女性の睡眠も「ホルモンバランス」が影響する?生理や更年期と睡眠の関係を解説

睡眠養生_生理痛がつらい女性

女性特有のホルモンバランスが、睡眠の質やメンタルにどれほど大きな影響を与えているかをご存じでしょうか?

月経周期や更年期による体調の乱れだけでなく、現代社会では忙しさや情報過多がさらに追い打ちをかけています。生活習慣の乱れや栄養不足も深刻で、女性は心身ともに健やかな状態を保ちにくい状況にあるのです。

そこで本記事では、女性に特化した睡眠セミナーを各種担当する上級睡眠健康指導士の大木都(さと)が、女性の健康課題や改善方法を深掘りし、簡単に取り入れられる日々の習慣や食事のヒントをお伝えします。

「眠れない」「疲れが取れない」と感じている女性や、パートナーの睡眠が気になる方は、ぜひ最後までお読みください。

この記事でわかること

  • 女性ホルモンの変動が睡眠の質やメンタルに影響を与える仕組み
  • PMSや更年期に起こりやすい睡眠トラブルの原因と対処法
  • 鉄分不足が引き起こす隠れ貧血と睡眠の関係
  • 栄養バランスを整える食事が睡眠改善に役立つこと
  • 快眠をサポートする簡単な習慣や環境づくり
目次

女性の睡眠は生理周期やホルモン変動が深く関わっている

女性は、女性ホルモンの変動によって生理痛やPMSなどの不調を抱えることがあります。

一方で、意外と知られていないのが女性ホルモンによる睡眠への影響です。

女性ホルモンが不安定になると、眠れなくなったり、睡眠の質が低下したりすることがあります。睡眠不足はストレスを増幅させたり、メンタルバランスに悪影響を及ぼすことがあるため、女性は特に注意が必要です。

睡眠養生_女性ホルモンと睡眠

生理前〜生理中は睡眠の質が低下しやすい

女性の月経周期は、月経、卵胞期、排卵、黄体期、そして再び月経へと進みます。

このサイクルは、いわば赤ちゃんのための「ベッド(子宮内膜)」を準備し、それが不要であれば体が自ら分解して排出(月経・経血)する仕組みです。この過程で、睡眠に影響を与える重要なポイントがいくつかあります。

月経周期には「月経」「卵胞期」「排卵期」「黄体期」があり、その周期は人によって異なりますが正常月経周期であれば25 〜38日の間やってきます。

黄体期(生理前)はプロゲステロンというホルモンが分泌され、体温が上昇します

この影響で、寝つきが悪くなったり、途中で目が覚めたりといった睡眠の質の低下が起こりやすくなります。また、この時期にイライラや不安といった精神的な症状も現れることがあり、さらに睡眠に悪影響を及ぼします

月経が始まると、ホルモンバランスが急激に変化し、子宮が経血を排出するために収縮します。このため、生理痛や骨盤の痛み、頭痛、鉄分不足による不調が現れることがあります。これらの症状は、風邪をひいたときに熟睡しづらいのと同じように、睡眠の質をさらに悪化させる要因となります

一方、卵胞期は体調が整いやすい回復の時期です。この時期をうまく活用して、質の良い睡眠を確保し、体調をリセットすることが大切です。特に、生理痛やPMSで月の半分を不調に感じる場合、この回復期を意識的に活用することで、次の周期に向けたコンディションを整えることができます

そのためには、自分の体調に合わせた過ごし方を取り入れることがポイントです。

「生理前は調子が悪いから、外出は控えて身体を休めよう」「生理中は栄養バランスの良い食事を摂ろう」といった形で、自分を労わる習慣をつけるとよいでしょう。また、回復期にも意識して休息をとる日を設け、身体をリカバリーすることで、長期的な不調を防ぐことができます。

参考:正常月経周期にあてはまらない場合

●原発性無月経
満18歳になっても初経が起こらない。15歳以上で月経が発来するものを遅発月経という。

●不整周期症 

月経周期が不規則であり、次の月経の発来日の予測がまったくつかない。

●頻発月経 
月経周期日数が短く、24日以内で月経が発来する。

●稀発月経 
月経周期日数が長く、39日以上で月経が発来する。

●続発性無月経 
初経発来後、月経が90日以上発来しない。それまで規則的にあった月経が、過度の運動やダイエット、精神的ストレスなどで3ヶ月以上とまってしまうことを続発性無月経といいます。

*無月経が長期間にわたると回復が難しいことが多く、妊娠できる能力に将来影響を及ぼす可能性もあるため、3ヶ月以上無月経が続いた場合、専門医への受診をおすすめします。

出典:日本スポーツ振興センター
上記は下記PDF「月経について」より抜粋させて頂きました。
こちらはとてもよくまとめてくださっています、生理周期が乱れている方は「わたしはそういうタイプだし」といった個人の思い込みで放置しないでほしいので、ぜひ下記PDFファイルも合わせてご覧ください。

https://www.jpnsport.go.jp/hpsc/Portals/0/resources/jiss/column/woman/seichoki_handobook_4.pdf

更年期障害の不調は必ずしも起こるわけではない!

更年期とは、閉経の前後10年間を指します

思春期が誰にでもあるように、更年期も誰にでも訪れるものですただし「更年期障害」は、必ずしも全員に起こるわけではありません

テレビCMなどでは「イライラ」や「動悸」といった更年期障害の症状が強調され、女性にとって「更年期は大変な時期」というイメージが広がっています。しかし実際には、「更年期障害を全く感じなかったうちに閉経したんだよね」という方も多く存在するのです。(閉経前の女性としては必ず来る閉経までの時期が、不調を感じずに過ごせるなんて、とっても羨ましいですよね!)

その違いを分ける要因は、主に「生活習慣」や「性格・心の持ち方」にあります。

若い頃から健康的な生活習慣を取り入れ、しっかり睡眠をとり、心身ともに健康を維持してきた人は、更年期障害が起こりにくい傾向にあるようです。また、性格の影響も大きく、柔軟な心を持って何事も前向きに考えられる性格の女性ほど、更年期障害を感じにくいといわれています。

一方で、「こうあるべき」という強い信念・思い込みを持ってしまうタイプならば、注意が必要です。加齢によるホルモンバランスの乱れにより、ご自身の気持とは裏腹に思い通りに身体は動かなくなります。

例えば今までは受け流せたような変化にも対処できなくなると、「こうあるべき」と思っている意識面とのギャップで感情がコントロールしづらくなって、更年期障害が強く現れることがあります。

誰にでもやってくる更年期を、穏やかに乗り越えるためには、感情面のゆとりも大事なのです。日頃から睡眠時間を大切にし、健康的な生活習慣と柔軟な考え方を心がけることが、実は感情のゆとりをつくるためにも、とても大切でお金もかからないセルフケアです。

更年期はある日突然来る病気ではありません。加齢と共にジワジワ〜っとやってきて、ホルモン分泌の量もバラバラとし、感情面や体調の浮き沈みが激しくなって、様々な症状を感じていきます。

まだ30代だし!などと、目を背けず、体調の変化に気付いた時期から、早めに生活習慣や考え方の改善に取り組んでみてください。若いうちからの日々の積み重ねで、更年期を快適に乗り越えるための土台を作っておき、更年期のツラい症状を感じにくく過ごせるようにしましょう。

女性が快眠するために取りれたい栄養

睡眠養生_睡眠のための食事

睡眠の質を向上させるためには、日々の食事にも意識を向けることが大切です。

皆さんは普段の日常で、どのような食事を心がけていますか?自分の体のために「何を選んで」「どのように食べている」のでしょうか。その食べたものであなたの身体が出来上がっています。

特に、月経のある女性にとって栄養バランスは非常に重要です。体が求める栄養素をしっかり摂取し、バランスの良い食事を心がけることで、体調や睡眠の質に良い影響を与えることができます。

ぜひ日々の食生活を見直し、自分の体に優しい選択をしてみてください。

現代の日本女性は「新型栄養失調」が深刻化

睡眠養生_新型栄養失調

現代の日本女性の間で「新型栄養失調」が深刻化していることをご存じでしょうか。

食べ物は豊富にある一方で、偏った食事や栄養不足が広がっています。特に、カロリーは足りていても栄養が不足している状態に陥っている方が多いのが現状で、このような状態は新型栄養失調と呼ばれています。

睡眠中は脳や身体のメンテナンスを行いますが、メンテナンスをするためには素材となる栄養素が必要です。しかし、多くの女性は忙しくて食事を抜いたり、ダイエットのために偏った食生活に陥ったりしています。

さらに、女性は月経によってどうしても鉄分やビタミン、ミネラルも不足しがちです。これらの栄養素が不足すると睡眠の質が低下し、健康に悪影響を及ぼす可能性もあります。

忙しい現代社会では、良質なマルチビタミン&ミネラルや鉄分のサプリメントを活用するのも一つの方法です。

食事の準備が大変だからといって、空腹をてきとうに乗り越えているだけでは、体調が整わず倦怠感の抜けない日々が続いてしまいます。上手に栄養成分を補えるよう、栄養知識をチェックして食事で身体を養生していきましょう。

ただし、本当に必要なのか考えず、安易に選んでサプリメントを服用することは避けてさい。サプリメントも信頼できるものを選択し、ご自身の身体に取り入れる大事な栄養素であることを意識してください。

\あわせてチェックしよう/
快眠に役立つ栄養素とサプリメントの選び方を医療機関向けサプリメントを手掛ける専門家が解説した記事が特集であります。前後編を合わせてご覧ください。

多くの女性は「隠れ貧血」かも!?鉄分不足で睡眠の質も低下

鉄分不足については、特に女性が注意すべき重要なポイントです。

健康診断の結果を見て、「自分は貧血ではない」と思い込んでいる方が多いかもしれません。しかし、鉄不足といっても、実は健康診断で測定する際に知られているヘモグロビン(Hb)で判定する基準値ではなく、貯蔵される鉄が不足する隠れ貧血(潜在性貧血)による症状なのです。

そのため、多くの婦人科医からは「健康診断だけで女性の貧血の有無はわからない」と指摘されています

隠れ貧血(潜在性貧血)を確認するには、採血で「フェリチン」と呼ばれる鉄の貯蔵量を示す数値を測定する必要があります(婦人科や内科で検査が可能です)。このフェリチン値を調べると、たいていの女性が「隠れ貧血」であることが判明すると医師もいいます。

実際、私自身も婦人科の定期検診で検査をしているのですが、数値が悪いと本当にだるさが続いている時期だったりします。

日本人女性の多くは月経による鉄分の損失や、偏った食生活による鉄分不足で「なんとなく疲れる」「頭痛がする」「お腹が痛い」といった症状を感じています。

これは、鉄分が体内で酸素やエネルギーを運ぶヘモグロビンの生成に必要不可欠だからです。鉄分が不足すると、体全体に十分な栄養素が行き渡らなくなり、だる重く感じたり、運動すると息切れを感じたりします。とりわけエネルギーを多く消費する脳が最初に影響を受けるため、頭痛を訴える方が女性に多いのです。

さらに、睡眠障害でいうと実は「むずむず脚症候群」という症状を訴える女性も多く見られます。ちょっと面白い名前に聞こえるかもしれませんが、症状はとにかく不快です。夜、足や手がむずむずして落ち着かない、かゆみのような感覚がでる疾患です。

このような症状を感じている場合、それは鉄分不足が原因である可能性が高いです。この症状も、栄養バランスを改善することで大きく緩和されることがわかっています。

参考:女性の健康と栄養について「隠れ貧血の問題」(一般財団法人 女性労働協会)
https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/colum/colum39.html

朝食に魚、夕食に納豆を!忙しい朝はグラノーラで栄養補給

納豆は、朝食に取り入れる方が多いですが、実は夜に食べるとさらに良い効果が期待できる食品です。

朝に食べる場合、納豆は筋肉を高めたり、睡眠に良いとされるトリプトファンを補う点で優れています。一方で、夜に食べると安眠効果が高まり、女性ホルモンのサポートにも役立つことがわかっています。

また、朝食にお魚を取り入れるのもおすすめです。魚の油には体内時計をリセットする効果があり、食べてから約30分で体内時計がリセットされると言われています。さらに、良質な魚の油は代謝を助け、ホルモンの材料としても重要です。

忙しくてバランスの良い食事を準備するのが難しい場合は、グラノーラなどのシリアルを活用しましょう。マルチビタミンやミネラルが補充できるタイプのものは、栄養バランスを整えるのに役立ちます。

睡眠養生朝食抜きよりシリアル

和食が最も身体の調子を整えやすいとされていますが、理想の朝食が準備できないからと朝食を抜くよりもシリアルでいいので簡単に栄養を取り入れる方が圧倒的に健康に良い影響を与えます。

またパンだけの洋食よりも、シリアルやヨーグルトを組み合わせることで体調が整いやすくなるそうです。朝食を抜いている方は、朝ご飯の摂り方を見直してみましょう。

女性におすすめ!ぐっすり眠るための入眠儀式を取り入れてみよう

女性におすすめしたいのが、入眠のための「儀式」を習慣化することです。

脳は省エネが得意で、エネルギーを効率よく使いたがる器官です。人間が消費するエネルギーの7〜8割は脳で使われているため、脳は無意識のうちに習慣化できるものを増やし、新しいことに挑戦するエネルギーを節約しようとします。

この特性を利用して、就寝前の行動を一定のルーティンとして習慣化することが、良質な睡眠を得る鍵となります「これをやると睡眠モードに入れる」という型を作り、それを繰り返すことで脳が自然とリラックスできる状態を作り出しましょう

ただし、何が心地よい儀式になるかは人によって異なります。リラックスできる方法を見つけ、自分だけの「入眠儀式」を取り入れてみてください。

快眠するための環境を整える

まずは、リビングや寝室の明かりを暗めのダウンライトに調整してみてください。

おしゃれなバーやホテルのラウンジをイメージし、落ち着いた雰囲気を作るとリラックス効果が高まります

夜寝る前のリラックスタイムとして、ノンカフェインのハーブティーを楽しむもおすすめです。ハーブティーには快眠をサポートするブレンドもあり、市販されている中から好きな香りや味を選べば、リラックスした状態で眠りに入れます

さらに、アロマやピロースプレーを使うことで、香りを通じた快眠環境が整います。ラベンダーの香りは深い睡眠をサポートする効果が期待されていますが、苦手な場合はすっきりとした柑橘系やレモンバームもリフレッシュ感があるのでおすすめです。

次に、パジャマやレッグウォーマーにこだわることも大切です。古着ではなく、心地よい素材のパジャマを選び、体がリラックスできる環境を整えましょう

レッグウォーマーは冷えやすい足首を温めるのに効果的で、特に女性の身体にとって重要な「三陰交」というツボを守ります。更年期や冷え性の方には、朝まで温かさを保てるものを選ぶと良いでしょう。

もちろん、お風呂(湯船に浸かる)や足湯で体温を整えることも効果的です。足湯も三陰交を温めているわけですね!しかもゆっくりと入浴して深部体温を上げておくと、お風呂上がりから約90分後に体温が下がるタイミングが訪れ、睡眠の準備が整います

また、ストレスフルだったりデスクワークで、こわばった身体を解きほぐすには、寝る前のヨガやストレッチがおすすめです。ラジオ体操のような軽い体操(動的ストレッチ)もOKです。時間がないときは、軽く体にひねりを入れるようなストレッチを取り入れるだけでも、心身がリラックスして眠りにつきやすくなります。

ストレスや仕事で気持ちが高ぶっているときは、紙に気になることを書き出して体の外に吐き出すイメージで過ごしてみてください。頭の中にあるモヤモヤを外に出すことで、気持ちが軽くなり、頭をスッキリさせた状態で眠りに入れます。

これはマインドフルネスでいうジャーナリング(書く瞑想)とも呼ばれているもので、感情の整理に役立ちます。

▼入眠儀式のポイント

  • 電気を暗くする
  • 快眠ハーブティーを飲む
  • 睡眠用アロマを焚く
  • パジャマ&レッグウォーマーに着替える
  • お風呂や足湯で足元を温める
  • ヨガやストレッチで筋肉緊張をとる
  • ノートに書き出して不快を吐き出す(ジャーナリング)
  • 瞑想をしたりBGMを切り替える など

\Podcastでジャーナリングについて聞いてみよう/

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