女性のみなさん、就寝時に自分の「いびき」を感じたことはありませんか?
近年、女性にも多いことがわかり、様々な病気の原因として注目されているのが「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」です。この症状はメタボ体型の男性に多いと思われがちですが、実は女性や子供にも起こるケースがあります。
特に閉経後の女性は、睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まることがわかっています。
そこで今回の記事では、ご自身のためにも、そして一緒に眠っているパートナーのためにも知っておきたい「女性の睡眠時無呼吸症候群」についてお伝えします。
この記事でわかること
- 睡眠時無呼吸症候群とはどのようなものなのか
- 女性の睡眠時無呼吸症候群について
- 睡眠時無呼吸症候群かどうかセルフチェックする方法
睡眠時無呼吸症候群とは?
睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に呼吸が何度も止まってしまう状態のことです。
睡眠時無呼吸症候群によって、脳や心臓に負担がかかる
起きている間でも、呼吸を止めると苦しいですよね。
眠っている間も同じで、呼吸が止まると身体はとても苦しい状態になります。この状態が続くと、睡眠をとっているつもりでも身体は十分に休まりません。酸素は不足し、代謝が悪化します。
また、呼吸が止まるたびに身体は無意識に息をしようと頑張るので、結果的に起床時にとても疲れてしまいます。特にひどい場合は、長時間呼吸が止まることがあり、酸欠状態になってから急に呼吸を再開することが繰り返されます。
このように、無呼吸で低酸素の状態が繰り返されるので脳や心臓に大きな負担がかかり、認知症や心疾患、高血圧、糖尿病などのリスクが高まることがわかっています。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の半数以上は高血圧のリスクが高まる
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、大きく3つのタイプに分けられます。
1つ目は、気道がふさがって呼吸が止まる「閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)」、2つ目は脳が呼吸の指令を出せなくなる「中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSA)」、そして3つ目が両方の特徴を持つ「混合性睡眠時無呼吸症候群(MSA)」です。
中でも、特に多いのが「閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)」です。
これは睡眠中に上気道が部分的または完全に閉塞し、10秒以上の呼吸停止や低呼吸を引き起こします。主な症状として、日中の過度な眠気、不穏な状態、いびき、夜間の頻繁な覚醒、そして起床時の頭痛などが挙げられます。
実際に、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の患者の50〜60%は高血圧を伴っており、また高血圧患者の30〜40%がOSAを合併しているという報告があります。日本では、OSAの患者数は約1200万人にのぼると推測されています。

「寝ても疲れが取れない」と感じるなら要注意
しっかり睡眠時間を確保したはずなのに、毎朝のように起床時にひどく頭痛を感じている方は要注意。
睡眠中は無意識のため、呼吸が止まっていることに気づけません。適切な対策を取らずに長い間放置してしまうことも多く、その結果、将来的にさまざまな病気のリスクが高まります。
まずは、ご自身が睡眠時無呼吸症候群かどうかをしっかりと確認することが重要です。

睡眠学会でも注目されている「女性の睡眠時無呼吸症候群」
2024年の日本睡眠学会 学術総会では、睡眠時無呼吸症候群の専門カンファレンスが多数ありました。
その中でも特に気になったのが、「女性と睡眠時無呼吸症候群」に関するカンファレンスでした。
睡眠時無呼吸症候群は男性に多いイメージがありますが、実は女性にも多く見られる問題です。学会でも、この点を重要視し、情報発信が進められています。
睡眠時無呼吸症候群の有病率は女性で約2〜3%、男性で約5%とされています。男女比は2〜3:1で、男性に多く見られますが、現在では女性にも多いことが認識され、研究が進められています。
女性の場合、閉経後は閉経前に比べて睡眠時無呼吸症候群の発症率が約3倍に増えるとされ、男性との差がほとんどなくなるといわれています。

女性の睡眠時無呼吸症候群は、まだまだ認知度が低い
女性の睡眠時無呼吸症候群については、実は認知度がまだまだ低いという現実があります。
多くの女性は睡眠に課題を感じても、病院へ行くまでには至らず、放置してしまうケースがほとんどです。
女性の場合は「いびきをかく」という事実を家族に指摘されても、恥ずかしく感じて医師に伝えられないケースも多いそう。この場合、夫婦で診察した際に、ご主人からのご意見を聞いて医師が気づくことも多いとカンファレンスで報告されていました。
これまで、私は40代から60代の女性を中心に約50名のカウンセリングを行い、大学の先生方と共に睡眠時の脳波検査や問診調査を実施してきました。その結果、多くの女性が睡眠時無呼吸症候群のリスクが高いことに気づいていないことが明らかになったのです。
この睡眠研究は、2023年に開催された日本抗加齢医学会でも発表しています。
2023 日本抗加齢医学会 第23回学術総会「IoT 脳波計測デバイスによるミドルエイジ女性の睡眠研究」大木都
当の本人たちが睡眠課題に気づいていないということは、治療にも繋がりません。多くの病気の原因になってしまう睡眠時無呼吸症候群が放置されてしまうこと、これが大きな問題なのです。

閉経後の女性は睡眠時無呼吸症候群の症状が現れやすくなる
女性の睡眠時無呼吸症候群について、特に注目したい理由があります。
それは、閉経後の女性に多いということです。
つまり、閉経後に睡眠時無呼吸症候群のリスクが高くなることを知っておくと、睡眠中の体調を意識するきっかけになります。女性にとって閉経は避けられないものです。その後の人生で「睡眠時無呼吸症候群が女性にも身近なリスクである」という基本的な知識を持っておくことが大切です。
閉経後、女性の体内ではホルモンバランスの変化により筋力が低下しやすくなります。
これは、顔の筋力が衰えてたるむのと同じように、喉や舌の筋肉も弱くなり、睡眠時に気道がふさがりやすくなるためです。その結果、睡眠時に無呼吸状態が繰り返されることがあるんです。
50代以降の女性がだんだんと「いびき」をかくようになり、若い頃には無かった睡眠時無呼吸症候群の症状が現れやすくなります。ご家族に中高年の女性がいる場合、いびきをかいていないか、朝起きた時に頭痛を訴えていないかなど、注意して見守っていただくことが大切です。
睡眠時無呼吸症候群によって睡眠の質が低下すると、循環器系の重篤な病気のリスクが高まります。ご家族のいびきがひどくなっている場合には、早めに専門医で検査することを勧めてみてください。

20代前後の女性でも睡眠時無呼吸症候群のリスクがある!
いまどきの20代の若い方々についても、睡眠において心配な点があります。
それは、全体的に筋力が不足しているということです。これにより、実は若い世代でも睡眠時に無呼吸状態が起きているのではないかと注目されています。
口腔外科の医師によると、若い人でも、硬いものを食べることが少ない方は、口腔の筋力低下が進んでいる可能性があるとのこと。さらに、もともとアゴが細くシャープな方は、口腔が狭いため、舌が奥に下がりやすく、体型に関係なく睡眠時無呼吸症候群になりやすい口腔環境といえます。
もし「朝起きたときに、いつも頭痛がする」「十分に時間は眠ったはずなのに、疲れがいつも取れない」といった症状や加えて「いびきを指摘される」「呼吸をしていないように静かすぎるよ」など指摘されるようなことが続くようであれば、注意が必要です。
これらは、睡眠時無呼吸症候群によって睡眠の質が低下しているサインかもしれません。ご自身の体調を見つめ直し、必要であれば専門家に相談してみることをおすすめします。

睡眠時無呼吸症候群かどうか知るために効果的な2つの方法
睡眠時無呼吸症候群の症状を確認する方法として、まずはパートナーからの「いびき」の指摘が大きなヒントになります。
もし「いびきをかいていたよ」と言われたら、「睡眠時無呼吸症候群のアラートがでた!」と思って睡眠後の体調をチェックしてみましょう。加えて起床時に「十分に眠ったはずなのに、なんだか寝足りない」「目覚めに頭痛がある」と感じたりする場合も、睡眠時無呼吸症候群の可能性が考えられます。
アラートのあとには、改めてパートナーに寝ている時に呼吸が止まっていないか意識して確認してもらいます。呼吸が止まっている様子があったり、寝ていても苦しそうだったり、ご自身でも起床時の頭痛等がある場合は早めに専門医に相談しましょう!
また、一人で眠っている方でも、睡眠時無呼吸症候群かどうかご自身で明確に調べる方法があります。2つの方法を紹介するので、この機会にぜひお試しください。
1. スマホアプリを使って、いびきを録音!
睡眠時無呼吸症候群かどうかチェックする方法の1つは、スマートフォンのアプリの活用です。
アプリを使っていびきを録音することで、自身が眠っている間にどれくらいの頻度でいびきをかいているかを確認できます。特に、夜中に何度も大きな音でいびきをかいていた場合、呼吸に影響が出ている可能性があると判断できるでしょう。
また、少し楽しみながらできる方法として「ポケモンスリープ」というゲームアプリを使うのもおすすめです。ポケモンのゲームで遊びながら睡眠計測をしてくれるアプリで、いびきモードをオンにすると、いびきの音を録音してくれます。
ゲームをしながら健康管理もできるので、ぜひ「ポケモンスリープ」を試してみてはいかがでしょうか。

2. スマートウォッチやリング型のガジェットを使って血中酸素濃度をチェック
また、Google Fitbit(フィットビット)やPixel Watch(ピクセルウォッチ)、OuraRing(オーラリング)、Apple Watch 10 といった、指先や手首につけるタイプのウェアラブルデバイスで睡眠中の血中酸素濃度をチェックするのもおすすめです。
睡眠中に呼吸が止まると、血液中の酸素量が減少することがあります。手首や指に装着するデバイスを使えば、血中の酸素量を確認できるため、睡眠中に無呼吸が起きて酸素量が低下していないかチェックできます。
加齢とともに身体は変わっていくため、こうしたデバイスで睡眠や健康状態にモニタリングすることは非常に有益です。自身の健康管理はもちろん、ご家族の健康管理にも役立ちます。
スマートウォッチやリングを使った睡眠の可視化、ぜひ試してみてください。
ただし、市販のデバイスは医療機器ではありません。スマートウォッチでチェックした後でも、改めて病院にいけば専門医での検査をうけて疾患状態を診断することが大切です。
一般デバイスでは診断ができませんので、心配な方は早めに病院で検査を受けましょう。

まとめ:女性でもリスク大!睡眠時無呼吸症候群を軽視しないで
一般的に、睡眠時無呼吸症候群は太った中年男性に多いと思われがちですが、実はやせ型の女性でも多くのケースが報告されています。
放置すると重篤な病気のリスクを高めるため、決して軽視できません。
病気の可能性が心配になった場合には、睡眠専門の病院にいって検査をしてみましょう。睡眠の重要性が注目されている昨今、専門のドクターが少しずつ増えてきています。
日本睡眠学会の認定機関
https://jssr.jp/list
睡眠改善のために通院するのは、正直めんどくさいですよね。
しかし、残念ながら人間のメカニズムとして睡眠をなくすことはできません。そして、睡眠でしっかりメンテナンスができないと、さまざまな疾患につながるのが事実です。
将来、病気の治療に時間を取られることなく、毎日を元気に過ごすためには良質な睡眠をとることが非常に大切です。睡眠時無呼吸症候群は、健康寿命に直接影響を与えるため、睡眠に不安がある方は早めに検査を受けましょう。
この記事でわかったこと
- 睡眠時無呼吸症候群とは睡眠中に何度も呼吸が止まる状態のこと
- 男性に多いと思われがちだが、実は女性にも起こる可能性がある
- アプリやスマートウォッチなどを使って睡眠を可視化すると兆候が分かることも
この内容はPodcastのラジオ番組で聞くことができます。
監修
*「睡眠養生」は株式会社310LIFE(サトライフ)の商標登録です。(商標登録:第6821898号)





















