「私、何時間寝ればいいの?」そんな疑問を抱えたことはありませんか?
メディアでは、「7時間が理想的」「ショートスリーパーでも問題ない」など、さまざまな情報が飛び交っていますよね。
一方で、自分の感覚としては「7時間以上眠っているのに、まだ眠い」「5時間でも十分元気に動ける気がする」、そんなふうに感じることもあるかもしれません。
そうなると、何を信じればいいのか、どうすればいいのか分からなくなってしまいますよね。
編集長:さとちゃんそこで今回は、上級睡眠健康指導士の大木都が、適切な睡眠時間や自分に必要な睡眠時間について解説します!
ぐっすり眠って、すっきり快適な毎日を過ごしたい方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。
この記事でわかること
- 結局のところ、人は何時間睡眠がベストなのか
- 自分にとってベストな睡眠時間を知る方法
- 注意したい、睡眠の勘違いと対処法
結論:ベストな睡眠時間は…。人によって異なる!
結論から先に言うと、すべての人に通用する「〇時間眠れば健康」といった数字は決められません。
必要な睡眠時間は、1人ひとり異なります。
同じ人が年齢も経て睡眠時間は変わります。さらに、遺伝的な体質、日中の活動量(疲労)、健康状態、生活環境など、さまざまな要因によって睡眠の必要時間や眠っていられる時間が異なります。
はじめにチェック!厚生労働省が推奨する睡眠時間
個人の睡眠時間を把握するためにも、まずは日本で一般的に推奨される「適正な睡眠時間」について、チェックしてみましょう。
厚生労働省より2023年に発表された健康づくりのための睡眠ガイドでは、以下の通りです。睡眠時間は年齢層によって異なる推奨があります。


つまり、一般的な18歳以上の成人は6時間以上が一つの睡眠時間の目安となります。ただし、高齢になると寝すぎることも注意が必要で、8時間以上はベッドの上にいないように過ごすことが推奨されています。
何時間あなたは眠っていますか?
多くの研究レポートによれば、現代の日本人成人は、6時間以上の睡眠を十分に確保できていない人が多いのが実情です。実際、アンケート調査でも「あと1〜2時間は長く眠りたい」と回答する人が少なくありません。
十分な睡眠時間について質問すると、「8時間眠るとスッキリ目覚める」という人がいる一方で、「6時間半で十分」と感じる人もいます。さらに、「5時間以上眠れない」という人も少なくありません。
このように、最適な睡眠時間は人によって異なり、一律には決められないのです。
また興味深いことに、ある程度の睡眠時間の変化には、私たちの身体が適応する力を持っているようです。
たとえば、日本睡眠学会のあるセッションでは、産業医の先生がこんな報告をしていました。時短勤務シフトに変更された病院の看護師をモニタリングしたところ、最初の3カ月ほどは多くの人が強い眠気を訴えていたものの、半年が経過する頃には「今のシフトに慣れた」と答える人が増え、不調を訴えるケースが減少したというのです。
さらに注意すべきなのは、睡眠不足に慣れると、自分では「問題ない」と感じるようになっても、実際には体に悪影響が出ている可能性があるという点です。睡眠時間の短縮に「慣れた」と話す人でも、健康診断の結果では血液データの悪化や体調不良が見られるケースがあったといいます。



私自身、仕事が忙しく睡眠時間が5〜6時間しか取れない時期には、次第にその生活に慣れ、6時間でも自然とスッキリ目覚めるようになり、ある程度の休養感も感じていました。
一方で、自由に眠れる環境にあると、7〜8時間眠ったときが最も快適で、心身の調子も整いやすいと実感します。
その後、再び5〜6時間睡眠に戻ると、最初の数日は強い眠気やだるさが出て、やはり無理をしていたのだと気づかされます。
つまり「自然と目覚める」という習慣がついているだけで、十分に回復する睡眠がとれているとは限らないケースがあるんですね。
ショートスリーパーとロングスリーパーはいるのか?



短い睡眠でも十分に活動できる遺伝的な「ショートスリーパー」も確かに居ると言われていますが、現在の研究では割合はすごく稀だとされています。
逆に、多くの睡眠を必要とする「ロングスリーパー」も存在することも分かっています。
ショートスリーパー(短時間睡眠者)
ショートスリーパーとは、本人の努力や社会的要請によるものではなく、平日と休日の睡眠時間の差も見られない状態です。
多くは小児や若年期から習慣的に短い睡眠時間で過ごし、生涯維持するとされています。
つまり、平均睡眠時間が6時間未満で、さらに平日だけではなく休日も6時間未満で維持し、さらに、その状態でも日中の活動に支障をきたすような眠気を感じない方とされています。



ちなみに、ショートスリーパーの睡眠グラフって気になりませんか?
PSG(終夜睡眠ポリグラフ)検査でチェックすると、入眠潜時(寝付き)や睡眠効率は正常とされます。
深い睡眠と言われる徐波睡眠が同年代の健常者と差がないのに、段階2(うとうと睡眠というか浅い睡眠というような状態)やレム睡眠が少ないという報告があります。(Webb 1979; Aeschbach et al.1996 )
ロングスリーパー(長時間睡眠者)
ロングスリーパーとは、一般的な同年代より長い睡眠時間を継続的にとる方です。
ショートスリーパー同様に多くは小児期からみられ、青年期に確立され、生涯維持する、とされています。
平日は9時間前後、週末には12時間以上眠るといった形で、長時間の睡眠によって社会生活に適応しているケースも見られます。しかし、学校や職場のスケジュールに無理に合わせることで負担がかかり、日中に強い眠気や過眠の症状が現れることがあります。



子どもの場合、保護者に「眠さ」についての説明するのが難しい場合があります。
ロングスリーパーの場合、朝にどうしても起きられず、なかなか登校ができません。しかし、家族や教諭に夜ふかしや怠けと思われてしまい、ツラい思いをすることがあるようです。
また、起立性調整障害や、睡眠相後退症候群などが関連しているケースも考えられます。この点は、筑波大学の神林崇博士の記事で、学生向け・保護者向け・教諭向けの情報もまとめているので、学生さんのひどい朝寝坊に悩むケースがあれば、合わせてご覧ください。


参考:睡眠学の百科事典 短時間睡眠者と長時間睡眠者:米国睡眠医学会が公表している睡眠障害国際分類第3版(ICSD-3)による短時間睡眠者の傾向より
最適な睡眠時間を判断するためのカギは?
このように必要な睡眠時間は人により異なって、また体質によっても大きく異なるわけです。
しかも、特定時間に起きる習慣がついていると、十分な睡眠での回復が取れていないのに目が覚めてしまうこともあります。
人によって起床のタイミングや習慣はさまざまです。だからこそ、「何時間寝たか」や「何時に起きたか」だけで、自分にとって最適な睡眠時間を判断するのはリスクがあります。
また、普段から寝不足だった方が睡眠時間を増やしたことによって、寝起きの瞬間はスッキリしない「だるさ」を感じるケースがあります。
「自身に必要なだけの睡眠が取れたかどうか」を見極めるポイントは、日中の体調(健やかさと脳のスッキリした感覚)です。
十分に眠れていれば、日中に強い眠気を感じることは少なくなります。
つまり、ひどい眠気がなく、元気に活動できるかどうかが、睡眠が足りているかどうかを判断する一番の目安になるのです。
あなたにとっての「ベストな睡眠時間」を知る具体的な方法
では、いよいよご自身にとってのベストな睡眠時間を見つける方法をチェックしてみましょう。
今回は、とてもシンプルで簡単な方法を2つ紹介します!
ライフスタイルに応じて、取り組みやすい方を試してみてくださいね。
1. 1日30分程度ずつ「早く寝る」習慣で、ベストな睡眠時間を見つける
ひとつは、普段の睡眠時間より1日30分程度ずつ「早く寝る」習慣を取り入れてみることです、
- 目覚ましは、いつも通りにセット
- 普段寝ている時間より30分早く寝る
- 翌日、日中の体調を観察(眠気や脳のスッキリさ、身体の軽さをチェック)
- 4~5日間繰り返して、まだ寝たりなかったら更に30分早めてみましょう
- これを繰り返して、スッキリ眠って健やかに過ごせる睡眠時間を見つけます
睡眠時間を30分早めても、翌日の昼間に眠気を感じたら、睡眠時間はまだ不足している可能性があります。はじめのうちは溜まっていた睡眠負債を返済しているタイミングもあるので、数日間続けてみて、昼間に眠気がなく、すっきりと過ごせる睡眠時間を見つけてみましょう。
2. 連休のときに「眠れるだけ眠る」を数日間試してみる
もうひとつは、「連休中に眠れるだけ眠ってみる」方法です。
時間に余裕のある長期休暇中に、アラームをかけずに自然に目覚めるまでひたすら眠ってみてください。できれば4~5日程度続けて実施するのが理想です。
- 朝に光が入ってこないよう注意し、真っ暗な寝室環境で眠る
- アラームをかけない
- 自然に目が覚めるまで眠り続ける
- 翌日も同じ時間帯に、たっぷりと眠ります
- 数日繰り返すと、これ以上眠れない時間が把握できる
最初の1〜2日は、溜まっていた睡眠負債の影響で10時間近く眠ってしまうかもしれません。
4~5日目あたりで、ようやく自身の身体が自然と求めている睡眠時間に落ち着いてくるはずです。このとき、起床時刻や就寝時刻を記録しておくと、より正確な睡眠時間の傾向が見えてきます。
スマートウォッチやアプリで記録して、長期休暇のときに一度把握しておくのも良い方法です。


睡眠時間が見えてきたら「戦略的に予定を組む」
心地よく過ごせる睡眠時間が見つかったら、その睡眠時間を確保できるように、1日のスケジュールを戦略的に見直してみましょう。
穏やかに、日中パフォーマンス良く過ごせると言う事は、効率よく物事がはかどるようになっていきます。特にクリエイティビティーのあるような作業を行うときには、ぐっすり眠った体調の効率の良さを特に感じやすいです。
「睡眠を優先する暮らし方」が、日中のパフォーマンスを大きく変えてくれます。そして実は将来的な様々な疾患リスクを回避してくれる、そんな将来の自分のための過ごし方になります。
長く眠っても寝たりない!というケースは?
睡眠時間を把握する場合に、気をつけるべきことがあります。それは眠りすぎてしまうケースです。
事前にお伝えしたように、ロングスリーパーが稀に存在するのは事実ですが、長く眠っても日中の眠気がなくならない場合は「睡眠時間不足以外が原因の睡眠不調」が関係しているかもしれません。
つまり、きちんと眠ったつもりでいるのに、何らかの原因によって質の良い睡眠が取れず、身体が十分に回復できないケースです。
例えば下記のような場合、睡眠時間を伸ばしてもスッキリ眠れた感覚をえられない場合があります。
- 9時間以上眠っても、眠れた感覚がない
- 寝ている時に「いびき」を指摘されている
- 気づけば布団の上で長時間過ごしている
感覚で最適な睡眠時間を把握できると理想ですが、自分の感覚だけでは本当にぐっすり眠っているかはわからないものです。
だからこそ「9時間眠っても寝たりない」「何時間眠っても、昼間眠くて仕方ない」という場合は、スマートウォッチやいびきチェックのアプリ記録で簡易検査をしてみましょう。
アプリの計測結果を見た結果、思った以上に睡眠時間が取れていないという判定がでたり、いびきのサインがアラートで表示される場合には、睡眠治療も専門とする医療機関に相談することをおすすめします。
睡眠の質の低下は、放っておくと生活習慣病や心身の慢性的不調につながるリスクもあります。
単なる「眠気の問題」と軽く考えず、早い段階で睡眠環境を見直し、必要に応じて専門的な治療を受けることが重要です。


睡眠を誤認しない!デジタル記録を活用しよう
自分に必要な睡眠時間を知る方法を知りたくて、この記事にたどり着いた方が多いと思いますが、睡眠時間の把握はなかなか難しいんです。
「よく寝た」「眠れない」それ、全部思い込みかもしれません。感覚だけで判断すると間違えた判断をするケースがあるので、便利なデジタルガジェットで睡眠を可視化しながら、自分にぴったりの睡眠を見つけましょう。
寝てる間は自分じゃわからない、だから睡眠を誤認する
睡眠誤認とは、実際の睡眠の質や量と、自分の感覚とのズレに気づけていない状態を指します。例えばこんなケースがあります。
| 誤認のタイプ | 具体例 | 背景にある問題 |
|---|---|---|
| 眠れているつもり | ・6時間寝れば十分 ・私はショートスリーパーだから平気 | ・睡眠不足が慢性化し、慣れてしまっている ・日中に眠気や集中力低下があるのに気づいていない |
| 長時間眠っても疲れる | ・8時間寝てるのにだるい ・夜しっかり寝たのにすっきりしない | ・睡眠時無呼吸症候群などの疾患が潜んでおり、質の高い睡眠が得られていない |
| 眠れていないと思い込む | ・夜中に何度も目が覚め、ほとんど寝てないと感じる | ・実際には深い睡眠が取れており、脳波データ上では十分な休養が確認できる場合もある |
睡眠中は意識がないため、自分自身では正しく判断するのが難しいのが現実です。
だからこそ、自分の感覚(主観)だけではなく、客観的なデータで睡眠を「見える化」することが効果的な対処法となります。


睡眠を「見える化」して、正しく知ろう
眠っている間のことは便利なツールによる「見える化」が、とっても役に立ちます。自分の睡眠を客観的に知るために便利なツールで記録しましょう。
| 方法 | 特徴 |
|---|---|
| ウェアラブルデバイス | スマートウォッチやスマートリングなどを使って、心拍数や体の動き、呼吸数などを記録。アプリでグラフやレポートとして確認できる。 例:Google Fitbit、 Apple Watch、Garmin、Oura Ringなど |
| スマートフォンのアプリ | 枕元に置くだけで寝返りやいびき、寝言などを感知して分析。入眠音楽や目覚まし機能がついたものもある。 例:ポケモンスリープ、スリープマイスターなど |
| (参考:手書きの睡眠日誌) | 紙に就寝・起床時刻、眠気の程度、体調や気分を毎日記録する方法もあります。 |


こうしたツールや記録を活用することで、「眠れているつもり」を防ぎ、自分に本当に必要な睡眠を見つけやすくなります。
お手持ちのスマホアプリで簡単に計測できるものもあるので、ぜひ試してみてくださいね。


まとめ:自身にとって適切な睡眠時間を見つけてみよう
結論として、すべての人に共通する「適正な睡眠時間」はありません。
「適正な睡眠時間」は人によって異なるので、今回ご紹介した2つの方法を実践し、ご自身にとってベストな睡眠時間を見つけてみましょう。
1日や2日では分からなくても、1週間、1ヶ月と記録を重ねることで、自分自身の睡眠傾向を把握することができます。



ご自身に合った睡眠時間をみつけて、心身ともに満たされる日々を育てていきましょう!
この記事でわかったこと
- ベストな睡眠時間は「人による」
- 30分ずつ寝る時間を早めるか、数日間眠れるだけ眠ってみるのがおすすめ
- 睡眠の可視化で睡眠誤認を防ぎ、ベストな睡眠時間を見極めよう
監修
*「睡眠養生」は株式会社310LIFE(サトライフ)の商標登録です。












