睡眠が脳のパフォーマンスを最大化する!記憶の司令塔「海馬」を育てる眠り方

「記憶力が悪くなった」「集中力が続かず、ミスが増えた」など、脳機能に不安を抱えていませんか?

もし、あなたがそんな脳のパフォーマンスに悩みを抱えているなら、その原因は「睡眠」にあるかもしれません。

私たちは日々、膨大な情報に触れ、脳をフル稼働させています。しかし、その脳を休ませ、翌日に備えるための「質の良い睡眠」を確保できていない人が多いのが現状です。

そこで「脳と認知の専門家集団」としてヘルスケア事業を展開する株式会社CogSmart 代表取締役CEO/東北大学 加齢医学研究所 臨床加齢医学研究分野 分野研究員の樋口 彰さんに、脳と睡眠の関係について詳しく教えていただきました。

脳の記憶を司る「海馬」という部位に焦点を当て、その働きを最大限に引き出すための具体的な対策方法も解説します。ぜひ、最後までご覧ください。

この記事でわかること

  • 脳の「海馬」と睡眠・記憶の関係
  • 「海馬」を育みパフォーマンスを高める3つの習慣
  • 脳に特化した検査「脳ドック」の可能性
目次

睡眠不足が脳を蝕む!?あなたの記憶を守る「海馬」の働きとは

「海馬(かいば)」という言葉を聞いたことはありますか?

海馬とは、脳の奥深くに位置する、記憶を司る非常に重要な部位です。

新しい情報を一時的に記憶したり、すでに覚えたことを整理したりする、いわば「脳の司令塔」のような役割を担っています。

脳は寝ている間に「記憶の整理」をしている

私たちが日中、仕事で得た情報や経験は、まずこの海馬に一時的に保管されます

しかし、このままの状態では、一時的に覚えたことでも忘れてしまいます。徹夜で記憶したことをすぐ忘れてしまった、という経験がある方もいるのではないでしょうか。

ここで重要になるのが「睡眠」です。

睡眠中、特に深いノンレム睡眠のとき、海馬に一時保管された情報は大脳皮質という「長期記憶」の保管場所に移動します。この一連の流れが、記憶の定着と呼ばれているものです。

一方で、睡眠不足だと思考の整理や記憶の定着が十分に行われず、海馬に一時保存されたことが大脳皮質に移動しません。これにより「大事な会議の内容を忘れてしまった」「昨日の出来事が思い出せない」といった、記憶力の低下につながるのです。

参考:海馬とは?!記憶をつかさどる脳の海馬について徹底解説
(提供会社 株式会社CogSmart  )

睡眠不足は「海馬の老化」を早める

恐ろしいことに、慢性的な睡眠不足は身体への負担を増加させ、ストレス増加・免疫力の低下をもたらすことが分かっています。

さらに睡眠不足によってストレスが増えると、海馬の萎縮を促進させる可能性があることが近年の研究で報告されています。

海馬が萎縮すると、記憶力だけでなく、集中力や判断力も低下し、仕事のパフォーマンスは著しく低下します。

「忙しいから」と睡眠時間を削ることは、翌日のパフォーマンスを下げ、将来の自分の脳の健康を犠牲にしていることにもなりかねません。

質の良い睡眠は、未来への「脳の投資」なのです。

参考:Self-reported sleep relates to hippocampal atrophy across the adult lifespan: results from the Lifebrain consortium
(自己申告睡眠は成人の生涯を通じて海馬萎縮と関連している:ライフブレインコンソーシアムの結果)

睡眠不足_海馬

パフォーマンスを劇的に向上させる!今日から始める「海馬を元気にする3つの習慣」

「質の良い睡眠が脳にとって大事なのはわかったけど、どうすればいいの?」

眠りたくても眠れない、そんな方も多いはず。

ここでは、海馬を活性化させ、仕事のパフォーマンスを最大化するための、具体的な3つの習慣をご紹介します。

海馬を育む生活数館

習慣1:脳をリセットする「深呼吸」の科学

「疲れたな」と感じたとき、無意識にため息をつくことはありませんか?

これは、身体が自律神経のバランスを整えようとする自然な反応。このメカニズムを意図的に活用するのが「深呼吸」です。

深い呼吸をすることで、心を落ち着かせる働きを持つ副交感神経が優位になり、脳がリラックスします。ストレスを抱えがちなビジネスパーソンにとって、これは非常に有効なセルフケアです。

効果的な深呼吸の方法

ストレス解消に効果的な深呼吸の方法を実践してみましょう。以下のステップに従い、1分間に4〜6回のペースで行うのが理想的です。

効果的な深呼吸のやり方
  1. 背筋を伸ばして座る、または立つ
  2. 鼻からゆっくりと息を吸い込む
  3. 口からゆっくりと息を吐き出し、お腹がへこむのを意識する
  4. 心地よい深呼吸を、気分が落ち着くまで数回繰り返す

ウェアラブルデバイスを活用して深呼吸を習慣化する

最近のスマートウォッチには、深呼吸をサポートする機能が搭載されているものもあります。

スマートウォッチなら、深呼吸の前後で心拍数がどのように変化したかを記録できるため、身体の変化をより明確に把握しやすいのが魅力です。

スマートウォッチを活用すれば、「深呼吸の効果」をより実感しながら、習慣化しやすくなるでしょう。

呼吸瞑想でより効果的なリフレッシュ感をあじわう

最近、リラックス効果のある瞑想がビジネスパーソンの間で注目されています。

瞑想は、「今この瞬間」に集中することで、頭の中の雑多な思考を整理し、心を落ち着かせてくれる方法です。

瞑想中に深呼吸を意識して行うことで、より深い集中状態に入りやすくなります。習慣化することで、ストレス解消やリラックス効果を実感でき、睡眠の質を改善する効果も期待できるでしょう。

参考:深呼吸のストレス解消効果と、海馬の萎縮を抑えることができる理由とは
(提供:株式会社CogSmart)

習慣2:海馬を育む、脳にいい食事術

私たちの脳は、全身のエネルギー消費量の約20%を占める「大食い」な臓器です。

そのパフォーマンスを最大限に引き出すためには、毎日の食事が非常に重要になります。

脳の力を最大限に引き出す「バランスの良い食事」

特定の食品だけを食べれば脳に良い、というものは、残念ながらありません。

重要なのは、「食品摂取の多様性」を意識して、バランスの良い食事を心がけることです。

特に、和食や地中海食は、脳に必要な栄養素をバランス良く摂取できる理想的な食事スタイルとして知られています。

食事スタイル特徴と利点
地中海食・オリーブオイル、魚、ナッツ、野菜、果物、全粒穀物を中心とした食事
・抗酸化物質やオメガ3脂肪酸が豊富に含まれる
和食・魚、野菜、豆腐、海藻、発酵食品(味噌や納豆)などを中心とした食事
・多様な食材から栄養を摂取できる
・栄養バランスが良く、脳に必要な栄養素を効率よく補給しやすい


上記を参考に、炭水化物、タンパク質、脂質の三大栄養素に加え、ビタミン、ミネラル、食物繊維を積極的に摂るようにしましょう。

脳のゴールデンタイムを逃さない!「朝食」の重要性

脳のパフォーマンスを最大限に発揮したいなら、朝食を摂る習慣がとても大切です。

私たちは、眠っている間にもエネルギーを消費するため、朝起きた時には脳のエネルギー源であるブドウ糖が不足した状態になっています

この状態で朝食を抜くと、集中力が低下したり、イライラしやすくなったりと、午前中のパフォーマンスに大きな悪影響を及ぼすのです。

朝食は糖質(ご飯やパン)だけでなく、タンパク質、ビタミン、不飽和脂肪酸を一緒に摂ることが重要です。これにより、脳がより活性化し、思考力や集中力のアップが期待できます。

忙しい方のための「食事の工夫」

「毎日バランスの良い食事なんて、時間がない!」

そんな忙しい方でも大丈夫。ちょっとした工夫で、多忙を極める毎日でも、脳に良い食生活を実践できます。

工夫のポイント具体的な内容
コンビニを賢く利用する・サバ缶、ナッツ、サラダチキン、ヨーグルト、フルーツなどがおすすめ
・超加工食品(カップ麺や菓子パン)は栄養が偏りがちなので避ける
「ベジタブルファースト」を意識する・食事の最初に野菜から食べる
・血糖値の急激な上昇を抑え、脳と身体に良い影響を与える
簡単なレシピを活用する・野菜たっぷりのスープ
・魚介を使った簡単なグリル料理・時短レシピで食生活に彩りを

これらの工夫を日々の生活に取り入れることで、忙しい中でも脳の健康をサポートし、仕事のパフォーマンス向上につなげることができるでしょう。

参考:脳にいい食べ物とは?海馬の萎縮を抑える食事のとり方を解説
(提供会社 株式会社CogSmart  )

習慣3:海馬を育てる「適度な運動」

日中の適度な運動は、海馬の働きを活性化し、記憶力やストレス耐性を高める上で非常に効果的です。

しかも、運動をすると昼間の活動量が上昇し、夜の睡眠の質の向上にもつながります。実は、睡眠の質の向上というのは簡単ではないのですが、昼間に運動をすることで活動量を増やすことは、特に良いと言われています。

特に有酸素運動を継続的に行うことで、「BDNF(脳由来神経栄養因子)」と呼ばれる物質の濃度が上昇することがわかっています。

BDNFとは、海馬の神経細胞を新しく作ることを促す働きがあり、海馬そのものを育てるのに役立つ物質です。

また、有酸素運動によって脳への血流が増え、酸素や栄養素が十分に行き渡ることで、脳の機能そのものも活性化されます。

海馬を育てる運動のポイントと注意点

ウォーキング、ジョギング、ヨガといった運動を定期的に行うことで、記憶力向上やストレス軽減が期待できます。

効果を最大限に引き出すためには、運動の「強度」「頻度」「時間」を意識しましょう

目安
強度運動時の心拍数を測定し、最大心拍数の50〜75%を目指します。運動習慣のない方は、まずは40〜50%程度の軽い負荷から始め、徐々に強度を上げていきましょう。
頻度週に3〜5回を目標にすると、習慣化しやすくなります。
時間1回あたり20〜30分程度を継続して行いましょう。

ただし、心臓に持病があるなど、運動に制限がある方は無理をせず、医師に相談してから行うようにしてください。

参考:
海馬とは?!記憶をつかさどる脳の海馬について徹底解説

東北大学 瀧靖之教授に聞く「脳からはじめるヘルスケア」
(提供会社 株式会社CogSmart  )

海馬にいい習慣_ヨガ

「脳ドック」という選択肢も視野に

ここまで、睡眠と海馬の関係、そして具体的な改善策についてお話ししました。

しかし、もし「いろいろ試したけど、どうも調子が悪い」「記憶力の低下が気になる」といった不安が拭えない場合は、「脳ドック」という選択肢も検討してみてはいかがでしょうか。

脳ドックでわかること

脳ドックとは、MRIやMRAといった画像診断装置を用いて、自覚症状のない脳の病気を早期に発見するための検査です。

検査の際には、検査機器から独特な音がしますが、スキャンが終わるまで横たわっているだけで検査ができるので、痛みや手間はありません。

この検査では、血管の状態を詳細に確認することで脳梗塞や脳出血のリスクを調べたり、破裂すると「くも膜下出血」を引き起こす可能性のある「脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)」を早期に発見したりできます。

また、普段の健康診断では発見できない上に、自覚症状がないまま進行してしまう、隠れ脳梗塞を見つけることも可能です。

脳ドックは「予防」のための検査

「そこまでしなくても……」と思われるかもしれません。ですが、脳の病気は自覚症状が出にくいものが多く、気づいたときには手遅れになるケースも少なくありません。

脳ドックは、自分の脳が今どのような状態にあるのかを正確に把握し、将来のリスクを事前に知るための「予防」につなげる検査です。

特に、30代後半から50代にかけては、生活習慣病のリスクが高まる時期でもあります。

脳ドックにより、脳梗塞・脳動脈瘤・脳腫瘍などの病気を見つけることができるため、病気の兆候を早期に発見できます。

オプション等のない通常の脳ドックでは、脳の萎縮(脳の小さな萎縮の兆候)を見つけられませんが、海馬検査「BrainSuite」などの最新のオプションでは海馬の萎縮傾向より脳の健康状態を把握できます

長期的なキャリアや人生設計を考える上で、定点での検査結果を把握しておくことは非常に有益です。

もちろん、健康診断で異常がなければ良いに越したことはありません。しかし、脳ドックの結果は健康診断の項目だけでは把握することは不可能です。

睡眠や記憶力の低下が気になる方は、専門の医療機関に相談して、脳ドックを受けて隠れたリスクがないか、確認をしてみましょう。

▼株式会社CogSmartが提供する海馬検査「BrainSuite」を含む脳ドックの詳細はこちら
(海馬のサイズを計測することも可能です。)
脳ドックとは?受けた方がいいケース、検査内容・医療施設と選び方を解説

脳ドックの結果からスタートする海馬トレーニング

脳ドックで現在の脳の状態を把握したら、より良い状態を目指して脳をトレーニングするのがおすすめ。

実は、脳の中でも特に「海馬」の働きをサポートしてくれる、便利なアプリサービスがあります。

海馬の働きに大きく影響する生活習慣の一つが、有酸素運動です。このアプリでは、海馬を育てるために効果的な運動強度の目標が、一人ひとりに合わせて自動で設定されるため、無理なく生活習慣として身につきやすくなります。

ぜひ日々の暮らしに取り入れて、脳トレに役立ててみてください。

▼ブレインアップ
https://brainup.brainsuite.jp
(提供会社 株式会社CogSmart  )

まとめ:最高のパフォーマンスは「脳の健康」から

私たちは、日々の仕事でスキルや知識を磨くことに多くの時間と労力を費やします。

しかし、それらの能力を最大限に活かすためには、その土台となる「脳の健康」が不可欠です。

質の良い睡眠はもちろん、毎日の食事や運動といった生活習慣は、記憶や集中力を司る海馬を育て、脳のパフォーマンスを大きく左右します。今回ご紹介した習慣は、どれも今日から始められるものばかりです。

もし、こうした習慣を取り入れてもなお「どうも調子が良くない」「記憶力が落ちてきた気がする」といった不安が拭えない場合は、一度立ち止まって自分の脳の状態を詳しく見てみるのも良いかもしれません。

自覚症状のない脳の病気を早期に発見できる脳ドックは、将来のリスクを知り、安心して日々の生活を送るための「予防のための検査」です。最高のパフォーマンスを発揮するためにも、まずはご自身の脳の状態をチェックすることから始めてみてはいかがでしょうか。

この記事でわかったこと

  • 眠っている間、記憶の司令塔「海馬」の働きにより、記憶が整理・定着する
  • 良質な睡眠、食事、運動の習慣改善が海馬を育む
  • 脳ドックを受けることで、早期予防・早期発見につなげられる

監修:樋口 彰

*「睡眠養生」は株式会社310LIFE(サトライフ)の商標登録です。(商標登録:第6821898号)

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