して腸から心身を整えるアプローチを行ってきたのです。
腸の不調は、様々なお悩みや病気のリスクに繋がります。
- 下痢・軟便
- 便秘
- 眠れない
- 疲れやすい
- 集中力が続かない
- 痩せにくい
- 肌荒れ
- アレルギー
- うつ症状(メンタルダウン)
- 認知症のリスク
- 大腸ポリープ・ガンなどのリスク
- 動脈硬化のリスク などなど……
こうした症状に心当たりのある方は、ヨーグルトや納豆などを取り入れた腸活を試したり、ヨガなどの運動を試すことが多いかもしれません。しかし、根本的に腸にかかっている負担を見直し、「腸・脳・身体」のバランスを整えることで本質的な改善への道が見えてきます。これこそが「腸律」の考え方です。

書籍「セルフ腸律のススメ」では、腸に負担をかけている原因を見つけ出し、腸本来の動きを取り戻すための具体的なセルフケアを提案しています。
それでは、腸律の具体的な考え方やその特徴について、詳しく掘り下げていきましょう。
腸の歴史から解き明かす、臓器や脳の成り立ち
腸律を知るために、まずは腸の歴史を知ることがポイントです。
私たちの健康に深く関わる「腸」がどのように生まれたのか、ちょっと意外な歴史背景を紐解いていきましょう。
腸の原点は、約27億年前に誕生した
腸の誕生ストーリー、それは27億年もの時代をさかのぼる物語がはじまります……。
地球が誕生した46億年前、地球はマグマのような塊でした。
当時は紫外線や宇宙線、放射線が降り注ぎ、生物が存在しない環境だったと考えられています。その後、40億年前になると地球が冷え始め、海が形成されます。この深海には「古細菌」と呼ばれる微生物が生まれたとされ、ここから地球上の生命がスタートしました。
さらに、27億年前には浅瀬に「腔腸動物」と呼ばれる生物が誕生し、大気が整う中で進化を遂げます。そして20億年前には、浅瀬から陸上へと生息場所を移す生物が進出。10億年前には多細胞生物が現れ、地球の生物多様性が広がっていきました。
この長い進化の過程を経て、現在の地球が形作られていきます。
「腔腸動物」が進化し、臓器が形成されていった
腸の歴史を語る上で欠かせないのが、27億年前に生まれたとされる「腔腸動物」です。
名前の通り、「腔」は口、「腸」は肛門を意味します。一つだけ穴があり、それが口と肛門を兼ねた役割を果たしていました。イソギンチャクのような形状で、食べ物を取り込むのも、排泄するのも同じ穴を通じて行っていたそうです。
しかしこの構造では、食べ物と排泄物が混ざってしまうこともあり、効率的とは言えません。そこで腔腸動物は進化を始めます。まず、口から入れたものを別の出口、つまり肛門から出すという基本的な腸の機能が生まれました!
その後、ただ通り抜けるだけでは栄養を十分に吸収できないと気付き、食べ物を一時的に溜める「袋」を体内に作り出します。この袋が後の胃となりました。
さらに、胃で消化した栄養を体中に巡らせるため、肝臓のような臓器が形成され、不要な物質をろ過する腎臓のような機能も発達します。
こうして、今の私たちの身体の基本構造が作られていきました。

腸よりあとに脳ができたので、脳は第二の腸!
こうして腸は、体内で重要な役割を果たす多くの臓器を管理してきました。
食べ物を取り込み、栄養を体中に巡らせ、不要なものを排出する一連のプロセスは、もともと腸だけでコントロールしていたとされています。しかし、次第に腸だけで全てを管理することが難しくなり、腸を補助するための臓器として「脳」が進化しました。
腸と脳の構造には多くの共通点があります。たとえば、小腸と小脳、大腸と大脳は、その形状がよく似ているのです。
このつながりから、「腸は第二の脳」といわれることがありますが、ここに小澤さんは異論を唱えています。
腸が先に進化し、後に脳が形成されたという進化の順序を考えると、むしろ「脳は第二の腸」なのです。
小澤さんは「脳は第二の腸」という説を、強く推しています。

消化吸収や排泄だけではない!知られざる腸の働き
腸の働きは、消化や吸収だけが注目されがちです。しかし、実はビタミンや酵素、ホルモンの生成など、腸は健康を保つために重要な働きを担っています。
小腸で血液が作られている説が有力視されている(腸管造血)
近年の研究では、血液が腸で作られている可能性が注目されています。
特に小腸の「絨毛(じゅうもう)」と呼ばれる突起部分が血液の生成に関わっていると考えられています。小腸が健康であれば、きれいな血液が作られ、それが臓器を健康に保つと考えられるのです。
一方で、小腸が汚れると血液も汚れ、それが全身の不調につながることが分かってきました。この仕組みは「腸管造血」と呼ばれ、アメリカでは研究が進み、多くの専門家の間で注目されています。
免疫機能の7割以上は小腸で作られる
免疫機能の7割以上は、小腸で作られているともいわれています。
小腸のどこで作られているかというと、おへその下に位置する「丹田」と呼ばれる部分です。「丹田」の「丹」という字は、もともと「赤」や「血」を意味し、血を作る田んぼという意味が込められています。このことから考えると、昔の人々は腸管造血や腸と免疫の深い関わりを直感的に理解していたのかもしれません。
たとえば、免疫力が下がる大きな原因の一つに「体温の低下」があります。昔から「お腹を冷やしてはいけない」と言われてきたのも、免疫力を保つための知恵だったのです。
「雷様におへそを取られないように隠しなさい」という言い伝えも、気温の低下からお腹を冷やさないための教訓だと考えられています。
有害な細菌やウィルスを解毒する
腸はさまざまな役割を担っていますが、重要な働きの一つが「解毒」です。
例えば、食べ物に有害な細菌やウイルスが付着していても、腸内細菌がそれを素早く察知し、嘔吐や下痢、発熱などで排除しようと働きます。この反応は、腸が私たちの体を守るために行う防御システムです。
興味深いのは、腸と脳の役割の違いです。脳は錯覚や誤認を起こすことがありますが、腸は決して騙されないということ。
脳が「おいしそう!」と思ったものが、腸にとって負担となることがあります。また、腸が危険信号を送っても、脳がそれを無視することもあります。このように、脳は簡単に騙されるのです。
しかし、腸は決して騙されることはなく、健康な状態を守るために働き続けています。
排泄や消化・吸収、ビタミンやホルモンの生成
腸の働きの中でも、排泄はよく知られた役割の一つです。
そして、排便トラブルは腸の弱りを示す重要なサインでもあります。便秘や下痢に対して薬を使用すれば一時的に症状が収まりますが、根本的な解決には至りません。
むしろ、安易に薬を使用することで腸からの意思表示を無視することになり、身体全体の不調につながることもあります。ですから、排便トラブルが出た時こそ、その根本原因を突き止めてケアをすることが大切です。
腸律で整える!ぐっすり眠れる腸と睡眠の深い関係
腸の状態が、睡眠に影響を与えていることをご存じですか?
「しっかり眠ったはずなのに疲れが取れない」「日中に強い眠気を感じる」といった症状がある場合、腸が硬くなり、その動きが鈍っている可能性があります。腸がほぐれることで、セロトニンが分泌され、これが睡眠ホルモンであるメラトニンの生成を促し、ぐっすり眠れる状態を整えてくれるのです。
ここでは、腸と睡眠の深い関係を紐解きながら、質の良い睡眠を手に入れる方法について見ていきましょう。
お腹を触れば睡眠不足がすぐにわかる
睡眠が十分に取れていない人の腸の状態は、腸律師お腹を触るとすぐにわかるといいます。
「しっかり眠っているつもりなのに、昼間にすごく眠くなる」「寝ても疲れが取れない」といった悩みを抱える方のお腹を触ると、特定の部分が硬くなっていることが多いそうです。このような場合、腸の硬くなった部分を施術でほぐすと、その場で深く眠り、夜もしっかり眠れるようになることがよくあります。
腸がほぐれて動き出すと、セロトニンが分泌され、それが睡眠ホルモンであるメラトニンの生成を促します。結果として、深い睡眠が取れるようになり、心身の調子まで改善されるのです。
サプリに頼る前に!腸律で根本からのケアをめざしてみよう
食事を改善しても運動をしても、腸の調子が良くならないという方がいます。
サプリメントを飲んだり、オーガニック食材を取り入れたりしても、腸の調子が悪いとその効果を実感しにくい。それは、腸の動きが悪かったり、腸壁が汚れていたりすると、消化や吸収が十分に行われなくなるためです。
腸がしっかり動けば、腸壁の汚れが剥がれ、老廃物を便として排出することができます。また、腸が活発に動くことでセロトニンの分泌が促され、心身の調子が整い、質の良い睡眠にもつながります。
そのため、何を食べるかよりも、まずは腸がしっかり動く状態を作ることが大切です。しかし、腸の消化・吸収力に注目している人は意外と少ないのが現状です。
腸の動きが鈍くなる原因として、イライラや緊張、水分不足などが挙げられます。脳では解決できない問題でも、腸の状態を観察することで対処の糸口が見つかることがあります。
多くの人は、サプリメントや特別な食材など、不調を解消する「答え」を探しがちです。しかし、本当に重要なのは「原因」を突き止めること。
腸の動きが鈍くなる理由や、その背景を理解しないままでは、最適な解決策にたどり着くのは難しいでしょう。
まとめ:腸を整えることが、良質な睡眠と健康の土台になる
これまでに約7500人のお腹に触れてきた経験を通じて、小澤さんはさまざまな気づきを得られました。
その中でも特に注目したのが「腸脳相関」という考え方です。腸脳相関とは、腸と脳が密接に結びつき、お互いに影響を与え合う関係を指します。

小澤さんによると、腸の歴史を紐解くと「脳」は腸のサポート役として進化してきたと考えられるため、両者が相関関係にあるのは自然なことだといいます。
たとえば、脳が喜びを感じると顔に笑顔が表れるように、腸にもその状態が反映される「腸の表情」があるのではないかと、小澤さんは考えました。
気になる「腸の表情」と睡眠との深い関係については、後編で詳しくご紹介します。お楽しみに!
この記事でわかったこと
- 腸律は腸・脳・身体のバランスを整える日本発の独自メソッド
- 私たちの身体は腸から誕生し、腸をサポートするために臓器や脳ができた
- 腸の状態を通じて心身の健康や睡眠の質を左右する
後編では、不調を整え、心身のバランスを取り戻すための「腸律」の具体的な方法についてより詳しく解説します!
関連書籍
セルフ腸律について、もっと詳しく知りたくなりましたか?本記事を監修している小澤かおりさんの「セルフ腸律のススメ 腸の不調やぽっこりお腹がみるみる改善」をチェックしてみてくださいね。
▼参考書籍

【書籍情報】
タイトル:セルフ腸律のススメ 腸の不調やぽっこりお腹がみるみる改善
著者名:小澤かおり
出版社:Gakken
形態:単行本 / kindle版/楽天kobo
発売日:2024年12月19日
監修者
*「睡眠養生」は株式会社310LIFE(サトライフ)の商標登録です。(商標登録:第6821898号)









