なんとなく続く不調やだるさ……それを「いつものこと」として、見過ごしていませんか?
本来、私たちの身体はもっと自然に寄り添った環境で、五感を使いながら過ごすようにできています。
けれど、便利な暮らしの中で自然との距離が遠のくと、五感が鈍くなり、心と身体のバランスにも少しずつズレが生まれてしまいます。その結果、「なんとなく不調」が当たり前のように積み重なっていくのです。
そこで今回は、医学博士の山本竜隆先生に、こうした自然欠乏による不調の関係、そして今日からできる自然とのつながるセルフケアについて教えていただきました!
最後まで読んで、モヤモヤ不調の改善法を早速試してみましょう。不調が改善していくについれ、より健やかな睡眠休養感をえられるようになるでしょう。
この記事でわかること
- 自然欠乏が心と身体の不調につながる理由
- 子ども時代の自然体験がもたらす感覚の大切さ
- 日常に自然とのつながりを取り戻すための工夫
生活の中に自然が不足すると、健康が損なわれる?
自然とのつながりは、私たちの健康に深く関わっています。
では、自然とのつながりが薄れると、私たちの身体にどんな影響があるのでしょうか?
自然や生活習慣とのズレが生む不調
暗くなったら眠り、朝日を浴びて目覚める。
舗装されていない土や草の上を歩く、電磁波や化学物質が少ない生活ーー。
そんな自然と調和した暮らしは、ほんの数世代前まで当たり前のものでした。
けれども現代では、整備された町に住み、空調から光までコントロールでき、自然から大きく離れた生活を続けています。

まるで、私たちの身体が「別の惑星に連れてこられた」かのような急激な環境の変化の中で、日々の暮らしは心や身体に少しずつ負荷をかけています。
もちろん、すべてを昔の生活に戻すことはできません。けれど、本来の身体に備わっている生理的なしくみを思い出し、今できる範囲で自然に近づこうと意識する——それだけでも、不調の軽減につながります。
自然環境と都市環境の違いとは?
改めて考えてみると、「歩く」という何気ない動作ですら、自然の中と都市の環境とでは大きく異なります。
都市では、アスファルトやコンクリートなど平らで整備された道を歩くのが一般的です。同じ幅・同じ高さの階段が続き、足元に大きな変化はありません。
けれど自然の中では、そうはいきません。
木の根や転がる石、ぬかるみや傾斜など、足元は常に不規則に変化します。そんな地面を歩くとき、私たちの身体は無意識のうちにバランスを取ろうと働き、感覚や筋肉を自然と使うようになります。

写真:山本博士に案内される様子。子どもとの森の散策(編集長 大木撮影)
意識しなくても、私たちの身体は歩くたびに、地面の傾きや感触に合わせて、さまざまな筋肉を使ってバランスを取ろうとします。
こうした“無意識の調整”こそが、身体をゆるめ、整えていく働きにつながるのです。
一方、人工的に整った階段や舗装路を同じリズムで歩き続けていると、特定の部位にばかり負荷がかかり、かえって身体を痛めてしまうこともあります。
自然の中を歩くという行為は、身体にやさしい刺激を与えながら、本来のしなやかさや感覚を引き出してくれる貴重な時間です。
「歩く」という動作ひとつをとっても、自然と都市ではこれほど違います。ましてや、呼吸、音、触れるものまで……五感を通じて感じる世界は、まったく異なるのです。
子ども時代の自然体験がもたらす、生きるために大切な感覚
近年、子どもたちが「本物の自然」に触れる機会は、どんどん少なくなっています。
そのことが、心や身体の健やかな成長に少なからず影響を与えているようです。
自然の中にある「死」を知らない子どもたち
大人からすると少し意外かもしれませんが、幼い頃からゲームや映像の中で「死」や「危険」を日常的に目にしてきた子どもは、それが現実世界の「感覚」や「実感」とは結びついていないことも少なくありません。
ある自然体験プログラムでは、野鳥の死骸を見つけたガイドがその場で解説をしていたところ、参加していた児童が真剣な表情で「この鳥、リセットできないんですか?」と尋ねたそうです。
ゲームの中で見慣れた“キャラクターの死”と、実際の命ある生きものの“死”との違いを、実感として理解できない――そんな子どもたちがいるのが現状です。
都会で暮らす子どもにとって、“死”と出会う機会がゲームの中だけ、というのが当たり前になりつつあるのかもしれません。
映像と現実のギャップがもたらす危険
実際に木に登ったことがない子どもが、映像の影響で「高いところから飛び降りても大丈夫」と思い込んでしまうこともあります。
こうした状態は「高所平気症」とも呼ばれ、子どもの転落事故が多発する一因となっています。
本物の自然にふれることは、身体感覚を育むだけでなく、本能的な危機察知力や命に対する理解を養う貴重な経験です。
実際、危機察知力の乏しさが心配になる場面は少なくありません。
山本竜隆先生たとえば、キャンプ場近くの休日診療を担当していると、森に虫がいることを知らずに短パンで出かけて負傷した大人や。
または、焚き火の火が危ないと気づかずに手を伸ばし、火傷を負った子どもが来院することがあります。
「自然に対する感覚」が薄れている現状は、見過ごせないリスクにもつながっているのです。
自然体験が育む「生きる力」
ヨーロッパの一部では「中学校卒業までにこれだけの自然体験を」といった指標を設けている国もあります。
日本でもそうした視点が必要だと考え、日本統合医療学会では30項目の自然体験リストがまとめられました。
自然とのふれあいは、学問や知識とは別に、人間が本来持っている感覚や本能を育てる土台になります。その大切さを、いま改めて見直す必要があるのかもしれません。


自然とのつながりを持とう
自然とふれあうことは、心と身体を整える上でとても大切です。
しかし、「この場所が人気」「このツアーが人気」といった情報だけで選んでも、誰にでも効果があるとは限りません。
心地よく感じられる自然とのつながりを見つけよう
海の音を心地よいと感じる人もいれば、静かな山の空気のほうが合う人もいます。
自然は好きだけれど虫が苦手な人にとって、夏の山での活動はかえってストレスになるでしょう。
大切なのは、自分に合う自然のかたちを見つけることです。
どんな過ごし方が心地よいのか。どんな場所でリラックスできるのか。自然とのつながり方は人それぞれで、「流行っているから」ではなく、「自分にしっくりくるかどうか」を基準に選ぶことがポイントです。
プログラムの内容だけでなく、一緒に過ごす人の雰囲気、食事のスタイル、活動のペースなども、その人に合っているかどうかが満足感を左右します。
自然の中で静かに過ごしたい人と、にぎやかに楽しみたい人が同じ空間にいると、どちらにとっても居心地の悪さを感じてしまうことがあるためです。


日常に取り入れられる、自然との接点を試してみよう
自然との接点は日常にも取り入れられます。
- 芝生を裸足で歩く
- 公園の木に触れてみる
- アロマやハーブの香りを感じる
そんな小さな習慣でも、自然とのつながりを思い出すきっかけになります。
自然の中での過ごし方に“正解”はありません。無理なく、自身に合ったスタイルで、自然とのつながりを少しずつ取り戻していきましょう。
五感が開くと整う健康がある
都会の幹線道路を歩いていて、深呼吸したいと感じることは少ないですよね。
車の音や排気ガスに囲まれた環境では、自然と呼吸も浅くなり、耳を澄ます気持ちにもなりにくくなります。
一方で、森の中に入ると、自然と深呼吸したくなったり、小さな音に耳を傾けたくなったりするものです。こうした環境では、少しずつ五感が開かれていく感覚があります。
その中で、「自分は嗅覚が敏感だけど、聴覚は鈍いかもしれない」といった、自身の感覚器の特徴にも気づけることがあります。そうした“気づき”も、自然との関わりのなかで得られる大切な経験です。
フランスの未病ケアでは、「五感が開く場を提供すること」が重視されています。
何か特別なセラピーではなくとも、ただ自然の中で五感を感じられる空間に身を置くことが、心身のバランスを整える第一歩になるのです。


まとめ:自然との距離を縮めて、心と身体を整えよう
健康とは、数値だけで語れるものではありません。
現代の便利な暮らしの中で、気づかぬうちに遠ざかっている「自然とのつながり」が、実は私たちの五感や身体の感覚に深く影響しています。
自然の中で呼吸をする、風にふれる、土の上を歩く――それだけで身体はゆるみ、心が整うこともあるのです。
心とカラダが整うことによって、より健やかな睡眠休養感を得られるようになるでしょう。
自然に寄り添った暮らしは、ほんの少しの意識で、心地よい毎日へと導いてくれます。
山や海へ出かけなくても、近所の公園の木に触れてみたり、室内にグリーンを配置してみたり、またはアロマやハーブで香りや食事から取り入れてみませんか?意外と小さな自然が身近にもつくれます。
自然との接点を日常に戻していくことから、不調改善を始めてみませんか?
この記事でわかったこと
- 自然から離れると五感が鈍り、体調にも影響が出る
- 子どもは自然体験を通じて“生きる力”を育んでいる
- 芝生を歩く・木に触れるなど、自然との接点は身近にある


関連書籍
自然欠乏の影響について、もっと詳しく知りたくなりましたか?本記事を監修している山本竜隆先生の著書「自然欠乏症候群 ~体と心のその「つらさ」、自然不足が原因です~」もチェックしてみてくださいね。
▼参考書籍


【書籍情報】
タイトル:自然欠乏症候群 ~体と心のその「つらさ」、自然不足が原因です~
著者名:山本竜隆
出版社:ワニブックスPLUS
形態:新書
発売日:2014.12.08
監修:山本 竜隆(やまもと たつたか)
山本先生のプロフィールページを作成します。
*「睡眠養生」は株式会社310LIFE(サトライフ)の商標登録です。(商標登録:第6821898号)










